誰も好きとは言わないよ
誰かと一緒にいる時に、その場で蚊に刺されたことを報告しない人などいるのだろうか。
私はいないと思う。
私の友人らはみな、共有しなければ損とでもばかりに、蚊に刺された報告をオンタイムでしてくる。
「うわ、刺されてる」
「かゆ〜」
そんな時、彼女らに対して私が必ず言う言葉がある。
「刺されても掻かない方がいいよ。一度も掻かなければ、数時間で治るから」
これだ。
個人差はあるが、私は本当にこの通りだと思っている。子供の頃はともかく、大人になってからは免疫だとかなんとかで、蚊に刺されへの耐性が身につくものなのだ。
だから、蚊に刺されても患部には触れないことを私はオススメする。
私は蚊を厭わない。
その辺り飛んでても、「あ、ふ〜ん」くらいにしか思わない。マジで。
だって、刺されても大したことないから。
一寸の虫にも五分の魂っていうし、私は彼らを殺すことだって控えている。蚊を殺さない顔とは、私の顔のことだ。
大人にとって蚊などというものは、まさに蚊の食うほどに何も思わないのだ。
は?
そんなわけがあるかよ。
ありえないだろ。
蚊。
まず呼んでもないのにうちに上がってくるな。
あと部屋の電気を消した途端に飛ぶな。
耳元で音を鳴らすな。
存在の証明をするな。
「血は吸ってもいいから、痒くはしないで」
なんて甘いことを言うと思うなよ。
血も吸うな。
痒くもするな。
ダブルバインドを人様に持ちかけるな。
あと何だよ「掻かなければすぐ治る」って。
掻くけど?
全然掻くよ。
こっちは痒いんだよ。
なんで血も奪われて、皮膚も腫れて、痒いのも耐えなきゃいけないんだよ。
我慢ばかり強いるなよ。
なんなんだよ、お前らはよ。
一体全体、なんなんだよ…。
どうかしてるよ。
蚊、どうかしてるよ。
そんな気持ちを歌にしました。
それでは聴いてください。
向田民子で「誰も好きとは言わないよ」
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