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恐怖の4トン冷凍車ドライブ。
真夏の週末。
ついでに、快晴。
もちろん、気温は35度超え。
こんな日は、いつもであれば夫(ワタル)とよっしーは、弊社が運営するバーベキュー場「タマリバー」で灼熱地獄と戦っています。
でも、8/3(土)と8/4(日)の二日間に限っては、二人が戦っていたのは暑さではありませんでした。
彼らは、「氷」と戦っていました。
戦い方は、「4トン分の氷を手作業でトラックに放り込む」というものです。
どう考えても勝ち目なさそう。
氷を持ってどこまでも~「出張」氷のひろば〜
私たちはバーベキュー場の他に、各種イベントの企画・運営事業を行っています。
その中に、スケートリンクの整氷作業で発生する雪のような質感の氷を使った「氷のひろば」という遊び場がありますが、今回とある大型商業施設で行われる夏のイベントに、熱中症対策を兼ねた子連れ客の遊びスペースとして出店してはとお声かけいただきました。
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いつもは氷を提供いただく横浜銀行アイスアリーナの敷地内で行うイベントですが、今回は文字通り、「出張」氷のひろば。
一同気合いが入ります。
ただ、困ったことが一つありました。
氷のあるスケートリンクは横浜ですが、イベント会場は東京の平和島。
ゴールデンウィークには三浦半島で開催されたイベントに氷を運んだことがあり、その時は季節柄、小型ダンプに氷を積載してお届けしました。
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でも今は真夏。
同じように氷を小型ダンプに積載なんてしたら、会場に着く頃には氷はすべて水になっているでしょう。
いや、個体が液体になり、もはや気体になっている可能性すらあります。
いつもの通り夫は数分考えこみ、言いました。
「・・・冷凍車、借りるか」
人気アイドルグループのチケット並に手に入らない冷凍車
ワタルの発言に対して私が放った最初の言葉は、「冷凍車って、借りられるの?」でした。
私、レンタカーショップで冷凍車のラインナップなんて見たことないぞ。
調べてみると、意外にも一部のレンタカーショップで冷凍車の取り扱いがあることがわかり、ワタルは片っ端から問い合わせの電話を掛けていきます。
そしてなぜか、電話を切るたびに、顔が曇ってゆきます。
「やばい、借りられないんだけど」
夏は、当たり前ですがアイスを食べる人が増えるので、冷凍車の需要が急増します。
レンタカーショップで貸し出している冷凍車の数はもともと多くなく、かつ、だいたい食品メーカーが年単位で抑えているらしいのです。
私たちのような零細企業にはごく一部の冷凍車しか回ってこない上、「予約は利用日の30日前から。申込多数の場合は抽選」と言われました。
抽選ってあなた・・・
私たちが欲しいのは別に人気アイドルのコンサートチケットではなく、トラックなんですが・・・
予約開始日の朝。
ワタルは幼少期からのファンであるB'zのライブチケットを求める人のように、祈る気持ちでスマホを握り、時間になった瞬間レンタカーショップに電話をかけました。
無事、冷凍車利用チケット(ただのレンタル)をゲットしました。ふたりで思わずガッツポーズ。もう安心だ。
恐怖の四トントラック運転
冷凍車の準備ができたので、様々な備品を購入したり、注意事項をかいたチラシを用意したりしているうちに、あっという間にイベント前日に。
冷凍車に氷を積み込むのはイベント前日。
ワタルとよっしーはレンタカーショップに向かいます。
念願の冷凍車。しかも4トンワイド車。想像以上にでかい。
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なお、このトラックを運転するには「中型免許」が必要です。
弊社の中で中型車を運転できるのは、平成19年以前に普通マニュアル免許を取得したワタルだけ。
私に至ってはオートマ限定ですからね、マニュアルのトラックは一生運転できません。
ナミキ:「いや~ワタルさん、運転まかせちゃってごめんね~!」
よっしー:「交代で運転するつもりでしたが、免許がなくて残念です!」
ナミキ:「ほんとだよね~!いや~私らにも免許があればなあ~」
といった白々しい会話をよっしーとしました。
ワタルにはガン無視されました。
ここでワタルの運転技術についての補足ですが、彼は車とキャンピングトレーラーを連結(長さ10メートル超)した状態で狭い山道をなんなく登るという、はたからみてもかなり高度な運転技術を持っています。
結婚する前は、最高時速300kmの大型バイクを乗り回し、ツーリングで一日1000km以上走ったり、サーキットで遊んだりもしていたそうです。
だから、よっしーも私もあまり心配していませんでした。
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ところが、いざ冷凍車の運転を始めると、トラック内は不穏な空気に。
トラックはマニュアル車なので、まずは1速にしてスタートしようとすると、クラッチがスムーズにつながらず、ガコンガコン揺れながら何度もエンスト寸前状態に。
後でわかったのですが、乗用車のマニュアル車は1速でスタートし、加速するにしたがって2速、3速とシフトアップしますが、トラックなどの大型車は、最初から2速でスタートするものらしいのです。
そのことを知らなかったワタルとよっしーはこの状況に大パニック。
後によっしーは、「あのとき、ワタルさんは確実にてんぱっていた」と回顧しています。
一番怖かったのはワタルでしょうが、パニックに陥っている運転手に自分の命を預けるしかなかったよっしーも、なかなかの恐怖だったと思います。
弊社のグループラインには、ワタルが煙草でなんとか平静を取り戻そうとしている写真が送られてきました。
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ほうほうのていでやっとこさアイスアリーナに着いたと思ったら、その後二人は5時間もの間、ひたすら氷をトラックに積み込みます。
天井高の都合上、氷を廃棄する場所に冷凍車を横付けすることができず、50mほどの距離を何度も往復しながら手作業で積み込むことになるため、それはそれはしんどいようです。
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疲れ果てて帰宅したワタルは、何もしゃべりませんでした。
そして、彼は大型車用のカーナビアプリをダウンロードし、「明日運転する道のイメージトレーニング」を何度も何度も行っていました。
早めに布団に入るよう促すも、ワタルの目は不安と緊張で怖いくらいギラギラしていました。
当日の盛況と、私の失言
恋煩いでもなく大事なプレゼンを控えているわけでもなく、冷凍車の運転が不安で寝られぬ夜を過ごしたワタルは、朝6:00に家を出ていきました。
アイスアリーナに駐車しておいた冷凍車に乗り換えて、いざ会場へ。
よっしーからの報告によると、前日のワタルのイメトレが功を奏したのか、初日よりもずいぶん運転(とワタルのてんぱり具合)が落ち着いていたそうです。よかった。
現地に着いても休む暇なく、今度は氷を複数のビニールプールに入れ続けるというこれまた力仕事。
これを繰り返して、やっと「氷のひろば」が出来上がるのです。
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頑張ったかいあり、イベントは終日大盛況。
お子さんたちがキャーキャー言いながら夢中で氷を手に取り、保護者の方もお子さんと同じくらいはしゃいでいるのを見ていると、こちらまで嬉しくなってしまいます。
このイベントは2日間行われたのですが、初日は私はバーベキュー場の運営を担当し、2日目は私も子どもを連れて、イベント会場を訪れました。
「ちょっくらお手伝い」ということで、私も氷のひろばのスペースに氷を追加するため冷凍車に入りましたが、前日私は灼熱のタマリバーで一日過ごしていたため、冷凍車の中の涼しさに感動。
つい、「いや最高だね~!こんな涼しいならタマリバーよりも楽かも~」と口走ったところ、よっしーから
「はは、氷の積み込みがなきゃ、楽なんですけどね」
と笑顔で言われました。
でも、目は笑ってない。
いや、その目は冷凍車の氷よりも冷たい。
大変申し訳ございませんでした。
氷のひろばの企画・運営はおもにワタルとよっしーが担当していて、私はイベント当日に冷やかしに行くくらい。
つまり、大変な部分は何も知らないんです。
そこで、最後に二人が身を粉にして実現したイベントの様子をお届けし、私の失言へのお詫びにかえさせていただきます。
誠に、誠にお疲れ様でした。