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ミニミニ土鍋でインスタントスープ
土鍋のなき声
ある秋の日、しくしく泣いている土鍋の声をきいた。
「土鍋うちにあるので」「土鍋しまう場所がないので」ついには「土鍋あるけど上の棚にあるからめったに出さないわ」という声を、数年前までたくさん聞いた。耳をすますと、枯れた土のようなしゃがれた泣き声が家々から聞こえてきた。10年前、土鍋をつくりはじめた頃のこと。
コッチョリーノの展覧会にいらっしゃるお客さまは天使だから、笑みをこぼしながら他のうつわを手に取る。
インスタントスープにどうぞ
実は、土鍋をはじめて個展でご提案した当初のセールストークは、働きざかりでご多忙な男性、女性にむけて「ミニミニ土鍋はインスタントスープのためにちょうどよいサイズです」だった。なぜかというと、土鍋しくしくの要因は、上記のとおり【既に持っている】【置き場がない】だったので、なにかを一歩すすめない限り、大きな土鍋の購買欲はあがらないと思った。
「料理あまりしませんねぇ」そうおっしゃる男性が、カップスープならやってみるかなあと、ディスプレイ棚からお好きな色を迷いながら選んだ。その姿をみて、ぎゅっと手を結ぶくらいうれしかった。料理はともかく、うつわを買ってみようと思ってくれたのだ。コーンスープかミネストローネか色を想像して選ぶのも楽しいですよねと、つくり手は喜びのふるふる声で添えた。
コップや皿の大きさや深さを変えるように土鍋も楽しんでもらいたい。
別のある男性も、ミニミニ土鍋をきっかけに、次もまたその次も、東京や横浜での展覧会には必ず足を運んでくださり、少しずつうつわを揃えてくださった。そして、ある日すてきな女性を連れて、おおきめな土鍋をお選びになった。新しいご家庭を築かれるという。
土鍋の泣き声は、それ以来いっさい聞こえない。それだそれ!いけいけ!と重く自信ありげな土鍋からの声援が聞こえるようになり、喜びもつかの間、やがて哀しみの震災がやってきた。(※この次期を乗り越えて大きな土鍋が動く時代に移り変わった話は長くなるのでまた今度)
写真は、本日の昼食。味の素クノールの「海鮮チゲスープ」。
指定量のお湯を160ccを加え(コーンスープなど通常は150cc)、玄米ごはんをひとくち入れてふたをして3分蒸らしたもの。濃いめな味なのでごはんを入れてもおいしい。
言い出す機会がなかったが、実はクノール5〜6種類を長年にわたり常備している家族であり。男性陣が選んで買ってくるのがお決まりで、引き出しにきれいに図書カードみたいに並べるまでの管理されようだ。幼小中高と15年間まいにちお弁当だったのでスープジャーに入れたり、お菓子をたべない男子の軽食。
最後に、クノールスープ「ちょい足し」をご提案されている #有賀薫 さんのツイッター記事を貼っておくのでご参照あれ。ミニミニ土鍋をお持ちだったら、ぜひ指定量150cc(あるいは160cc)を入れてみて。ぴったりなので!