だまされる人の特徴?仕事にも役立つ二分法の誤謬(ごびゅう)
こんにちは。タモです。
フリーのWebライターをしています。
仮想通貨やNFTなどCrypto界隈の記事を書いています。
noteではWebライターの仕事やフリーランス生活のあれこれについて書いています。
自分の経験がかつてのわたしのような「今の自分の生き方に迷っている人」「副業や独立に興味があるけど何から手をつけていいかわからない人」のこれからの人生に少しでもお役に立てればいいなと思います。
では本題に入りましょう。
1.認知バイアスとは?
今日の内容は「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」という本を参考にしています。
バイアスという言葉はよく聞きますよね。「バイアスがかかった偏見」のように偏りのある物の見方のことを指します。
タイトルにある認知バイアスとは偏見や先入観、歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解などを広く指す言葉だそうです。
わたしたちが気づかないうちに偏った思い込みをしている例として、本の冒頭にいきなり衝撃の事例が書かれています。
みなさん、東京の品川駅って23区の何区にあるか知っていますか?
「そんなの疑うまでもなく品川区でしょ?」と思いますよね?(笑)
でも実は品川駅って「港区」にあるんです!
テレビでよく名前が出る品川プリンスホテル。これも所在地は港区。
そして品川税務署。これも港区らしいんですよね。
このように人はごく普通に誤った思い込みをしています。
こういった思い違いを論理学の世界では誤謬(ごびゅう)と呼びます。
この「認知バイアス事典」では人が間違いを犯しやすい誤謬を60個、読み進めやすいように配置して紹介しています。
今回、なぜこの本を紹介するのか。
それはわたしがWebライターとして記事を書く時や、かつて会社員として仕事をしていた時に常に心がけていたことが、とてもわかりやすく言語化されていたからです。
ただの雑学・トリビアではなく、みなさんの仕事に明日から役立つノウハウとしてまとまっているなと感じたので紹介することにしました。
今日はこの本の中から1つ、よくある誤謬とその回避の仕方を紹介します。
2.二分法の誤謬とは?
今回とり上げるのは「二分法の誤謬」というものです。
これがどんなものか、本の記載を引用します。
ひとつ具体例を見てみます。
こんな詐欺師がいたとしましょう。
「あなたに最近いいことがないのは運気が滞っているからです。このツボを買って部屋に飾れば必ずいいことがありますよ。ですが、買わなければあなたは不幸になります」
さあ、どうでしょうか?
これだけを聞いても「いやいや、そんなツボ買うわけないやろ」と思いますよね。
ではこれだったらどうでしょうか。
あなたは治療が困難な重病にかかっているとします。
相手は実は悪いお医者さんで、本当はあなたに必要のない手術なのに自分の実績のためにあなたにその手術を受けさせたいと思っています。
でも、あなたには目の前の医者がそんなことを裏で考えているなんて当然わからない。
この状況で、こう言われるわけです。
「この手術を受ければ確実に病気は治ると思いますが、これ以外の治療では正直厳しいですね。他の方法で完治することは極めて難しいです。放置したらしたで悪化の一途をたどるので、治すにはこの手段しかないですが、どうされますか?」
さあ、これだったらどうですか?
少なくともさきほどのツボの話よりは「手術受けます」と言う人は増えそうです。
ですがここには「二分法の誤謬」と呼ばれる思い込みがあります。
この手術の例では、医者から提示されている選択肢は2つです。
手術を受ける
手術を受けない
そしてそれぞれの結果は、
手術を受けたら→病気が治る
手術を受けなければ→病気は治らない
こうですね。
さあ、なにか違和感はないですか?
隠された選択肢、見えそうじゃないですか?
手術を受けたとしても……?
手術を受けなかったとしても……?
おわかりかと思いますが、本当はさらに2つの選択肢が隠れているわけです。
3.見えない選択肢
まずあなたが取りうるのは
手術を受ける
手術を受けない
この2択ですね。
そして「1.手術を受けた場合」の結果は、
病気が治る
(受けたのに)病気が治らない
この2つです。
次に「2.手術を受けなかった場合」も、
(受けなかったけど)病気が治る
病気が治らない
やはり2つの結果があります。
このように2×2=4つの結果が最終的に起こる事として考えられます。
ところが人は、自分が極限の状態に追い込まれた時、今回の例のように重病にかかっている時、あるいは上司にひどく詰められている時、そういった場面では正常な判断ができなくなります。
余談ですが、こういった相手の恐怖心につけ込んで訴えかける手法は「恐怖に訴える論法」という名前がついてるそうです。そのまんまですけどイヤな名前ですよね。
でもこのように迫られたら、たしかに他の選択肢は思い浮かばないかもしれません。
「白黒ハッキリつけろ!」
「早く決めないともっと状況が悪くなるだろ!」
と言われたら、正常な判断は難しいです。
このように迫ってくる人は意識的か無意識的かはわかりませんが、自分に都合のいい選択肢しか用意してこないので、皆さんはそこに乗ってはいけません。
4.二分法の誤謬を回避するには?
ではどのようにしたら二分法の誤謬を避けられるでしょうか。
その答えは「かけ算」です。
さきほどの病気の例でいくと、まず「手術を受ける」「手術を受けない」の2つの選択肢があります。
そしてその結果として「治る」「治らない」の2つ。
つまり2×2の「4通りのパターン」が一連の出来事に中には存在するということです。
もし選択肢が3つあれば2→3になり、結果が4通りあれば2→4になります。
1つ1つの段階で考えられるパターンの数をすべて数えあげて、それらを全部かけ算した数だけ、本当は選択肢があるはずなんです。
もちろん、追い込まれた時にこれをとっさに判断できるかと言うと難しいことも多いでしょう。ですがこれを日頃から心がける意味はあります。
わたしはこの二分法の誤謬を避けるのが結構得意なんですよね。
ここからはわたしの体験に基づいて自分の考えを述べます。
上で述べたような考え方ができると、目の前で起きていることに対して「抜け漏れなく考えることができる」ようになります。
二分法の誤謬への対応策はわたしなりの言葉で表現すると「正しい場合分けをする」ことだと考えます。
手術を受けて治る
手術を受けて治らない
手術を受けずに治る
手術を受けずに治らない
病気の例では一連の出来事がこの4パターンに「分けることができる」と気づく事で誤謬を避けられますよね。
この思考法は前職の学習塾での仕事においてよく使いました。
今ちょうど受験シーズンですが、塾は受験の結果が出たらまず合格実績の分析をします。
「今年の受験生は理系が何人いて、文系が何人いて、それぞれの合格率は……」みたいな話になるんですが、この仕事を任せた部下からよくこんな相談を受けました。
「生徒の受験科目から文系・理系を判断してそれぞれ人数を出したんですが、どうしても合計の生徒数と一致しません」
これ、意味わかりますか?
例えば国公立大学志望の子はみな、大学入学共通テスト(以前のセンター試験)を受けます。
国公立理系の受験生は理科2科目、社会1科目を受けます。
国公立文系の受験生は理科1科目、社会2科目を受けます。
私立大志望の受験生は理系は英数理、文系は英国社を受けます。
このような形がだいたいのスタンダードになっています。
この前提条件がある中、部下の子は必死に理科と社会の科目数で文系・理系の区分けをするんですが、どうしても合計人数と一致しない。
そこでわたしが見てみると、こういったことに気づきます。
「理科1科目、社会1科目を受けているこの子はちゃんと数えた?」
「私立志望だけど英数国理の4科目を受けたこの子を2回重複してカウントしてない?」
こういったことがポロポロと見つかるわけです。
これは志望校が芸術系や看護系の学部だったり、外国語大を受験する子などによくあります。受験科目がイレギュラーということです。
これをさきほどの誤謬に当てはめると「すべての受験生は理科と社会の科目数で分類できる」という思い込みがまずあるわけです。
ですが実際は受験科目によるパターンはとても細かく分類されるので、まずはそこを正しく何種類あるかを数え上げないといけない、ということになります。
これって、みなさんの日々の仕事にも応用できる場面はないでしょうか?
知的生産活動をしている人ならきっとあると思いますし、わたしもWebの記事を書く中で「今回のテーマに対して書くべきことをすべて網羅できているか」をチェックするのにこの考えはとても役立っています。
もちろん、いつでもどこでもすべての選択肢を議論にあげないといけないわけではありません。
わたしも記事を書くにあたっていくつかの細かい選択肢は削って文章を書くことはあります。
ですがそれも「気づかずにその選択肢を見落としている」のと「その選択肢があるとわかった上であえて削る」のは、これは天と地の差なんですよね。
ぜひ今日の話を聞いてみなさんの日々の仕事に少しでも役立ててもらえたらと思います。
何よりあやしいツボを売ってくる人にだまされないために(笑)今日の内容がそのヒントになればと思います。
「認知バイアス事典」は紙の本だけでなく、Kindleの電子書籍、そして耳で読書ができるAmazon Audible(アマゾンオーディブル)にも対応しているそうです。ちなみにわたしはKindleで読んでいます。
特にAmazon Audibleではこの「認知バイアス」、月額1500円で聴き放題のプランに対応しています。
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