コロッケそばの怪
皆さんはコロッケそばという食べ物があるのをご存じだろうか。
かけそばにコロッケが入っているだけのシンプルな料理。
しかし、通例「かけそばにコロッケを入れるか?」ということでゲテ物扱いされ、あるいはその存在を知っている人においてもそんなに高尚な食べ物ではないという認識を持たれるであろう、この料理。
私がコロッケそばと出会ったのは、大学生の頃であった。大学の学食にコロッケそばがあったのだ。最初は私も「なんじゃそら」と思ったのだけれども、食べてみると…「別においしいとは言えないけど、なんか食べたくなる食べ物」であり、たまに食べていた。
そうは言っても、正直、それほどメジャーな食べ物ではない。
コロッケそばにお目にかかれるのは大学の学食か、駅の立ち食いそばなどであろう。
ところがある日、妙にコロッケそばが食べたくなり、わざわざ具材を揃えてコロッケそばを作る一幕があった。
主役(?)のコロッケは、面倒くさいのでお惣菜コーナーで買ってきた。そもそもコロッケそばのコロッケはちゃんとしたものではダメ。安っぽくて(肉なんかぜんぜん入っていないような)、妙に甘いコロッケが良い。
そば。今回は冷蔵庫にあった生そばを用意してみたものの、こちらも本来的には柔らかい茹で麺の方が再現性は高いと思われる。
まず、そばを茹でる湯をたっぷりと沸かし…
かけそばの汁を作る。
かけそばの汁を作る。当然、麺つゆを薄めたもの。うま味調味料(味の素)も加えましょう。
そばを茹でるためのお湯とかけ汁が沸き立った。
そばを茹でる。
コロッケをのせて完成。
食べてみる。うーん!なかなかテイスティング!
意外と再現度高かった。
それにつけても、この料理はいったい誰が考えた?
コロッケをかけそばに入れたらコロッケはべちゃべちゃになり、食べるのが非常に難しい。しかし、大抵提供された時点でほぼコロッケは汁に浸かっていて、衣も具も汁の中に沈んでいく。
天ぷらやかき揚げなどは汁に浸っても、まあまあある程度の固形物を残すが、コロッケともなると、そばのほうばかり食べ進めていくと、もはや汁に溶けていくレベルにひたひたになる。
大学生の時は「とりあえずこれはコロッケを先に食べればいいのだな」と思っていた。
しかし、コロッケそばにある程度こなれた頃には汁に溶けてコロッケが消滅しても、まあ別に気にしないくらいまでになっていた。
「この前、コロッケそばを食べててさ~…」とか話をしていると、大抵「コロッケそば!?何それ!?」と言われる、この不思議な料理。
誰が始めたのか、どこで始まったのか…すごい気になる。
(終わり)
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