【7月の食旅】たんとくわっさいで初すっぽん
移住したら月に一度は「食」を目的とした旅をしようと思っていた。
日帰りでも泊まりでも「これを食べるためにここへ行こう」というもの。
ただ美味しいものを食べるだけじゃなくて、できればそれを作っている方に会いに行くような旅。
このnoteを見た人が、その店だけのために旅をしても満足できるような。
そう思っていたのに、7月は慌ただしかったうえ、ほぼ自宅にいなかったので早速「月イチ食旅」ができなかった。
(仕事で南魚沼、箱根、松本に宿泊して美味しいものは沢山いただいたけれども)
なので、7月の記録は運良く連れて行ってもらった「たんとくわっさい」の話を。
2022年7月29日(金)訪問
お山の食堂たんとくわっさい
群馬県利根郡みなかみ町 小日向650-1
シェフの阿部さんは猟師であり料理人。
実家の旅館で20年ほど料理部門の責任者として働いた後、独立して店を構えられたそう。
まさか平日夜、仕事を終えてから群馬の山奥まで食事に行く人生がやってくるとは。
でも、湯沢ICからは約30km、クルマで約25分。
大須商店街で仕事を終えて地下鉄に乗り、今池や池下まで飲みに行くのと時間は変わらない。
この日この店に来たのは「天然物の良いスッポンが獲れた」と社長に連絡が入ったから。
実は初すっぽん。
すっぽんってまず生き血を飲んで刺身を食べて鍋で〆る的な?って思っていたけれど、この日の一品目は心臓や胃や腸や精巣などの刺身だった。
5人で2すっぽん(2匹分)だったので、まずは心臓ジャンケン。
残念ながら早々に負けて腎臓をいただいたけれど、それでもそのひとかけで1合飲めそうなくらい美味しい。
一番好みの味だった精巣はじんわりと甘みを感じ、こっちはひとかけで2合はいける。
ちなみにこの時合わせたのはスパークリング(タキザワワイナリーのナイヤガラ)だったけど、後に日本酒の方が合ったかもね〜という話になった。
そしてメインのすっぽん鍋。
具はネギと豆腐だけのシンプルなものだけど、すっぽんの肉はプルプルの皮もあれば、ブリッとした肉厚なものもあれば、骨から削ぎ落として食べるホクホクな部分もあり、食感も旨みもバラエティに富んでいる。
それを時々「美味しい〜」「あ〜美味しい〜」と声を漏らしながら黙々と食べる。
その様子は”カニを食べている時と似ているな”と思ったけど、明らかに違うのは、お酒を忘れるくらい集中しちゃうところと、数杯食べただけなのに満腹になってしまうすっぽんエネルギーの強さ。
すっぽん、凄い。
満腹にはなったけど、ここは目の前の川や山の食材を「たんとくわっさい(たくさん召し上がれ)」なレストラン。そこに居る食に関して貪欲過ぎる5人。
2本目を赤ワイン(タキザワワイナリーのピノ・ノワール”陽の畑”)にしたこともあり、猪ソーセージとジビエラグーソースパスタを追加。
噛みごたえのあるソーセージと赤ワインの相性は言わずもがな。
ラグーソースは、トマトを大量に使う酸味と甘みがあるタイプではなく、肉の旨みを凝縮させたシンプルな味わいで、こちらも酒泥棒。
そして食事の後半、お待ちかねの〆雑炊が登場。
〆というよりは、むしろこちらがメイン的な。
そのままでも十分美味しいけれど、途中ですっぽんの卵を”追いたま”すると、これまた濃厚な味が広がり満足度が爆上がり!
すっぽんの卵なんて初めて!と思ったけど、そりゃそうだ、すっぽん自体が初めてなのだから。
天然物で獲れた時にしか出会えない「たんとくわっさい」のすっぽん。
しかも、オスかメスかも獲れてみないとわからないから、精巣の刺身だって雑炊の”追いたま”だって、いつもできるわけじゃない。
そんなタイミングに居合わせられたことに感謝。
群馬の山奥なのにワインもいただけて、最高な夜。
次は鹿とか猪とか、ガッツリ食べに行きたい。