【世界観の構築戦略】
今回はAmazonオーディブルネタです。
『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』(著:水野学、山口周)を聞きました。
お二人とも私は好きな作者で、水野さんはデザイナー、山口さんはコンサルタントです。
このお二方の著作は創作をする上でも必要な知的思考を提供してくれるので、非常に重宝しています。
さて話が急に飛びますが、私は敬虔なandroidユーザーです。
しょっぱながandroidだったので、iPhoneを使ったことがありません。
職場にiPadがあるので使っていますが、あれは作業レベルに比してオーバースペック……。
Appleの最新スマホであるiPhone15ですが、13~15万くらいするっぽいですね。
スペックでいえばGoogleが生み出した最強スマホpixel8a(8万円くらい)と比べて遜色ないにもかかわらず、値段はかなり違います。
スペック的に動きが大事なゲームをやったり写真にメッチャこだわるならiPhone15のほうが良いのですが、正直pixel8aでよくね?ていうかpixel8aですらオーバースペックじゃね?って私は思っています。
これはあくまで「スクリーンタイムが鬼短い私からすると」って感じですがね。
Appleという企業はスティーブ・ジョブズがアートディレクターみたいな役割を果たし、製品の生み出す「意味」を追求してきた会社です。
機能的に優れているのはもちろんのこと、世界観構築の上手さでGAFAMの一角になったと言えます。
「機能はすぐに飽和する」ことを理解していたジョブズは製品の見た目にとことんこだわり、私が部下だったら絶対病みそうなほどの注文を付けまくっていたそうです。
Appleという企業の信念や社是、ジョブズが放つ圧倒的な「物語性」で顧客を引き付け、消費者の利用するビジョンを巧みに描いてアプローチし、「意味消費」を促した点で現代マーケティングにおける白眉と言えるのでしょう。
他で当てはまるのはスターバックスです。
スタバって広告を打っていないのに、めちゃくちゃ人気ありますよね?
めっちゃ高いんだろうなと思って値段調べてみたら、思ったよりも高くなくて驚きました。
スタバは「Macを開いて作業をする自分」「オシャレに本を読みながら時間を過ごす自分」「雨を眺めながら窓辺で佇みコーヒーを啜る自分」みたいな「意味消費」を促しており、これにユーザーは満足して金を払っているわけです。
サービスそのものではなく、店全体を包み込む世界観に魅了された客が使っている。
またテイクアウトした客がスタバのコーヒーを抱えて街並みを歩っているというビジョンまでも想像し、ロゴや接客のひとつを取ってもこだわり抜いています。
私が愛用している神キャフェのベローチェを引き合いに出しましょう。
安いうえにWi-Fi使い放題、水飲み放題!
しかも他に比べてそんなに人がいない!
でも別にオシャレ感はない!(失礼)
こういう機能的なところを選んでしまうのは、節約家の悲しい気宿命なのでしょう。
真の節約家はキャフェになんか行かないだろうけど。
現代のマーケティングの理論に照らすと、この二企業はとても強いんですよね……。
「機能消費」はすでに行くところまで行ってしまっており、これ以上の差異をつけるのが非常に難しい。
それは新作家電を見ればよく分かります。
意味の分からない機能ばっかりついていますから。
最近はスマホ市場も「機能消費」は終焉を迎えており、先述のpixel8aが悲しきモンスターとして生み出されてしまいました。
さらに日本の市場は間違いなくこれから縮小します。
なぜなら少子高齢化の歯止めが利かないから。
そうなると「機能消費」を追求した争いというレッドオーシャンではなく、「意味消費」を追求した独自路線へと踏み出すブルーオーシャンで戦うほうが合理的選択になります。
これは創作にも言えると思いますが、「いかにして独自性を出すか?作者自身のファンベースを構築するか?その作品をプレイしてもらえる導線を確保するか?」を考えるのは楽しいところでもあり、悩ましいところでもあります。
作品を発表する方は多少でもいいから、マーケティングの知識を仕入れておいたほうがいいのかもしれませんね。