[噺のネタ]23『たがや』(金八師匠からの落語「三大難しい地噺」の1つ)
三遊亭金八師匠に教わりました。
書生っぽい芸人が多いと言われる落語協会では、芸人らしい軽やかな雰囲気をまとっている金八師は稀有な存在です。
師匠特有の気の利いたくすぐりがまぶしてある…そんな師匠の地噺が好きです。
特に『たがや』はくすぐりの入れ方が難しいと言われています。
小朝師匠が仰っていた「三大難しい地噺」(※1)の1つです。
たけ平兄さんによると、くすぐりを入れることにより噺のリズムが崩れてしまい、グズグズになりやすい噺なのだそうです。
地噺でグズグズになるとトラウマになりますから。
しかし、自分で工夫してくすぐりを入れなければ地噺にはなりませんし…。
そんなこんなで、あまりそう思われていないようですが、難しいネタなのです。
アタシは真打ちになり『玉屋柳勢』を襲名することが決まってから覚えました。
真打ちになる直前ですね。
それから試行錯誤を重ね、昨夏ようやっと色々な所で出せる様になりました。
昨夏工夫したのはサゲの直前のくすぐり
「お殿様、(先をきられて)棒になった槍を見て、しばしボー然」
「こんな槍いらない、ってんでポーンと放って、ヤリっぱなし」
という赤点レベルの定番ダジャレが2つ続く所を変えました。
と言っても洒落を変えた訳ではなく、返しを変えたんです。
というのは、以前たけ平兄さんから「地噺は、ギャグがウケなかった時の返しを何パターンか持っていることが大事」だと教わったもので。
一度の高座で同じ手を2回使わない様にと。
それでこの箇所の返しを変えた所、とてもやりやすくなりました。
どんな風に変えたか。
それはぜひ高座をお聞きくださいまし。
今年の夏も良い工夫が出来る様、試行錯誤して参ります!
(2023.5.13 20:52 HPに投稿)
※テレビで紹介されていた、noteの編集機能やAI機能は使用しておりません。完全にオリジナルの投稿となります。
「三大難しい地噺」(※1)については『お血脈』でも解説
これまでの噺のネタはこちら
<玉屋柳勢(たまやりゅうせい)とは>
落語協会の噺家。2020年真打に昇進。
六代目 玉屋柳勢を襲名いたしました。
これまで師匠方から「直に」受け継いだ落語。
それはアタシの財産です。
その楽しさと良き伝統をお伝えできたら嬉しいです。
落語会「噺の種」「玉屋噺の会」「ここだけの話」「ヒルラクゴ」「101らくご」を自主開催。
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