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乳がんサバイバー 第26話 いよいよ再建手術が始まる。


2004年 3月30日

ついにこの日再建用の前手術をした。左乳房全摘出手術をしてから約一年経っていた。

手術をした左胸の皮膚の下にティッシュエクスパンダーというものを入れた。これは簡単に言うと水風船のようなもので、この袋の中に徐々に生理食塩水を入れて皮膚を少しづつ伸ばしていく。

大変な手術ではないらしいのだが、私の場合は皮膚が癒着していたのと皮膚も火傷のあとのケロイドに近く固まっていて、とても時間がかかった。

もしこれほどの時間や痛みをともなうと知っていたら、きっと手術はしていなかったと思う。再建前はすごくワクワクしていたので、とてもがっかりした。

全摘手術というのは乳房を丸ごと切り取ってしまう手術だ。 そして上下の皮膚を縫い合わせる。男性と同じような平らな状態になるので、乳房を作るのに皮膚が足りなくなる。なので、皮膚の中にエクスパンダーを入れて少しづつ皮膚を伸ばしていきスペースをつくるのだ。伸びたら、この袋を取り出してシリコンに入れ替える。

 今回は楽な手術だと思っていたのだけど、すごく辛かった。病院には10時間以上いた。フラフラで歩けないので車いすで車まで移動した。まだ立ち上がることもできない。帰ってからも30時間位ずっと吐き気が続いた。やはり手術は手術なのであった。

翌々日に病院へ行きチューブを抜いて検査をしてもらう。今回は調子が悪い。2回めのリンパの手術はとても楽だったので、ティッシュエキスパンダーを入れるだけだから今回も楽だろうと思っていたのだった。

放射線から5ヶ月経っていたのだけど、皮膚はケロイドのような状態で、薄くカチカチだ。それを無理に伸ばそうとしているので、とても痛みがある。

嫌な予感が頭をよぎっていた。

2004年 5月3日  

病院でティッシュエクスパンダーの中に食塩水を入れた。針は思ったよりも痛かった。磁石になっていて水を注入する場所に針がくっつく仕組みになっているので、痛みはないと思い込んでいた。

はじめての日は50CC入れる。

1週間後に2回めの水入れをした。この時70CC入れ、見かけがかなり変わってきた、これで合計120CCの整理食塩水が入った。

そしてまた1週間後に3回め。今回は50CC注入した。合計170CC

大分膨らんできたけれど、真ん中がボコンという感じに凹んでいる。入れるたびに胸骨が押されてとても痛む。前に皮膚が出てくるより内側に押されている。

そして突然心配なほどの出血が膣からあった。抗癌剤を始めてからはずっと生理は止まっていた。すぐに病院に電話する。

翌日近くの病院へ検査に行く。OB(産婦人科)のドクターに会う。

パップシミアといって膣の組織をとってがん細胞の有無など調べるテストとバイオプシーをする。このバイオプシーはすごく痛いわけではなかった。なんともなければいいけど、なにかがおかしい。この後、また突然出血がぴたりと止まる。 

かかりつけの陸軍病院にも電話。明日はウルトラサウンド(超音波)を受けることになった。本を読むとホルモンブロック剤のタモキソフィンは子宮がんになるリスクが高まるそうで、心配になる。

骨の近くが痛むと骨転移か?頭が痛いと脳転移か?と心配ばかりしていた。この出血も今度は子宮癌かと心配になる。 

8時半に病院へ行く。 超音波検査はかなり長時間だった。

この時に子宮には何も問題はなかったのだが、後から卵巣に腫瘍が見つかった。



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