日向地区の彼岸花(伊勢原市)
9月も中盤から終盤へ差し掛かる昨今。自分は実はこの9月から11月に至る秋がとても好きです。毎年何かと憂鬱なことが多いこの時期なのですが、秋の美しい日本の光景はどこへ行っても自分のそんな暗い気分を慰めてくれます。 特にこの9月中旬は彼岸花が盛りを迎えます。先日、出張先から帰る電車の車窓から、線路際に生える彼岸花の赤い花を見かけ、「そろそろ日向薬師の麓で見られる彼岸花の群生を見に行かなければ」ということになり、この連休を利用していくことにしました。ちなみに一昨年も行っています。
【参考】
しかし、ちょうど南青山の根津美術館で「ほとけを支える―蓮華・霊獣・天部・邪鬼―」という企画展をやっていたので、まずは都内に出て、これを鑑賞。 根津美術館はこんなところ。
お庭も綺麗です。
展示は中世期の仏教絵画(仏画)がメインだった。哲学教理から呪術的な祈祷中心に発達した日本仏教の密教を中心とするものがほとんどで、中世期に模写された大曼荼羅はインドの香りがプンプンするような一品で驚いた。日本文化の中で作られた作品とは思えないほどの色彩と、その保存状態の良さにかなりの衝撃を覚えた。あと善光寺の縁起絵巻などもなかなかよかった。 仏様が乗る蓮台のことについては、これでかなり詳しくなれた。
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ところ変わってここは伊勢原。
大山参詣の鳥居前町ともいうべきこの伊勢原。駅前には大山遙拝(大山阿夫利神社)の鳥居がある。 新宿から快速急行で相模大野まで一気に行き、相模大野で待っていた急行に乗り換えると意外とサクサクと行ける。 前回は平日を利用して車で来たが、今回は連休中なので電車とバスで移動。
ちなみに伊勢原は「湘南」ナンバー。平塚にある自動車登録検査事務所の管轄である。
ただ、隣接するこの地域の中心都市・厚木は「相模」ナンバーである。相模平野の一部にあたる伊勢原も雰囲気的には「相模」じゃないの?的な違和感が昔からある。まぁ、もう一方の大都市で「湘南」ナンバーの平塚や藤沢に隣接しているから、別にいいじゃないの、という思いも。 バスの場合は日向薬師行きに乗り、だいたい20分ほどか。
本数は1時間に3本ほどはある。
車を避けたのは、駐車場が少ないのとこのあたりは道が狭いから。 特に彼岸花の時期はバスの利用をお勧めする。駐車場はスッと入れるときと、路上まで駐車場待ちが発生する場合があるので、休日の自家用車はお勧めできない。 そのせいか途中の狭隘区間には、誘導員が配置されていた。
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というわけで、彼岸花鑑賞スタート。
ちょうど見頃でした(9/18敬老の日)
ただ、前日の台風で倒れてしまったものと思われる花もたくさんありました。
田んぼの周辺には電気柵が設置されていました。
鹿(?)などの対策と思われますが、一昨年はありませんでした。
田んぼの畔に生える彼岸花。実った稲とのコントラストが美しいですね。
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なお、日向に来た理由はもう一つ。 2016年に350年ぶりの大修理がなった重要文化財の宝城坊の本堂を見に行くこと。
真言宗の霊山寺は、かつては源頼朝も娘の病気平癒の祈願のために訪れたことがある古刹であるが、明治期の神仏分離で廃絶し、現在、別当坊の宝城坊のみが残っている。 重要文化財の本堂は、万治3年(1660)に旧本堂の旧材などを使って建てられたものだ。 修理完成後、初めて見るが、見ての通り、山の中腹にあるにも関わらず巨大な仏堂である。
工事中は覆屋がこれを覆っていたので境内も狭く感じられたが、すべてが完了した今は、本堂の前庭は広々。いっそう本堂の巨大さがわかる。
なお、日向薬師の本尊の薬師如来は、「鉈彫り」(なたぼり)と呼ばれ、あえてノミの跡を残した様式のものだ。中世初期の作品で、非常に優れた彫刻であるが、毎年正月三が日など特定の日以外公開されない。重要文化財の指定を受けている。ただし、横浜の神奈川県立歴史博物館にレプリカがある。
また、その他にも薬師如来や阿弥陀如来像、複数の十二神将像など多数の仏像があり、いずれも中世期の作品が多く、それらは寺の宝物館(有料)で見ることができる。
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一本前のバスに乗れなかったので、再び彼岸花鑑賞へ。
彼岸花は意外と身近に見ることができますが、山間の秋の田んぼの美しい光景とセットで見たいなら、伊勢原・日向はおすすめですよ。今が見頃です!ぜひ。
(おわり)
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