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「国家賠償法」の判例4つほど

昨日書いた内容の関連知識として。

関西水俣病訴訟(最判平16.10.15)
国及び熊本県に対し,水俣病発生及び拡大の防止につき規制権限を怠ったとして国家賠償請求を提起した事案。
権限を行使しなかったことが著しく合理性を欠くものであるとして,県が国家賠償法1条1項による損害賠償責任を負うとした判断が是認された。

高知落石事件(最判昭45.8.20)
国道に落石が生じ,走行中の貨物自動車に直撃して同乗者が死亡した。これに対し,遺族が国家賠償を請求した事案。
国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは,営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい,これに基づく国及び公共団体の賠償責任については,その過失の存在を必要としないと解するのを相当する。…予算措置に困却することは推察できるけれど,賠償責任を菜無我れ得るものと考えることはできない…不可抗力ないし回避可能性のない場合であることを認めることができない旨の原審の判断は,いずれも政党として是認することができる。…損害賠償の席に任ずべきことは明らか…とされた。

原発事故の「避難指示遅れ」の責任の件において,不作為の責任の類似事案として,1条の線で行くのならば,避難指示遅れが著しく合理性を欠くか否かが争点になり,関西水俣病訴訟(最判平16.10.15)の判例が参考になるかと思われる。2条の線で行くならば営造物責任を問う,高知落石事件(最判昭45.8.20)が参考になる。

参考として河川工事の不作為で訴訟になった事案も二つ。
未改修事案:大東水害訴訟(最判昭59.1.26)
改修済み事案:多摩川水害訴訟(最判平2.12.13)

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
②前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
②前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

引用:
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000125_20150801_000000000000000

判例へのリンクは以下記事参考に…


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玉坂
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