有馬記念(その3:古馬G1馬の取捨)
今年、よく似た境遇のG1馬が2頭います、
ヴェラアズールとジェラルディーナです、
ともについこの前までG1どころか重賞すら勝てなかったのに、いきなりG1を勝ってしまいました、
勢いはあります、
さて有馬では買えるでしょうか、
まだG1での経験が浅いので、どのくらい走れるかは分かりません、
でも有馬記念に適性があるか無いかは分かります、
私の予想を長年見てきた方はもう頭に入って来たのではないでしょうか、
競走馬には上がりの速いレースで勝てる馬と、上がりの遅いレースで勝てる馬とがいるのです、
すなわち、瞬発力に優れた馬と持久力に優れた馬です、
またG1レースには、瞬発力型のレースと持久力型のレースがあります、
瞬発力型のレースは秋天とジャパンカップであり、持久力型のレースは宝塚記念と有馬記念になります、
ですので宝塚記念勝ち馬は有馬記念出も好走し、
秋天、ジャパンカップで好走した馬が有馬で凡走する事が多くあるのです、
これを知っているだけで、G1レースをかなり勝てるようになります、
スーパーホースは両方勝てますが、それ以下の馬はどちらかに適性が偏るのです、
ヴェラアズールとジェラルディーナはおそらくスーパーホースでは無いでしょう、
ならば上がりの速いレースが得意なのか、上がりの遅いレースが得意なのかを見ればこの2頭の有馬での取捨が可能となるのです、
その前に一応、有馬記念のペースがどうなっているかを確認しておきましょう、
過去6年間のハロンラップを記します、
なお2500mなので入りの100mがありますが、毎年6.8秒でしたのでカットしました、
2016年:勝ち馬サトノダイヤモンド(自身上がり3ハロン35.5)
11.3-12.0-11.9-12.1-(入りの4ハロン)
13.4-12.8-12.9-(中弛みの3ハロン)
11.8-11.7-12.1-11.7-12.1(地獄の上がり5ハロン)
これが有馬記念の典型的なラップ構成になります、
スタートして1週目のコーナーを回って正面を走り抜くまでが入りの4ハロンです、
1、2コーナーを回って向こう正面に入るまでが中弛みの3ハロンです、
カーブを回り切るやおもむろに地獄の上がり5ハロンが始まります、
だいたいこうなります、
向こう正面から全体のペースが上がり、残り1000mの『持久力戦』になるのです、
だから東京の直線だけの上がり3ハロンのレースとは違ってくるのです、
入りの4ハロンが速い遅いはありますが、最後は残り5ハロンの持久力戦になるのです、
ただし2017年のキタサンブラックの年だけはこうなりませんでした、
2017年:キタサンブラック(35.2)
11.6-11.9-12.2-12.3-
13.3-13.2-12.8-
12.2-12.1-//-11.7-11.2-12.3
見ての通り、地獄の上がり5ハロンに入ってもまだ12秒台が続き、残り3ハロン(4コーナーカーブ出口)になって初めて11秒台になっています、
明らかに『忖度』という名の合法的な八百長が発生していました、
これはまた別の話し、
ですので、2017年だけは上がり5ハロンにはなっていません、
その後の4年間のラップを記します、
2018年:ブラストワンピース(35.7)
11.6-11.8-11.9-12.2-
12.8-12.6-12.2-
11.6-11.8-11.8-12.2-12.9
2019年:リスグラシュー(34.7)
11.1-11.4-11.4-11.5-
12.2-12-3-12.1-
11.7-12.3-13.4-12.2-12.0
2020年:クロノジェネシス(36.2)
11.8-12.2-12.5-12.5-
12.8-12.9-12.8-
11.8-12.3-12.1-11.9-12.6
2021年:エフフォーリア(35.9)
11.3-11.6-11.5-11.9-
12.5-12.6-12.2-
12.4-12.4-12.2-12.0-12.5
よーく見て下さい、
競馬をもっと極めたいと思うのなら、このくらい見て何かを感じなければいけません、
全て地獄の上がり5ハロンに入ったところでラップが上がってますよね、
ただし最後の2021年はそうなっていません、
これは大逃げの馬がいたからです、
この年はパンサラッサが大逃げしたので、レースラップはパンサラッサのラップを記しており、パンサラッサは残り5ハロンの時点で既に失速していたからです、
実際には後続集団がラップを例年通りに残り5ハロンから上げています、
このように大逃げの馬がいると表面的なレースラップが崩れるのです、
同様の事は2019年でもありまして、アエロリットが大逃げしましたが直線に入ってから失速したので最後の3ハロン目に13.4を計測しています、
実質的にはこの4年間は全て地獄の上がり5ハロンの競馬になっています、
さてこれで有馬記念が残り5ハロンの持久力戦になることが分かったと思います、
ではヴェラアズールとジェラルディーナがどちらの傾向に偏るかを調べます、
ヴェラアズールは芝に転向してから6戦、初戦の淡路特別を除いて全て上がり34秒以内の上がりの速いレースだけで好走してきました、
ほぼ全てスローのレースであり、サンシャインだけハイペースでしたが、自身は後方待機のスローでした、
そのサンシャインだけ中山コースを走り、で3着に敗れています、
とにかくスローのレースで後方、もしくは中段待機で、直線だけの瞬発力を活かしてゴール前差し切る競馬でG1まで勝ちました、
そして全て直線の長い、東京コース、阪神外回りでの勝利であり、持久力戦は1度も経験しておらず、明らかに瞬発力タイプです、
また他にも、騎手がムーアから乗り代わり、前走からプラスになる要素が何も無いのです、
ジャパンカップ勝ち自体も有力馬がシャフリヤール以外だれも居なかった、空き巣状態での勝ちであり、価値がひくいと考えます、
一方ジェラルディーナですが、鳴尾記念までは上がり3ハロン33秒台の速い上がりのレースでしたが、近3走は35.0、35.1、35.4と、上がりの遅いレースで好走しており、有馬に適性のあることを示しています、
ラップを調べても、エリザベスこそ上がり4ハロンのレースでしたが、小倉記念、オールカマーは上がり5ハロンの持久力戦になっており、そこで好走しているジェラルディーナは持久力型であり、有馬で好走できると考えます、
さて昨年2着のディープボンドについては次報で、