高次脳機能障害「私」のマイクロツーリズム ~ たまさん、12月中旬に本を出す~
このコーナーは重度高次脳機能障害当事者(重い知的障害、ADL全般の障害、特に失語症で思うように意思表示できない)の家内(=「私」)の気持ちを、夫である私(=たまさん)が推測し、家内の視点に立ち家内の言葉で書いたものです。
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お久しぶりです。
「私」の調子が悪く、なかなか思うような報告ができなかった。
嚥下と姿勢(立位・座位ともに)、排泄などなど。
この1~2か月の機能低下は大きい。
特に薬が思うように飲めなくなった時には、たまさん(「私」のだんな)の落胆はとても大きかったようだ。
「私」の中では、大きめの錠剤はどうも口の中で違和感を感じる。
もともと神経質なせいもあるが、一度気になったらなかなか治らない。
いまはシロップにしてもらったのでなんとか落ち着いているが、こうした口内の違和感や、障害にともなう口内コントロールの不調が食全体に悪い影響を与えてしまったようだ。
結局、口に入れたものを外に押し出してしまう。食に対するモチベーションが下がる。結果として栄養摂取量は減少。体重もこの1か月で一気に2キロほど減ってしまった。
血液検査でもアルブミンは3か月前に比べて0.5ポイント悪化。
心配したたまさんが栄養士の方に相談。ご飯の形態、食環境の工夫(ワンプレート化など)のアドバイスをいただく。
それでなんとか食事環境は改善してきたが、まだまだ問題は根深いと思っている。
このタイミング、たまさんにとっては大変な時期だったようだ。
実は12月中旬には、たまさんは出版する。
昨年春から準備を進め、ようやく「本」としての形ができつつある。
だから、正直、自分のことだけで精いっぱいだったようだ。
しかも、どうも校正がうまくいかなかったらしい。著作権の確認があったり、何度確認してもミスが発見されたりなどで、たまさん自身、けっこうイライラしていた。疲れていたと思う。
それがようやく先日、最終校正を終え、あとはカバーデザインを決めたら出版を待つだけ。表情も和らいできたように見える。
「私」もほっとしている。
本の内容は、退職後に見出したたまさんの読書活動の話。
中でも、読書会(信州読書会)に入って、とても知的刺激を受けたようだ。
けっこういろいろな本を読んでいるし、毎週金曜日夜のオンライン読書会をとても楽しみにしているようだ。
読書を通じて受けた知的刺激を、いわゆる「知的で素敵なシニアライフ」の一環として、多くのシニアの方々にも感じてもらいたいという。
「私」の介護だけでも大変なのに。
ご苦労様です。
ある意味で、読書が今日のたまさんの精神安定剤になっていることは間違いないだろう。と同時に読書会の存在に救われた、と感じている。
『人生100年を楽しむために ワクワクリベンジ読書のすすめ』。
12月中旬に出版します。
みなさん、どうぞご購入をお願いします。