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『マネーの代理人たち』小出・フィッシャー・美奈(著)
本作品は、著者がグローバルな投資業界での個人的な体験を通じて見聞きし、考え、感じたことをまとめたエッセイだそうです。
外資系金融機関での経験を垣間見えるのは、非常に興味深かったですし、株式市場を動かすプレーヤーたちの実態に触れるのは、有意義でした。
第1章 それでも投資は面白い
マネーは未来を追いかける
マネーを追うと世の中が分かる
権力は上に行くほど空洞化するという不思議な感覚
企業が提供する多くのモノやサービス、企業が公表する業績数字の
一つひとつの裏側には、それを実現させた人々の日々の努力が隠れている。
投資は人や社会を学ぶ仕事でもあるのだ。
第2章 セル・サイド
株式投資とは本来、株を買うことによって企業の一部のオーナーとなり、その企業の将来の成長にコミットする行為であり、短期利益を狙った「投機」とは区別されるものである。
株式投資にかかわるプロフェッショナルの多くも、そうした長期投資の考えに基づき企業の競争力、業界や事業の構造、企業業績などのファンダメンタルズを時間をかけて分析する。
それは、事業の価値や「株主価値」の本質を追い求めて、情報と格闘する世界だ。
市場がつけている株価と、株の真の価値の間にギャップがあるかどうかを見極めて、そこに投資機会を見つけるのだ。
株式の価値を測る方法
DCF:将来の予想CFを積み上げ、それを現在価値に割引くことによって算出される「企業価値」からネットの借金(=借金と現金の差、純借金)を差引いて「株主価値」を求める。
同じ業界や事業内容の似た企業を横に並べて、市場が与えている株価が類似企業に対して割高か、割安かを比較する方法もある。
株価収益率や株価純資産倍率などの株価倍率(マルチプル)を、類似企業のそれと比べる手法は一般によく使われる。
投資は「アート」。サイエンスではない
第3章 「マネーの代理人」としての投資運用業
世界公的基金(2017年時点)
アメリカの社会保障信託基金(ソーシャル・セキュリティ)300兆円規模
日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)150兆円規模
(出典:Soverign Wealth Fund Institute)
他人のマネーでマネーを創造する事業
世界投資運用会社預かり資産
ブラックロック 511兆円、バンガードグループ 374兆円
ステートストリートグローバル 247兆円
(出典:Pension & Investments)
ヘッジファンド預かり資産
ミレニアムマネージメント 22兆円、
ブリッジウォーターアソシエイツ 20兆円、シタデル 16兆円
(出典:Hedgefund Alert 1Q2016)
私見ではあるが、マネーの代理人のパフォーマンス測定にはクローバックの考え方などを取り入れて、長期でインセンティブを考えるべきではないだろうか。
第4章 「アルファ」を求めて
「アルファ」とは市場の「ベータ」を上回る長期的な「超過」リターンのこと。
市場の予測というものが難しいからこそ、自分なりに懸命に考え抜いた末に選んだ銘柄や投資戦略が思いどおりにいき、マーケットという怪物が自分の思った方向にてなづくように動いたときの快感は癖になる。
第5章 投資業界の「ヤッピー」たち
都会で働く若いホワイトカラーのプロフェッショナルのことを「ヤッピー」と呼ぶ。アメリカの金融業界は概して若い。
投資業界は男性社会
金融業界という「アメリカン・ドリーム」
「ラットレース」ネズミの競争
第6章 グローバルファンドはなぜ日本株を買うのか?
グローバル・インデックスの日本株比率は1割以下
MSCIワールド指数(MSCI World Index)
残念ながら多くのグローバルファンドの運用者は、普段はあまり日本株に注意を払っていないのだ。
リスクヘッジにならない日本株
「成長なき日本」という評価
とくに問題とされるのは人口減少だ。
多くのグローバル投資家は人口減少=労働力減少=GDP減少=企業の売上・利益減少という等式で、日本株は買えないと主張した。
それでも日本株、という理由
たとえ長期GDPがフラットだとしても、日本に投資の機会がないわけではない、と。
個別企業の選別投資の機会は、日本にはまだまだ豊富にある。
第7章 ウォール街から見る日本の「国際競争力」
震災で浮き彫りになった日本企業の強さ
日本に多い「ニッチ・ドミナント」
コミュニケーション能力の高い薬品業界
第8章 グローバル市場の中の「アベノミクス」
「資本効率」というグローバル投資家の「勘どころ」
日本企業の「資本効率」である。
キャッシュと貯める日本企業
国がかりのROE向上推進策
第9章 誰がマネーの流れを変えるのか?
「ウォール街を占拠せよ」
ピケティが世界で読まれる理由
みずほ証券の北野一さんは、日本のように経済成長が低い国の企業に、米国など成長率が高い国の企業と同じような身丈に合わない資本のリターンが求められることによって、日本の活力が奪われていると主張し、「デフレの真犯人」という著書もお出しになっている。
動き出したESG
E=環境 Environment
S=社会 Social
G=ガバナンス Governance
マネーの流れとサステイナビリティ
「サステイナビリティ」がマネーの仕組みの合言葉となる日が待ち遠しい。
ウォール街の投資運用会社に興味ある人には、面白いと思います。
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