民主主義国家の成れの果て、そして終焉

おそらく通信網へのハッキングによる遠隔操作で、携帯機器を発熱させ爆発させる。こんな恐ろしいテロ攻撃が、イスラエルという民主主義国家によって、その軍事力を誇示するため、あるいは、新たな軍事技術の実験であったかのように、巻き添えになる一般人のことなど一切考慮せず、場所を問わず堂々と行われた現実を見れば、もはやイスラエルは完全なテロ国家であると断定することに、イスラム国家でなくとも、イスラエルの同盟国でない世界中の人々は、ほとんど異を唱えないだろう。

結局これが意味するのは、民主主義国家におけるモラルの終焉ではないかと私は思う。

以下はイスラエルだけの問題ではなく、世界の人類全体のモラルハザードというべきだろうが、

いわゆる通信網のハッキングから、それに完全に依存しているインフラを、ソフト、あるいはハードによる操作で、完全に破壊するのも、既に可能であり、おそらく、多くの平均的日本人なら真っ先に、ロシアや中国、もしくは北朝鮮との電子戦等を思い浮かべるだろうが、日本における米国製ソフト、ハードの普及率を考えれば、スノーデン氏がかつて明確に指摘した、万が一日本がアメリカの意に反するように(たとえば、地位協定の大幅な見直し、国内米軍基地の見直しなどだろう)動けばすでに仕組まれて、暗号化され見つけ出すのが困難ウイルスや、ハード面での仕掛け一斉に動作させ、発電所や、医療現場交通システムといった、日本国家のインフラ全体に壊滅的な打撃を、すぐに与えれるといった警告のほうが、私は記憶に残っている。

核爆弾といった大量殺人兵器への恐怖は常にあるかもしれないが、実はもっと限定的に、効率的に敵を殺戮する方法、たとえば、リトビネンコにロシアが使ったといわれるポロニウム爆弾や、ウクライナが使用していると言われるAIによる無人機攻撃、そして様々なウイルス爆弾、(DNAレベルで影響を与える)あるいは、BMIの軍事利用も、一部はすでに実用段階であろう。

あらゆる意味で、これほど悲惨で壊滅的な現状から、私たち人類は、いったいどのように立て直せるのか、もはや手遅れでないことを願うのみである。

個人の意思など、何の抑制にもならないとわかっていても、自分という個人の存在価値を信じるなら、そのモラルに恥ずべきことがないように、絶対に科学の軍事利用は反対し続けようと思うし、やはり日本国憲法9条に記された、

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する

というあらゆる武力による威嚇と行使を禁じた明快な宣言は、どれだけ形骸化されようが、人類が目指すべき普遍の真理であり、それを明記している憲法が、現代社会で実際に民主主義国家が掲げていることこそが、民主主義国家としての誇り、わずかだが、人類全体に残された可能性であると、私は確信している。

そんな素晴らしいものを、ついに捨てる国民は、やはり人類史で考えても愚かであろう。