「いきもの賞玩」皇室の動物たち
皇居東御苑にある「皇居三の丸尚蔵館」は皇室がもっているさまざまな美術品などが収蔵、展示されている美術館。現在開催中の「いきもの賞玩」を見てきました。
平安時代の白氏文集から現代の外国からの贈り物までいろいろなものが見られました。小動物たち、かわいかったな。
《白鼠置物》(中川寿雄)は象牙のねずみ(しっぽは別材だそう)。大きさ的には小さいラットといったところ。大黒天のお使いですね。縁起がいいです。
《兎》(杉田禾堂、工芸成形社)は白銅の鋳造。毛づくろいをしているうさぎ、まさにそのものですよね。前足の感じなんて、ちゃんとうさぎを観察して作ったんだろうなあと思えます。
《鼬》は銅の鋳造。今にも動き出しそう。お顔もかわいいです。
《色絵金彩葡萄栗鼠図花瓶》(精磁会社)は1m近い高さのある大きな花瓶。葡萄とリスは子孫繁栄の願いのこもった縁起のいい文様ですね。
《トカゲ型カトラリーレスト》は銀細工。しゅっとしたトカゲたちが魅力的です。アフリカのダホメ共和国大統領からの贈り物だそう。ダホメ共和国って聞いたことないな、と思ったのですが、かつてあった国なのですね。現在のベナンのあたりのようです。
《兎》(ビクター・ピーター)はブロンズのウサギ。フランスのもの。解説には野ウサギとありました。後ろにいるうさぎの前足が前のうさぎの背中に乗っているところがかわいいな。
好きな小動物のものばかり挙げてしまいましたが、ほかにも繊細な造形の置き物や、縦2m、横3mほどもある刺繍作品など、目を惹かれるものばかりでした。さすが皇室…と眼福でございました。
なお撮影したのは「撮影OK」のもののみです。撮影不可のものもありました。
三の丸尚蔵館といえば伊藤若冲の動植綵絵30幅を収蔵していることで知られてますが、今回の展示では前期、後期に1幅ずつの展示。前期である今は「芦鵞図」が展示されています。独自の技法なのだそうですが、白いガチョウの羽が立体的で生き生き輝いていました。動植綵絵が展示してあると必ずその前は人だかり……かと思いきやそんなこともなかったのでじっくり見られました。後期の「池辺群虫図」も楽しみ。
ところで大手門(東御苑や三の丸尚蔵館への入口)あたりからとにかく外国人観光客が多いことには改めてびっくりしますね。一瞬を切り取ると自分のほうが外国にいるんじゃないかと思うほどです。以前は外国人観光客が多いといってもアジア圏からが多いのかなという感じでしたけど、今は欧米からの方が多いように思えます。今日、耳に聞こえてきたのは英語よりもスペイン語(と思われる)のほうが多かった印象もありました。
あのあたりは、片側には江戸時代があり(なにしろ江戸城だからね)、その反対側を見れば現代があり(ビル群)、「ザ日本」という感じもあるのかもしれません。
こんな暑い時期にわざわざ来なくてももっといい季節にくればいいのに、なんて思わなくもないけど(欧米観光客の半ズボン率の高さ!)、楽しんで帰ってくれるといいですよね。
ではまた。
トップ画像は図録とチラシです。