わたしのスクラップノート5/野口健/世の中のB面も見ろ 8 たみい 2024年11月26日 17:10 延々と個人的なスクラップをまとめておくための場所。わたしのスクラップノートマガジン。今回は新聞記事の切り抜きで、アルピニスト・野口健さんのインタビューから。では、どうぞ〜。《父、雅昭さんは東大卒の元キャリア外交官。エリートコースを歩んで外務省に入り、イエメンやチュニジアの大使を務めたが、いささか型破りの外交官だったらしい》イエメン大使だったとき、まだ高校生の僕が遊びに行くと、オヤジが自分で車を運転していろんな場所へ連れてってくれるんです。雑念としたバザールや何もかもが足りない悲惨な医療現場とか、貧困者が住んでいるスラム街とか・・・。大使ならば運転手付きの高級車にふんぞり返って人が多いんでしょうけど、 オヤジは「そんなことをしていたら本当のことは分からない」といって、わざわざボロ車で大使の身分をかくして現場へ’視察’に行きました。「どうだ?何を感じた?」「よくわかんないよ」「世の中には必ずA面とB面がある。A面(表側)だけ見ていては本当のことは分からない、B面(裏側)も見ろ。特にB面は自分から足を運ばないと見ることができないんだぞ」オヤジは高校生の僕にそう教えてくれました。エジプトのピラミッドへ二人で登ったこともある。もちろん「禁止」なんですが、オヤジは「見つからないように登っちゃえばいいよ」なんて言いながら先にどんどん行っちゃった。当時の僕はまだ小学生だったからついてゆくのが大変。実際に登ってみるとピラミッドの石はとても大きくて、簡単には登れない。やっと登って降りてきたら、警備員が怖い顔をして待っていた。オヤジはアラビア語で’言い訳’をしていましたが、さすがは交渉が仕事の外交官。何とか言い逃れたようです(苦笑)まあ、僕の人生の節目節目にオヤジがアドバイスしてくれたことは、とても参考になったと思う。僕はオヤジのことがすごく好きでしたね。「現場」に連れてゆくと、感じられるものがある。逆にいえば「現場」に行かねば感じられないことがあるということです。僕はそれを(娘にも)感じてほしい。ちょっとカッコよく言えば、「父親としてどんな姿を子供に見せられるか」でしょうかね。産経新聞令和4年9月26日号 話の肖像画より ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! 記事を気に入っていただけたらサポートお願いします。それを元手に町に繰り出し、ネタを血眼で探し、面白い記事に全力投球する所存です。 チップで応援する #父親 #現場 #ピラミッド #オヤジ #外交官 #B面 #野口健 #アルピニスト 8