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「リメンバー・ミー」:二兎を追う者は一兎を得ずってほんと?
みんなが大絶賛しているので、「リメンバー・ミー」をみてきました。
(※以下、ネタバレあり)
いろんな人が泣いた、というコメントを残しているのですが、映画で涙することの多い私は、なぜか今回は泣くことはありませんでした。
でも、「いい映画」という評価には納得。
「死者の日」というメキシコの伝統文化をベースに、死者と現世の関係、家族と(個人の)夢の関係、記憶と思い出の関係などを考えさせられる作品です。
この「死者の日」というのはラテンアメリカにおける祝日の一つで、この日には家族と友人と集まり、故人への思いを馳せて語り合います。日本のお盆にもよく似ていますがやはりラテンの国ともあり、その雰囲気はお盆のものとは全く違います。
「死者の日」、メキシコの街は死者の花とされるマリーゴールドの花の香りに包まれ、お墓には派手な装飾が施されます。メキシコの「お盆」は楽しく明るくお祝いをして、死を怖がるのではなく逆にあざ笑ってやろう、というお祭りなのです。
私が感じた今回の作品の大きなメッセージは、「死者は思い出の中に生きている」ということ。
リメンバー・ミーの感想として、コルク代表の佐渡島さんが「人は二度死ぬ」という考え方を紹介されていましたが、この作品で描かれている「死の世界の掟」はまさにこの考え方を表現していると思いました。
一度目は、肉体的な死。そして、二度目は忘却による死。すべての人が、その人の存在を忘れてしまった時に、本当に人は死ぬ。一度目の死は、誰もが絶対に避けることができない。しかし、シェイクスピアのことを今も我々が話題にするように、二度目の死は回避することができる。芸術の道を志すことは、死を回避する唯一の方法だと考えた僕は、小説家になりたいと思った。それで、「forget me not」という言葉の響きが好きで、忘れな草を好きになった。そんな風に考えていたことを、『リメンバー・ミー』をみながら思い出した。
多くの人びとの心に残る作品を生み出すことで、つくり手もまた生き続けることができるという考え方です。
一方で、より多くの人びとの心に残るものをつくりだすためには、家族や友人など、その人のまわりの大事なものは犠牲にしなければならないのではないか——。
これが本作品の投げかける問いであり、大スター歌手、エルネスト・デラクルスの存在はそんな考えを象徴しています。
それに対して、主人公ミゲルは「家族か音楽か」どちか一つしか選べないなんて嫌だというわけです。
みんなで幸せになるためには、本当にどちか一つだけ選ばないとならないの?
そんな問いを投げかけるミゲル。
その諦めない姿勢が家族の心を揺さぶり、「音楽が家族をつなぐ」ことを証明します。
* * *
期待値が高すぎたのか、私の中では「大絶賛・感動」というほどではありませんでしたが、ピクサー映画の、細部にまで魂を込める精神は素敵です。下記の情報によると、この映画は2011~2017年の6年間ものプロジェクトの末にできたとのことです……!すごい。細部に宿ったこだわりポイントは下記の記事に載っています◎
ディズニー/ピクサー映画は長期間の製作もいとわない、こだわりの作風で知られている。中でも『リメンバー・ミー』は、2011~2017年というピクサー最長のプロジェクトとなったため、当初、ミゲルの声を担当していた子役は声変わりをしてしまった。
ちなみに、私のお気に入りは、美しく煌めく「死者の国」の描写。
子どもにも大人にも、“夢も家族も諦めないで”と応援してくれるような作品でした。
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