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いちき たまこ
2020年5月20日 16:34
がさがさ、ごそごそ。草を踏む音が聞こえてくる。だれかがこの道を上がってきたのだろうかと、道を開くために持っていたナタを腰に戻し、石を採るためのハンマーを握りなおす。音のする方をじっと見る。しばらく待つ。けれど、何もでて来ない。また風の音か、小さな動物でも動いたのか。けものの匂いはしてこないから、いたとしてもネズミの大きさ。それにしては、音が大きかったな、と思い出して、考えるのをやめる。