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マーケティングの舞台は音声認識へ

人々がARやVRといったバーチャルの世界に日々何時間も没頭するようになる前、生活者は何に没頭していたでしょうか。それは今となってはやや懐かしい響きもする、デバイスでの音声通話です。そしてその音声でのコミュニケーションが、今また私たちの生活に大きな影響を与えようとしています。

それはなぜか、理由は明確です。音声会話、言い換えれば「聞くことと話すこと」は私たちにとって自然なものであり、視線を向けることを必要としない「アイズ・フリー」な状態でできるため、他の情報に触れながらマルチタスク的に行うことができるからです。

動画は人を夢中にさせる大きな力を持っていますが、動画は動画として楽しむしかないという欠点もあります。そのため、TVを「視ながら」デバイスで何かをするというセカンドスクリーニングを行う人が、昨年一年間で5.1%増加してきています。(参照:MediaPost

人々は拡張された時間の中で、一つのことだけに時間を消費するということはしなくなってきているのです。

音声の重要性が高まってきていることを表す調査結果もあります。ポッドキャストは米国で2016年から2017年中頃までに11%伸びています。(参照:Forbes

またAndroid端末でのGoogle検索は20%以上が音声で行われています。(参照:Forbes

デジタルホームアシスタント市場では、Google、Amazonなど様々な企業が主導権を握ろうと争っています。

音声認識技術はビジネスに何をもたらすのでしょうか。

まず、音声認識技術の発達により、生活者は情報を探し、手に入れるための主要なチャネルが新たに得ることになります。

以下の点について考慮する必要があります。

生活者が音声検索で得る検索結果はより少なくなる

音声により検索や質問をした時、返される答え、つまり検索結果は一つです。SEOやSEMにおいては検索結果を1ページ目に表示させることを目指してきましたが、音声検索においては検索結果のトップに表示する方法を考えなければなりません。

「OK Google、近くにあるいいカフェを教えて」「Hey Google、東京のホテルを探すのにいいサイトはどれ?」「OK Google、髪を切るのにおすすめの場所は?」

音声検索においては、生活者が2番目以降の検索結果を知る機会は大きく減ることになるでしょう。

音声認識技術により日用品市場が変わる

生活者が日用品を購入する方法も変化してきています。TOKYO SHAVE CLUBのように、月額制の日用品購入サービスも増えてきています。AmazonはすでにAmazon Dash Buttonというボタンを押すだけで商品が再注文できるサービスをを発表しており、音声認識技術によりさらに生活者にとって使いやすいものになるでしょう。

「あなた、シャンプーを買っておいてくれない?」「お茶を注文しておいてほしいんだけど」

頼まれた方はどの銘柄を買うでしょうか?メーカーはターゲットに合わせたブランディングをする必要があり、おすすめされるもの、買われるもの、そしてリピートされるものにならなければなりません。

受け手にとって自然なメッセージを届けることがより重要になる

テキストを読む場合は、流し読みすることも理解するまで何度も読むこともできます。しかし、音声検索の結果はユーザーにわかりやすいように短く簡潔である必要があります。Googleはこれらの点が重要な評価指標となることを公式に発表しています。(参照:Google Research Blog

ポッドキャストからの認知とユーザー獲得が可能に

一連の動画から生活者が商品やブランドの情報に触れることができるようになったのと同様に、ポッドキャストも同様の役割を担うようになるでしょう。インフルエンサー、あるいは企業公式アカウントのどちらであれ、(ShopifySlackGE など多くのブランドが実施している)この新世代のドライブ中に聴くラジオとも言える存在が、ブランドと人々を結びつけることになるでしょう。

想像してみてください。もし生活者が仕事に行く途中にポッドキャストである商品のことを知ったとし、その商品を買いたいと思ったとします。「あなた、〇〇っていうのを買ってきて」
これがブラウザを開いて検索するよりもはるかにシームレスで、効果的であり、今生活者が求めている方法です。

すべての企業が音声認識技術を活用する必要があるわけではありません。しかし、音声認識技術は今後注目すべきトレンドであることは確かであり、自社が手をこまねいている間に、他社が音声市場から顧客を獲得する可能性があることは念頭においておくべきでしょう。

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By: Barrett Ishida (@barrettish_)
翻訳:山根 英彦



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