【小説】クリスマスイブ
顔を上げ、壁に掛けてる時計に見ると、九時も十分ほど過ぎた。
週末夜の火鍋屋は修羅場、子連れの夫婦やカップルがお店の隙間まで占め、白い蒸気沸騰した鍋から昇り、まけにこの二、三日寒波が来て、忙しさが倍になった。
「鈴ちゃん、きみは九時まででしょ?」女性の先輩がゴミと汚れ皿を積み上げたワゴンを厨房に推しに来て、厨房に皿洗ってる彼女を見るなり、外の騒音に抑えきった大声で「早く上がって!」叫んだ。
鈴と呼ばれる女の子がワゴンにある汚れ皿をシンクに入れ、「これ終わると上がります」実は彼女が20分前からソワソワしてたが、そんな戦場を見れば、とても「お疲れさまで―す」と一言と洗い皿といっしょに捨て、上がるような状況ではなかった。
やっと一段落になり、鈴が周りの人に「お疲れ様です」を言い、厨房に離れ休憩室に入った。
早く!早く!心の中に自分に促いながら手早く着替えてる。けれど不器用な指は促さればされるほどミス連発。
ようやくお店に出すのはもう九時半のこと。鈴がわざっとほぼ満席の店内に無視し、急ぎに出て行った。
******
寒い風が吹き、鈴が思わず頭を下げた。幸い、これから行くところはバイト先から通2本の距離。チェン店の焼肉屋さんだ。真黒の外見の洗練さと彼女が働いてる鍋屋とまったく別だった。
焼肉屋の前に工事している。柵は出入り口に避けたが、周りのすべてが囲まれ、駐車はもちろん、人も歩きにくかった。
鈴が正面の向こう斜めのところに立ち、腕時計に時間確認、もうすぐ十時。間に合ってよかった、でもサービス業なので、先輩が定時に上がるわけがない、お店の忙し具合によるから。
鈴がひっそりカバンにクッキーを出し、心の中でため息をした。
先輩が気に入ってくれるかな…?イ●アオリジナルのフリーザーバッグに丸い、丘のようなクッキーが数粒入ってる。表面に薄い粉砂糖に覆われ、まるで雪化粧された庭石。
「クッキーなのに、どうしてこんな形に?」
シェアハウスのキチンで生地作るとき、ルームメイトの嘉嘉が寄りに来て質問した。
「スノーボールだから」鈴が適当に答えた。彼女もどうして丸い形にするのかわからなかった。初めてこの面白い形のクッキー食べたのは、二週間前のこと。ある先輩が缶つめの丸いクッキーを部に持ってきて、みんなに食べさせた。
「お姉ちゃんが買ったのよ。中身があると思ったがなかった。がっかりしたよ」
その場もいた鈴が嬉しくて一つ口に入れた。元々クッキー好き、こんな新鮮な外見、口に入れると溶けちゃうの食感に驚いた。
「すごい!なにこれ!曲奇(オランダ語のkoekjeからの言葉、元の意味はケーキだけど、台湾では固いクッキーと違って柔らかいか口に溶けちゃう食感のお菓子に指す)みたい!」
「スノーボールって書いてる」
「丸くて白い粉砂糖が覆い、名前ビッタリだね」
「どこで買えられる?」
鈴が輝いた瞳で先輩に訊い、有名な日系食品輸入チェン店の名前がゲットした。
******
バイト始まる前に、鈴が最寄りの店舗に寄りに行った。そしてクリスマス飾りたくさん飾ってる入口当たりにやまほど積み上げてるスノーボールに見つけた。嬉しそうに駆け付けたが、お値段を確認すると黙ってもとに戻った。
台湾の物価が高過ぎなのかそもそもあの店高いなのか、鈴がバイトへ行きながら悔しくて考えてた。
確かにあれがおいしいけど、小さい缶なのに二時間の時給に当たる、とてもお手頃とは言い難かった。
鈴は欲しいものはどうしても手に入りたいタイプ、バイト中にもずっとスノーボールクッキーのこと考えていた。
ああ、スノーボールクッキー食べたい!
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バイトが終わり、着替えた彼女が思いついた。
あの店は高く売ってるけど、スノーボールクッキーはあそこのオリジナル商品ではない!つまり、ほかに売ってる店があるはず!
このことに思いつくと、鈴が携帯を取り出し、ウェブサイトに「スノーボールクッキー」を検索してみた。不意に、「スノーボールクッキー レシピ」、「スノーボールクッキー 作り方」など、他人が検索した内容も出てきた。
スノーボールクッキーは自分で作れるの?彼女が思わなかった。
(簡単かな?)
適当にレシピにクリックし、一通り作り方が目通して、材料はバター、粉砂糖、小麦粉とコンスターチ四つだけ、そしてスーパーで簡単に手には入れる、作り方も意外にシンプル。
(こんなにやさしい?マジで?)
翌日の朝、鈴が半信半疑でスーパーで材料を買い、家にレシピ通り作り、厨房のトースターでたくさん焼いた。
焼き時間の設定が長いのせいで表面に少し焦げ色がついたが、粉砂糖を振舞ったらごまかせるんだ。
鈴が初めてクッキー焼いたのに成功したことに嬉しかった。余熱を取り、粉砂糖を振舞ると、なかなかできるように見えたけど、肝心なのは味だ。鈴が恐る恐る一粒取り上げ、口に入れると――
まあ、悪くない。先輩に食べさせてもらったやつと大してかわってない、むしろ鈴がいいバターで使ったので香ばしさがもっと強い。
「うわー、いい匂い!ケーキ焼いた?」
ルームメイトの雅雯(ヤーウェン)がリビングに入るなり叫んで、テーブルの出来上がりクッキーを見ると大袈裟に言った。「これアンタが作った?すごいわ!想像できないわ!」
「うざいな」
雅雯が鈴の隣に座り込み、素早くクッキー一つをつまみ、口に入れ込んだ。
「うわ、うまい!マジアンタが作ったの?いい嫁さんになれるよ!」
「マジうざいわ」
鈴が彼女の肩に軽く叩い、雅雯がコーヒー淹れをし、二人はクッキーを食べきれた。
初めてクッキー焼いて成功のことで鈴が自分の腕に自信を持った。夕方に部活行くとき、スノーボールクッキー食べさせてもらった女k先輩に話すとき、「鈴がクッキーできるんだ、すごい」後ろに誰が話しかけてきた。振り返ると、承銳先輩後ろに立ってる。承銳先輩は社会福祉学科三年生でいながらボードゲーム部の副部長、大柄の体系でよく体育生に間違ってる。
先輩に見るたび、鈴の顔が真っ赤になった。「ま、まぁね…」ボソッと言った。
「今度は食べさせてね」
本気か戯言かわからないが、この一言はちゃんと鈴の心に残ってる。そのせいで、彼女が寒いクリスマスイブに焼肉屋の外に待ってる。
*****
「あー今日も死ぬほど忙しい、勘弁してよ!」
使った網をお湯貯まってるシンクにほり入れながら、鎮宇は大声で愚痴こぼれた。同時外に「いらっしゃいませ」の挨拶が響き、彼が慌ててみんなと一緒に声出した。
「もう!来るなよ!おれも彼女と一緒にクリスマス過ごしたいのに!」
「目覚めろ、お前カノジョなんかいねし」
鶏肉の盛り合わせを出しながら、承銳が彼に突っ込んだ。
「お前に言われる筋合いがねッ!お前こそ!独りぼっちだからクリスマスイブにバイト入れるやろ!」
「愚痴言う時間あればさっさと運んでくれ!」
体格は相撲選手並みの店長がデカい手で鎮宇の頭に叩いた。鎮宇がもやもやしながら鶏肉の盛り合わせを持って行った。ここは夜中3時までやってるので、時間が遅れば遅るほど客が入ってくる。
承銳は夜十時に上がる予定だが、こんなに忙しい状況に定時上がるわけがない、やっと一段落になったときもう十一時に近く。
着替えて、正面に向かおうとすると、承銳がある大事なことを思い出した。
(正面は工事中だ。バイクは別の場所に泊めてる)
正面の道路工事は今日から始まり、一週間かかると見込んでる。お店の出入り口には避けてるが、騒音とホコリは迷惑だ。承銳にとって一番不便のは、バイクが正門に泊めず、付近に泊めてから歩きに来る仕方がなかった。
******
鈴が焼肉屋の向かい側の洋服屋の下に承銳先輩に待ってる。時々向こうから出てくる人に確認、なかなか先輩の姿は現れていない。腕時計に時間確認、もうすぐ十一時だ。午後五時から夜十時までのバイトだって、確かに先輩が言ったけど…
再び自動ドアが開け、今度は男性三人、女性二人のグループが出てきた。鈴は堪らず、焼肉屋に入ってみた。そして、彼女と同世代の女の子が接客しに来た。「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
鈴が素早く店内の様子を見回し、先輩の姿がいない。もしかして今日はキチンに?
「あの…」普段の彼女はこんな大胆なことは絶対無理だけど、外に一時間ほど寒い風にあたったのせいか、我慢の限界になった彼女が「許承銳さんは、今日出勤してますか?」思わず訊いてみた。
初対面の人の口から同僚の名前を聴き、女性スタッフがいきなり呆れて、すぐ「許承銳もう退勤しました」と答えた。
「退勤した?」
鈴が呆れてしまった。いつ上がった?わたしが見逃した?
「つい今…彼に電話してみれば?」
女性スタッフが言う同時に鈴が失望でうつむいた。彼の連絡先がないこそ外に待つしかできなかったんのよ!
******
(あ、帰る前にお金引き出せねばならね)
バイクに乗り、ヘットメルトを被ってから、承銳急にこんなこと思い出した。彼はほとんど電子マネー使ってるが、現金しかできない場合もあるので、彼はいつも千円くらい持ってる。
ヘットメルト被ったまま、承銳はサ●リオをテーマにしてるコンビニに入り、一番奥にあるATMへ。
******
(わたし、なにしてるの…)
鈴が下に俯き、泣きたい気持ちでゆっくり歩いてる。クリスマスイブのせいか、カップルが溢れてる、町中にもネオンの飾りが色輝いてる、ギラギラで見るだけ嫌な気分になってる。
鈴がピンクに塗られ、メロディとクロミに描かれたサ●リオをテーマにしてるコンビニに一瞥した、店内に客が少ないが、ヘットメルト被ってる男が正面に背向けて、ATMいじってるだろ。
彼女が黙って目を逸らし、歩き続けた。
カバンにあるスノーボールクッキーは溶け雪のように重くなり、少し歩くと、鈴が振り戻り、勢いに焼肉屋へ走りだした。
「いらっしゃいま…せ?」
自動ドアが開けた瞬間、先接客しに来た女性スタッフが挨拶した。入ってきた人は客ではなく、先の女の子と気づくと、ハイテンションの声が落ちてしまった。
女性スタッフの戸惑い顔に無視し、鈴がカバンに潜めてたクッキーを取り出し、勢いがよくて彼女に持たされた。
「これあげます」鈴が、泣きたい気持ちを必死に抑えきって、「Merry Christmas.」と呟いた。
******
承銳がATM前に必死に財布を探したがどうしても見つけなかった。
ありえない。出勤する前に鎮宇にお金貸し上げたから――思い出した。あの時バタバタして、慌てて財布をリュックに投げ入れ、ロッカーに落としてるかもしれない。
こんなこと思いづくと、彼が慌ててお店に駆けた。
「いらっしゃいま…せ?」
今日の案内係は承銳より二か月遅く入ってきた女性の後輩。彼女が承銳の顔見るなりビックリし、すぐ目を開き、責める、困る、そして可笑しいなど感情が混ざる顔で彼を引っ張った。
「何を」承銳が機嫌悪くなった。忘れ物取りに来ただけ、取ったらすぐ行ってしまうつもりなのに。
「いま女の子が来てこれをくれた」女性の後輩がエプロンのポッケトからスノーボールクッキーを取り出して見せた。「十分前に彼女も来てたよ。あなた今日出勤するかって訊いて来た」
承銳が戸惑う顔でクッキーに見つめた。「あなたが上がったを聴くと、彼女ががっかりした顔をした。今も。メリークリスマスを言ってくれたけど泣きそうに見えたんだよ」
「どんな人?」クッキーを見ると、承銳が誰かが分かったけど念のため確認したかった。
「肩までのロングヘア、目が大きいに二重まぶた、可愛らしい子だよ。あなたのこと好きでしょう?」
女性の後輩がクッキーを彼に握らせた。
*****
腕時計に確認すると、あと十分、クリスマスイブが終わる。
今夜なーにもできてなかった。スノーボールクッキーを作り先輩に上げるつもりなのに姿さえ見てなかった。ただ寒いの中に外に立つばかり、バカバカしい。
鈴が落ち込んで駐車ところに来たが、自分のバイクを見つけなかった。
(確かにここだけど…場所間違った?)
いいえ、自分は確かにこの眼鏡屋に目印として駐車したが…すると、彼女がアスファルト路面にチャックで書いた白い文字に気付い、顔色が変わった!バイクが撤去された!
鈴が次から次へとのショックに耐えられず、その場で号泣した。
もう嫌だ!最悪のクリスマスだ!奇跡なんて、幸せなんて!くたばれ!
通りかかった人が泣いてる自分を見ながらコソコソ話していても鈴が気にしなかった。笑いたいなら笑いなさい!もう、どうてもいいんだ!
******
「どうした?なぜここで泣いてる?」
話しかけてきた人がいた。鈴が「うるさい!お前に関係ない!」怒鳴った。
「そう…ごめんね」男が謝ったが離れるつもりはなかったようだ。鈴が勢いよく振り返るとショックした。バイクに微笑んでくれた男が、まさに承銳先輩!
「せ…先輩…!」鈴が慌てた。気づかなくて先輩に怒鳴ったことに後悔したが、どうして先輩がここにいるにも疑問が浮かんだ。
「先お店に行ったんだろ。後輩が教えた。これを私にくれたって」
先輩がポケットからスノーボールクッキーを取り出した瞬間、鈴の顔が真っ赤になった。どうしてもクッキーを先輩に渡そうで一晩中頑張ったのに、やっと願いが叶ったの今恥ずかしい気持ちしかなかった。
二人が沈黙に落ちった。風が寒いのに鈴が全身火が焼いてるのように熱かった。
「で、」結局、先口を開いたのは先輩だった。「どうしてここで泣いてる?」
「バイク…」口を開いた瞬間、鈴が自分のかすんだ声に驚いた。「バイクが撤去されました…」
「なるほど…」先輩が路面に書いてる白い文字に目をやり、訊いた。「どうするつもり?」
「どうって…ルームメイトに連絡、迎えに来てくれると思いますけど…」
「うむ…」
鈴が下に俯いた。最悪のタイミングだ。先輩はきっとわたしは馬鹿な女と思ってるんでしょ。問題があれば解決策を考えず、泣くしかできなかった馬鹿な女…
「どこに住んでる?」承銳が訊いた。「おうちまで送ってあげようか?」
鈴が驚いて顔を上げた。聞き間違ったと思いきゃ承銳がもう一つのヘットメルトを彼女に渡した、鈴が呆れた顔でもらうと、承銳が再び訊いた。「あなたはどこに住んでる?」
*****
鈴が承銳のバイク後ろに乗っていた。風が耳に叫ん、先輩のヘットメルトの後ろに見つめてた。一時間前の自分が先輩のバイクに乗ってること思いにもつかなかった。鈴が叫びたい気持ちを抑え、両手の指がしっかり背もたれを掴んだ。
バイクがゆっくり鈴のマンションの前に止まった。ずいぶん夜深いなのでほとんどの灯が消えてる。古いマンションが集まってる住宅地がシンとしていて、バイクのエンジン音も耳障りに感じられる。
「ありがとうございます」鈴がヘットメルトを承銳に返し、潜めてな声で礼を言った。まるで悪いことしたのように。承銳が笑顔でもらい、何か思いづいたみたいにポッケトのスノーボールクッキーを取り出した。
「ありがとう。これ、チョコレート?」
「クッキーです」
「そうか」先輩が目を細くて、庭石のように丸い形してるスノーボールクッキーに改めて見てた。「クッキーなのに、どうしてこんな形に?」
そう聞かれても分からない。「スノーボールクッキーだから」鈴が答えた。
承銳が「そうだね」と微笑み言いながら袋を開け、一つ出して口にほり込んだ。
鈴がこの仕草にビックリ、まさかその場で食べるなんて!ちょっと待って!ちゃんと焼いたか?お腹壊しないかな?
慌てて阻止しようけれど、承銳が嚙みはじめ、「綠豆糕?」もぐもぐ言いながら笑顔を見せた。「うまいよ」
*****
承銳が再びバイクを発動、鈴が彼に手を振った。「ありがとうございます。そして…」もう零時過ぎたけど、すずがやっぱりこの一言言いたかった。
「メリークリスマス」
「メリークリスマス」
ヘットメルトを被ってる承銳の表情が見えぬが鈴が彼が笑ってるを気がした。だけど鈴が笑わなかった。先輩とのつなぎは今夜きり。明日からまた挨拶する程度の関係に戻る。
「あのさ」先輩の声がエンジン音に隠されて聞きづらかった。
「バイク取りに行くとき一緒に行こう。ライン交換しようか」
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この小説はクリスマスのテーマソング、山下達郎の「クリスマス·イブ」からもらったヒントでできたのです。
来日してからはじめてこの曲が人気のを知り、そして私の誕生日はクリスマスイブなので、まるで自分のテーマソングのよに、毎年恒例で聴いてます(笑)。
ネットでいろんな映像があるんですが、一番好きのは広瀬すずちゃんバージョン。主人公の名前の由来でもあります。
今年から自分の小説を日本語に訳すのをチャレンジしています。日本語能力がどれほど足りないのか痛感してる、
なんか変?と思われたかもしれません、作者の日本語能力が足りない、ちゃんと伝われずことに反省しました。
来年は日本語で小説書こうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます!!
メリークリスマス!