孤独のはじまり

最近ドラマ『孤独のグルメ』にハマっている。驚くことに10歳の息子もなぜか好きなのである。

主人公井之頭の料理を選ぶときの異常な熱量、食を堪能する至福の表情、顔に漏れすぎている脳内セリフ、そういうものを見ていると、なぜだかこちらもしあわせな気分になるのはなぜだろう。
ドラマにありがちな人間関係のいざこざなどの余計なストーリーが皆無(ちょっとしたやりとりはあるのだが、あくまでもメインは井の頭の食レポ)、シンプルで安心感がある。気負いのないラフなエンディングテーマも良い。

夫にこのドラマを見せたところ、「えらい陰気なドラマやな」「パッサパサのおっさんが飯食ってるのなんか見たくない」と、非常に辛辣な批評が飛んできた。
確かに、おっさんがおっさんの飯を食ってるドラマをみたいはずがない。
おっさんの日常なのだから。

そういえば何十年前に、韓国ドラマの『冬のソナタ』が流行った時に、母親は「あんな陰気くさいドラマ見たくない」と言っていたが、毎週母親が見ていた『渡る世間は鬼ばかり』の方が余程陰気くさいじゃないか、とぼんやり思っていたことを思い出した。


話を戻して『孤独のグルメ』
毎食一人で食事をするということは、一見孤独のようにも見えるが、ドラマを見ていてまったく孤独感を感じない。
一人だけど、心の世界が十分に開いているからだろう。
井之頭は世界を十分に味わっている。
わたしも息子もこのドラマを味わって至福に包まれるのである。

ちなみに原作は、『ハードボイルド・グルメ漫画』と書いてあった。もう、意味がわからない。


”例えば彼女が彼氏に話しかけたとして
彼女が「ねえ」って言ったら
彼氏が「なに?」って
そしたら彼女が「なんでもない」って言ったら
彼氏はそこで「ああ、そっか」って言うんだよ
でも本当に欲しい返事は
それじゃないことがわかるだろ?
彼氏の方は彼女が言ったことを
まったく気にしていないだろ
こういうことが人を孤独にしていくんだ”

xxxtentacionインタビューより

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たみい
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