紙芝居「むささびタマリン森のおはなし」
林業再生に意欲的だった2000年頃、僕がつくった創作紙芝居を公開します。作詞作曲も手がけたテーマソングはYouTubeに、紙芝居創作までの経緯は当時の新聞スクラップが解りやすいので載せておきますね。ではでは、始まり〜〜〜
♬オープニングテーマ入る
1)むささびタマリン森のおはなし・・・ぼくの名前はタマリン。東京の西多摩の山の中で生まれたんだ。ビルの立ち並ぶ東京の町も電車で少し奥に走ると、動物たちの住む、立派な森があるんだよ。そこには「林業」っていって、木を植えて育てて、暮す人たちもいるんだ。そう、ぼくは西多摩の林業地で生まれた。だからタマリンって名前 なんだ。
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2)夜になると、森の動物たちが活動をはじめる。ぼくも、グライダーみたいにシューっと空を飛んで、ごはんを探さなきゃ。ところで、ぼくの住んでいる木のほら穴、この木はね、ちかくに住む、きこりのおじさんのところで植えたものなんだ。もう百年ぐらいたった大木だから、おじさんのおじいちゃんの植えたものかもしれないね。
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3)ところが、下に降りてみるとガッカリしちゃう。君たちがポイポイ捨てたゴミがいっぱいだァ。それからせっかく植えた木が雪で折れちゃったり、つる草に巻かれて助けを求めてる。ほかの木もいっぱい生えてきて通れないところもあったり、奥のほうは暗くて草も生えていない。なんだかさみしい森だね。これじゃぼくたちもエサを探すのが大変だ。
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4)どうしてこうなっちゃったのかな。ぼくはきこりのおじさんに聞いてみることにした。
「ああ、タマリン。わしらもきちんと木を育てたいのじゃが、近ごろは木で家をつくる人が少なくなって、せっかく木を育てても売れないのじゃ。それに、わしらも昔はガスや電気が無かったから、マキでごはんを炊いたり、落ち葉を畑のひりょうにしたり、森の恵みを利用していたのじゃが、いま、山に入る人はめっきり少なくなってしまったなあ」
「ふーん。ところで奥で草を刈っている人たちはだれ?」
「あれは、町からやってきた人たちじゃ。日曜日だけ森の手入れを手伝ってもらっているのじゃ」
「えーっ、それってどんな人?」
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5)「こんな人だよーっ!」
「ふわーっ、町の人の作業着姿ってなんだかカッコイイって感じ。道具も本格的だね。頭のへんな帽子は何ですか?」
「これはヘルメットよ。山の作業は刃物を使ったり、すり傷をつくったり、虫にさされたり、けっこう大変だから。でも森づくりは楽しいこともいっぱい! なにしろ木を育てるって本当にステキなことなんだから」
「ふーん。ところで木を育てるって、森の手入れって、どうやるのな?……」
(※太字、女性読み)
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6)「かんたんに教えるわね。──小さな苗木を、クワを使って山の斜面に植える。これを『植林』っていうんだけど、夏になるとまわりに草がいっぱい生えてくるから、それをカマで刈り取ってあげるの」
「下刈りとか、下草刈りとかいうやつだね。なんだか暑くって大変そう」
「そうしないと、草に負けて木が枯れちゃうからね。木が大きくなったら“ 枝打ち” といって下の枝を落とす作業があるわ。ハシゴを使ったりして木に登るから、ちょっとスリルがあるけど、慣れると楽しいわよ」
「これならぼくにもできそうだ。木から木へ飛び移ったりして」
「それから木を伐って、間引く作業があるわね。大きくなると、となりどうしの葉っぱがぶつかっちゃうから」
(※このページでは途中で解説を2回入れます)
「ふーん、木を育てるって、いろいろ大変なんだな。でも、いま、木って売れないんでしょ?木の家なんてもう古いのかなあ……」
(※太字、女性読み)
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7)「そんなことないわよ。私は木の家に住んでいるけど、木ってあたたかくて、やさしくて、とてもいい感じよ。昔はクーラーも使わず、みんな木の家に住んでいたんだもの」
「へーっ、この木が森からやってきたんだね。なんだかぼくも木のおうちが欲しくなっちゃったな」
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「アッ、いっけねー、ぼくのうちは最初から木のほら穴なのであった。フムフム、本を読んで調べてみると、〈東京の木で家をつくる……〉、そんなグループの人たちもいるのであった。そういえば、おねえさんはこんなことも言っていた」
「ねえタマリン。この家をつくったあと、私たち木を植えに行ったのよ。この子がおじいちゃんになるころ、その木がまた次の家に生まれ変わるようにって……」
(※太字、女性読み)
(※このページは最初半分だけ引き抜いて点線までを読み、全部引き抜いて見せて後半を読みます)
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8)もっと森がにぎやかになって、木がすくすくと育って、みんながもう一度、森の恵みを上手に使うようになって、
「ぼくたち動物も楽しく……」
「わたしたち人間もうれしい……」
(※太字、女性読み)
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9)「そんな森が、近くにあるといいよね!」
「おしまい」
(※太字、男女同時読み)
エンディング・テーマ入る ♪
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10)おまけの画面
※ここでは東京にも山があり川が流れ、都市の人たちも空気や水や木材などで山の恩恵を受けていることをアドリブで話します。他県で演るときは、その地方のバージョンを作画して最後に見せます。
▼オープニングテーマ/エンディングテーマはYouTubeで。
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紙芝居『むささびタマリン森のおはなし』/絵と文:大内正伸
MASANOBU OHUCHI©️2000
scrap 『朝日新聞/多摩版』2000.6.11
最後に以前作った電子書籍『むささびタマリン物語』から、紙芝居ページを抜粋し、PDFを載せておきます。テーマソングのギタコードや、都立五日市高校での講演録もあるので読んでみてね♬