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S2 第1走目 メロスとリベンジマッチ

1走目 2024/05/03
6.5km
20分

メロスは激怒する。
かの邪智暴虐たる王を除かんとした結果、身勝手にも他人の命を掲げた「走る走る詐欺」を行い、ギリギリの所で良心を取り戻し、走り切ることに成功したのである。
計画性があるようで、実のところとんでもない無計画野郎だ。どちらが邪智暴虐なのかわからぬ。

私は唖然とした。
最終更新から半年経過している。なにがランナーズハイだ。
他人の命をどうこう言ったわけではないが、「走る走る詐欺」に関してはメロスのことを詰める資格もなかろう。しかし私もまたギリギリの所で良心を取り戻したのである。

きっかけは2つある。

- Netflixのシティハンターの鈴木亮平の肉体改造に驚愕した。
彼がなにをどうやってあの体になったのかはわからないけれど、美味しんぼとシティハンター大好き幼少期を過ごした身としてはとにかくその再現度に驚愕したのである。
この間までモチャモチャした体で西郷どんとかしてなかった?ゴリゴリやったぞ。

- 前職の先輩に会った
例の文武両道頭脳明晰マルチタスク型先輩である。
走れメロスに先輩が出て来たら、王に踵落としKOで結婚式に向かう路線バス旅的な話になっていたに違いない。
何時間か話した所で先輩から「もう走らないんですか?」と聞かれた。
ぐぬう。走ろうとは思っているんです。でもね、走るきっかけがなかったんです。
そして私は片平なぎさに追い詰められた犯人のような気持ちで言った。

「あ、走ります」

走らぬ、走りて、走る、走る時、走れ。
私は現実逃避の為に意味不明な五段活用モドキを暫く唱えた後決意した。
決意したのは、下記の通りである。

1.全25回とする
前回はあまりに尻切れ蜻蛉であった。なにが原因かといえば目標がファジー過ぎたのである。であれば、走った後文章にまとめるを1回とし全25回としよう。その期間についでにランナーズハイが来たら儲けものである。

2.無理はしない
これは私の最近のキングオブストレス状態からいって非常に大切である。無理に無理を重ねた上に調子に乗ってしまう性格なのでやり過ぎてしまう可能性にある。これは継続の面でマイナスにしかならない。つまるところ、毎日である必要はないけれど、高頻度の状態であることを前提にお付き合いしたい。

3.計画的に走る
前回の内容から傾向を練った結果、あまりにその日の体調で走っているのは良くないのではないかと言う結論に至った。
走るために別の筋トレを挟む必要があると判断した場合はそちらを行う。ランナーズハイへの近道なら手段は選ばない。
残念ながら皆様の期待に反して私のクレバーな一面をお見せることになるがそこはご容赦願いたい。どの口がゆーとる。走る走る詐欺師のくせに。

手始めに準備体操としてRain on meを踊ることにした。
説明ができないが私の中には準備体操と言えばLady GAGAという謎の方程式がある。
残念なことに数年前に比べて公式通りの踊りをしている動画が減ってしまっている。いくつか探したが完コピしているのは全員むさいオッサンである。世の中どうなっとる。
おかげで髪色が志茂田景樹のもっちゃりしたオッサンがミニスカートを履いて踊り狂っている動画に合わせて踊るハメになった。2巡くらいすると体がほぐれてきたが、心に消化不良のような苛立ちを覚える。この不快な感情をランニングにぶつけなければ。

例によってランニング用のプレイリストをかける。

https://music.apple.com/jp/playlist/%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88/pl.u-PDb4YpZsL51RkG

よくよく考えたらこのプレイリストも久しぶりである。仕事中に「喧嘩上等」とか「褒めろよ」を聴く勇気がない。ヤンキー化してまう。
5.5kmからスタート。合わない。6.5kmに上げる。計画通りにいかないことも計画である、という言い訳を瞬時に思いつく。後は最低限20分このベルトに乗っかっていれば1日目としては勝利である。

10分もすると足の裏がベルトの摩擦で熱い。「兵、走る」が流れる。上げたい。スピードを上げたい。ラグビー好きの副作用である。鏡の中の私を見る。ああ、なんて縞々のシャツとサポーターが似合いそうな顔をしているのか。私がこの人間の写真を見たならすぐさま髭を付け加えるだろう。
このプレイリストには致命的な欠陥を持つ。レニークラビッツがフライングVを打ち鳴らしている途中でワークアウトが終わるのだ。ああ失速。ああ止まる。

私もまたメロスと同じく無計画に予定調和的にゴールテープを切った。

あと24走。

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