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やっぱり待つのは難しい
窓辺にある机は、ひかりいっぱい。暦の上で春が来たからか、ひざしもとろけるような心地する。身体も、ゆるっととけがちな朝。ブルっと震えたのは、机の上のスマホ。がりがりがりっ。机にこすれて、驚く。メッセージが1件届いた。
「もんじゃ焼きを食べてみたい。本場のもんじゃ焼きがいい。つれて行って」
いつも、突然の連絡をくれる友人だ(まあ、わたしも突然連絡を入れるのだけれど)。
本場というからには、月島だろうか。あのあたりに「もんじゃストリート」があった気がする。
わたしも、もんじゃ初心者。東京に出てきて、もう10年は経つというのに、1度しか食べたことがない。その1度も、もうかなり前だ。
干からびそうなくらい、鉄板の上で放置して。薄っぺらくのばして、こげかけを食べるのが美味しい。と、東京を地元にしている友人は言う。前回は、その友人に焼いてもらった。
あの、しゃばしゃばした液体を、どう焼けばいいのか。焼きあがるまでが、待てない。何度も、友人に「待て!」と号令かけられながら、食べたことを思い出した。
どうしよう。今日、ちゃんと待てるだろうか。
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昼過ぎ。わたしは上京してきた友人とふたり。もんじゃストリートを歩いた。そして、1件のもんじゃ屋さん(?)に入る。そこでは、お店の方が焼いてくれるらしい。
久しぶりに会うから、話すほうが忙しい。なかなか、口に食べものが入らない。
ひとりだと、待てない。3人以上だと、食べる人にまわってしまう。でも、ふたりだと、お互いに話していることで口が忙しい。だから、待つことができる。
そのおかげで、もんじゃを「干からびそうなくらい」にして食べることができた。おいしい、もんじゃ焼きだった。
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友人の爪はいつも、きれいだ。季節、その時々のテーマでデザインされた爪。すっと、目をひく、爪の色。
▽このときの友人が、出張で上京してきた
いつも、その爪がうらやましくて。今日は、わたしの爪も染めてもらった。
「乾くまで、ちょっと待ってね」と、声をかけて20分ほど、友人は席を外す。その時間が、待てない。
色のついた爪がきれいで、なんども眺めているうちに触りたくなる。まだ乾ききっていなかった色は、触ってよれた。まだらになった。わたしは、途方に暮れた。
やっぱり、待つのは難しい。