鏡の向こう側

【詩】

 

ときおり、確かな僕からsignが送られ

不確かな僕の心を揺さぶる

本棚の向こう

スクリーンのなか

並走する電車の窓

川の向こう岸

忘れた頃にやってくるのだ

不在に馴れたと思うと現れるのだ

もう、きみとはおさらばしたんだよ

もう、きみとは一緒に歩けないんだ

でも確かな僕には不確かな僕の気持ちが見えない

まるで鏡の向こうとこちらみたいに無味無臭で

心を通わせることができないんだ

確かな僕の足取り

不確かな僕の歩み

確かな僕の眼差し

不確かな僕のうつろい

日の光に照らされているきみの輝き

月の光に佇む僕の安らぎ

ふとした瞬間のきみの怯えが

僕の心臓を締めつける

まるで鏡の向こうとこちらみたいに無味無臭で

だからこそ、きみのsignが僕の心を揺さぶる

 

tamito

作品一覧

#詩 #もうひとりの僕 #おいてけぼりの国

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