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動物との幸せのために必要な心得

ちゃんと飼う、とは

単行本などのプロフィール欄に「動物をちゃんと飼う、ちゃんと飼えば動物は幸せ、動物が幸せなら飼い主も幸せ。そのために必要なのは愛情と科学の心」と書いたりすることがあります。読者の方(飼い主さん)にそうであってほしいという、動物と暮らすにあたっての心がけのようなものです。もちろん、自分も飼い主という立場ではそういう心がけをもっていたいと思っています。

さてこの「動物をちゃんと飼う、ちゃんと飼えば動物は幸せ、動物が幸せなら飼い主も幸せ。そのために必要なのは愛情と科学の心」とはどういった意味なのか? それについて説明しておこうかなと思います(まあ、読んだとおりではありますが)。

ペット(という呼び方には好き嫌いあろうかと思いますがここでは便宜上ペットと書かせていただきます)がおうちにいると、もうそれだけで幸せじゃないですか。誰が幸せかというと飼い主さんが。ペットはいるだけで癒やしの存在ですもんね。ペットを飼いたい理由の最上位は「心を癒やしてくれる」だったりもします。
※東京都の2018年調査より(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/01/29/01_08.html)

ペットがいれば飼い主さんは幸せ。ではペットは「飼い主さんがいれば幸せ」なんでしょうか。飼い主さんと強い信頼関係ができているペットは「飼い主さんさえいれば幸せ」と感じる、かもしれないです。

適正飼養の先にある幸せ

でもそれはそのペットがちゃんと飼われていることとイコールと言えるのでしょうか? ここで私がいう「動物をちゃんと飼う」とは「適正飼養」のことです。ペットが「飼い主さん大好き!」な理由が「無尽蔵におやつをくれるから」だとしたら、それはちゃんと飼っていることになるんでしょうか。それぞれ幸せ(おやつをたくさんもらえる、おやつのおかげでなついてくれる)かもしれませんが、過剰なおやつは不健康への道まっしぐらであり、ちゃんと飼っているとは言いがたく、そこにペットの幸せはないわけです。

ペットが心身ともに健康でいられるように飼うこと(つまり適正飼養)、ペットの幸せはその延長線上にあります。そして、飼い主さんの幸せは、ペットが幸せであることが大前提です。それが責任というものです。

(体質には個体差があるので、どんなに適正飼養を心がけていても健康状態に問題がある場合もあります。飼い主さんが適正飼養を心がけているかどうかの問題です)

愛情と科学の心

そして、ペットも飼い主も幸せであるために必要なのが「愛情と科学の心」である、とプロフィールには書いています。たとえば『ペットが病気になったらお百度参りをしてでも病気を治したいという愛情と、お百度参りをしても病気が治るわけではないと考える科学の心』。まあちょっと極端な例ですが。

ペットのことが大好き!という気持ち、これはペットを飼っていれば誰しも持っているはずのものですね。愛情はペットを飼うのになくてはならないものですが、でもそれだけでは足りない。人間とはまったく違う種類の動物で、生態も生理も違うんですから、そういった知識も必要です。ペットを客観視できる視点。

「愛情と科学の心」を今、別の言葉で言い換えるなら「動物愛護と動物福祉」でしょうか。そのどちらもあってこそペットは幸せで、それによって飼い主さんも幸せなのだと考えています。

動物愛護と動物福祉で両思い

「動物愛護」を表す英語は存在しない、と言われています(※)。日本独特の概念といえるのかもしれないです(日本だけということもないでしょうが)。
(※)google翻訳だと「動物愛護」の英語は「Animal Welfare」になっていますが(今日現在)、間違ってますね。Animal Welfareは動物愛護ではなくて動物福祉ですし、そもそもgoogle翻訳でAnimal Welfare」を日本語にすると「動物福祉」だし。

たしかに、小さきもの(サイズ的には必ずしも小さかないペットもいますが。人がなにかをしてあげないと命を保てない存在というか)をいつくしむ、いとおしむというのは、古来から日本にあるものではあるんでしょうね。理屈抜きになにかしてあげずにはいられない、というのが、動物愛護の根本にあるのでしょう。

理屈抜きというか、「主語が自分」という言い方もできるのかもしれません。矢印は人から動物に向かっている。

で、動物福祉のほうは、その「理屈」の部分、ということになるのかなと思います。その動物はどうされたいのか、科学的根拠に基づいて、たとえば飼育環境をどう整えると動物は快適なのかなど。こちらの主語は動物で、矢印は動物から人に向かっている。

矢印は片方だけでは片想いですね。動物愛護と動物福祉の双方向の矢印が揃ってはじめて、両想い、ということになるのでしょう。

このどちらもが大切なのだと、ペットを飼っている方には知ってほしいし(すでに知っているなら他の人にも伝えてほしいし)、自分自身も飼い主という立場にあるときにはこうした心がけを持っていたいと思っています。

ではまた。

トップ画像はイラストACより。

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