やさしさの青史

【誌】

 

そのまなじりに刻まれた
やさしさの歴史に安堵して

その手のひらに刻まれた
日々の暮らしをめぐらせて

送る季節は寂しくて
口笛吹いてやり過ごし

星のない夜せつなさに
ギター抱えてまんじりと

その歌声にこめられた
思いの丈に歩を進め

その色彩に表れた
影の濃度にしみじみと

平行世界に在ってなお
わずかな記憶手繰り寄せ

いつかの映画に涙した
あの旋律が時を超え

その静けさの内にある
泉のようなそのような

その賑やかな花のよな
光と影が浮き彫りて

諍う正と正の間に
抗う人と人の間に

やさしさの青 回歴し
どちらも同じと眼差して

 

tamito

#詩 #おいてけぼりの国

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