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【コラム】#3 ~病院編vol.2~

みなさんこんにちは!
フリーランス管理栄養士のtamosanです。

みなさんは管理栄養士がどんなところで働いているか知っていますか?
近年だと大手食品会社の管理栄養士が注目されていますね。
あとは病院がイメージしやすいでしょうか。

実は、行政、医療機関、一般企業、福祉施設、保育園、給食センター・・
さまざまなところで管理栄養士が活躍しています。
「管理栄養士」といっても働く場所によって業務内容がかなり変わってくるので、やりがいや大変なことなど実際に働いてみてわかることを紹介していきます!

今回は病院で働くIさん(仮名)にインタビューをしてきました!
(インタビュー当時2021.6)

1.勤務形態は?

Iさん 固定制で遅番が週1~2回あります。
土日はお休みで祝日が続くと、中間の日に1人だけ出勤します。

tamosan 祝日はすべて出勤するわけではないのですね!

Iさん そうなんです。なのでお休みは取れている方かと思います。

2.業務内容・1日のスケジュールは?

8:30 始業・メールの確認
8:40 当日の栄養指導の確認(入院・外来)
8:50 栄養士不在の時間帯の食事変更の確認
9:20   お弁当の対応(新型コロナ等の感染による)
10:30  栄養管理計画書※1 の作成
11:30  特別食加算※2 の確認・食事内容の調整で病棟巡回
12:00  お昼休憩
13:00  ミーティング 
13:10  栄養指導 
16:00  緩和ケア※3 の対応
17:00  終業

※1 栄養管理計画書・・・患者さんの食事内容や栄養量を記載し、栄養状態を良くするためにどのようなことをしていけばいいかを書いているもの。
※2 特別食加算・・・特別食とはカロリーや塩分などの調整をした食事のことで病態に応じて様々ある。この特別食は治療の一環になり、基準に達していれば加算できる。
※3 緩和ケア・・・病気で寿命がわずかの方に対して、食べられそうなものを伺い提供すること。


3.楽しいところ・やりがいに感じるところは?

Iさん 楽しいところ・・・なんだろーなー笑
そうですね、栄養指導での患者さんと他愛もない話をしているときかなぁ。
病院の中でもそういう日常を感じられるときが楽しいですね。

tamosan  なるほど。
どうしても指導となると先生と生徒のような関係性になりやすいですよね。

Iさん 楽しいとはちょっと違うかもしれませんが、病院食を褒めていただくと嬉しいですね。作っているのは調理師さんですが、一緒に喜びます笑

tamosan  自分のことのように嬉しいですよね!

Iさん 調理師さんは普段、日の目を見ることが少ないですからね・・・
やりがいに感じるときは、ガンなどの終末期の方は食事調整が多く、私たちにできることは少ないですが「対応してもらえて助かる」という言葉や、ご家族の方から「食事の話ができてよかった」と言っていただいたときです。

tamosan  食事調整とは何ですか?

Iさん 薬や病気の影響で食欲がない方に、どのような食事だったら食べられそうかを伺って、食種を変えたりご飯がすすむ佃煮類や濃厚流動食※4 を提供することです。

※4 濃厚流動食・・・少量で高カロリーが摂れる飲料。

tamosan  なるほど。
少しでも食事から栄養素を摂ってほしいですよね。
患者さんによって内容が違うので、それぞれを対応するのは大変ですよね。

Iさん そうですね。
大きめの病院なので一人ひとりに細かい対応はできないのですが、それでも可能な限りは叶えてあげたいと思っています。
なので、少しでも患者さんの食事量UPにつなげられた時にやりがいを感じます。

tamosan  私も経験があるので共感できます!
今までの対応で調理員さんに嫌な顔をされたことはありませんでしたか?(いじわるな質問すみません。笑)

Iさん あ~ありますよ。笑
ただ指示出しをすると調理師さんに嫌な顔されることもあるので、事前に相談したりミーティングでお知らせをして、協力をお願いをするようにしています。

tamosan  調理員さんも、体調の優れない患者さんに「少しでも食べてほしい」という気持ちは一緒ですが、厨房は戦場なので手数が増えると余計大変になりますもんね。
他にはありますか?

Iさん 自分で勉強したり調べたことをカンファレンスで伝えて、役立ったときですね。

tamosan  自分も力になれていると感じられますよね。

4.大変なところは?

Iさん 食事調整でいうと、全てが希望通りにはならないのでどう納得していただくかや、どこまでを反映するかを考えるのが大変です。
前に入院していた患者さんで、全然ご飯を食べられていない状態で入院してきた方がいました。そういう方が、1800kcalの食事を急に食べるとリフィーデングシンドローム※5 になる可能性があるので、血液検査でデータをみてどのタイミングでカロリーをあげていくかを医師に提案したときは・・・。本当に初めてのことだったので大変でしたね・・・。

※5 リフィーディングシンドローム・・・長期間低栄養状態の患者さんに、いきなり十分な栄養素を与えたときに発症する合併症のこと。

tamosan  初めてのことだと不安もあるし大変ですよね。
食べられないけど、常食のオーダーがくるというのはどのような状況なのですか?

Iさん 急患だった場合に、常食のオーダーが入ることがあります。

tamosan  なるほど。
Iさんの病院は管理栄養士さんが各病棟の担当になっていますよね。
それで気づくことができたのですね。

Iさん はい。あとは、担当している病棟に癖の強い患者さんが多い時が大変です。笑
食事がまずいといわれたときの対応とか・・・

tamosan 直接言われるのはしんどいですね・・。
そのような時はどうされますか?

Iさん 聞き入れるようにしています。反論はしない。
それでも言われたら、食事の説明をします。塩分のこととか・・・
普段どんなもの食べていたか聞いて、ちょっと話を逸らします。笑

tamosan  なるほど。上手ですね。笑

Iさん 心がけているのが、事前にカルテで知っている情報でも、なるべく本人から直接話を聞くことです。
例えば、肉が嫌いと聞いていたけど実は肉が硬くて食べにくいということもあるので、事前情報も大切にしながら、患者さんの話を聞くようにしています。

tamosan  理由によって対応が変わってきますよね。とても重要なことだと思います。

5.新型コロナウイルスの影響は?

Iさん 陽性の方も検査中の方も、みんなお弁当対応になるのですが、これが都度対応なので大変です。

tamosan  予め決まっているわけではないからですよね。

Iさん お弁当対応用の帳票を出していて、増えたり減ったりする度に出し直します。
ですが、調理師さんの負担の方が多いです。
あとは、普段アレルギーの方がいたら病室に行き直接お話を伺うのですが、新型コロナウイルス陽性でアレルギー持ちの場合は、患者さんに直接電話をかけて聞き取りをしています。

tamosan  病院食を毎日安全に提供するという意味でも、ウイルスを課内に持ち込まないことが重要ですよね。

Iさん その電話をしていいかの確認も必要になってきます。

tamosan  細かいところですが、そのような患者さんが多くなればなるほど日常業務に+αなので時間が取られてしまいますね。

Iさん はい。あっという間に1日が終わります。

6.院内での管理栄養士の立場について

Iさん 弱いかな〜と感じます。
コメディカル※6 に入れてもらえているのかな?って思う時も笑
医師にもさまざまな考えの先生がいらっしゃり、食事に興味がある先生は管理栄養士の話を聞いて、意見を受け入れてくれやすいのかなと思います。

※6 コメディカル・・・医師・歯科医師以外の医療従事者のこと。

tamosan  そうですよね。
薬第一主義のような先生もまれにいらっしゃいますよね。

Iさん 私たちは患者さんに直接処置を行うわけではないですし、普段から病棟にいるわけではないので遠く感じるのだと思います。相手からは見えていない存在というか・・・
管理栄養士がどういうことをしているのか、わからないことが多いのかもしれませんね。

tamosan  普段接することの少ない職種だと、よくわからなくて当然ですよね。
かつては「厨房にいる人」のイメージが強かったと思いますが、だいぶ発言権をもらえるようになったように感じます。
それでもまだまだなのですね。。

7.やめたいと思ったときは?

Iさん ありますよ。笑
一時期は本当にひどかったです。

tamosan  原因はなにかありますか?言える範囲内で良いですが・・

Iさん 上司との人間関係です。
相性が悪かったんだと思います。笑

tamosan  お互い人間なので合う、合わないはありますよね・・
今もですか?

Iさん え〜先日ご退職なさいました!

tamosan  え!それは大変良かったですね!

Iさん 新しい方は相性がいいので、今は人間関係にストレスなくできています。笑

tamosan  ストレスがないのが一番大事です。笑
それが聞けて安心しました!

8.どんな人が病院の管理栄養士に向いている?

Iさん 人と話すのが好きな人かなぁ・・
誰かと話さないと何事も進まないので。
調理師さん、委託会社との調整、お医者さん、看護師さんや患者さん・・。

tamosan  たしかに!

Iさん コミュニケーション能力が高いというよりも、人と話し合いができるかどうかだと思います。
基本的なことですが、電話対応がかなりあるのでそのあたりも当たり前にできるかも大事かと思います。ちなみに私は電話が苦手なのですが、仕事なので頑張ってます笑

tamosan  なるほどー。
人と話すという点では接客の要素も入ってくる感じですね。

9.あなたにとって管理栄養士とは?

Iさん 『縁の下の力持ち』です。
当たり前をコツコツ毎日やらなきゃいけないですよね。
管理栄養士の方はみなさん何気なくさらっとやっていますが、重要なポジションだと思います。
なかなか表に出ないこともありますが、あえて表に「やってますよ〜」と出す人も少ないなと感じています。

10.後輩にメッセージ

Iさん そんなに料理が好きじゃなくても管理栄養士になれるから大丈夫だよ!笑
そこは気にしなくても大丈夫。
就職先にもよるけど、必ずしも必須ではないから。

tamosan  意外と、管理栄養士さんで調理が苦手だったりあまり興味がない方もいらっしゃいますよね。

Iさん あとは、スーパーで何が高くて何が安いのかを日々の生活で分かっていれば良いかな。例えば300円で買える野菜、肉、魚の量って結構違うと思うんです。何食分になるかな〜って考えたり。外来の栄養指導だと食費のことは少し気にしてます。あとは患者さんと同じ目線で、スーパーにはどんなお惣菜があるか見て回って、買って食べてみると栄養指導にも生きると思います。

tamosan  市場調査をしろということですね。笑
たしかに、具体的に話せると患者さんがイメージしやすいですし、頭に残りやすいと思います。
大事なポイントですね!
Iさん、本日はありがとうございました!!

11.  最後に

今回、病院に勤務する管理栄養士さんにお話を伺うことができ、新型コロナウィルスの対応についても詳しく教えていただけてよかったです。
管理栄養士を目指している方、病院勤務を検討されている方、まったく違う食種の方にもご参考になれば幸いです。



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