アレルゲンとプロバイオティクスを使ったアレルギー改善治療
ナチュロパスをやっていると一番多く訪れるクライアント様はアレルギーに悩む方です。ナチュロパシー(自然療法)は長期的な対応に向いていますので、アレルギーの方が多いのもうなずけます。
特にアトピー性皮膚炎のお子様を持つ親御さんなどの努力と苦労は並大抵でなく、食事やおやつはもちろんのこと、みそやしょうゆなどの調味料も手作りし、外で買ってくる食品や外食の際には使われている材料に常に気を回さなくてはなりません。
アレルギーはお子さんだけでなく大人になっても患っている方には本当に頭の痛い問題です。皮膚炎に限らずぜんそくを発症することもあり厄介です。
この研究論文はオーストラリアのメルボルン大学のもので、実験はお子さんを対象にしたものです。オーストラリアではかなりよく見られるピーナッツアレルギーに対する治療法で、プロバイオティックスとピーナッツそのもの(粉とピーナッツのタンパク)を同時に経口投与するやり方でした。結果ははっきりとした改善が見られた、ということです。
プロバイオティクスとアレルゲンとしてのピーナッツを組み合わせた経口投与による治療法はprobiotic and peanut oral immunotherapy (PPOIT)と呼ばれます。
今回の論文は2015年に発表されたものです。(おそらく新しい研究論文んも出ているのですが、アクセスして中身が読めるもので最新のものがこれでした)。1歳から10歳の間で、ピーナッツアレルギーを持つ62人の子供(56人が結果)に対してフリーズドライの Lactobacillus rhamnosus CGMCC 1.3724 (ネッスル)というプロバイオティクスとピーナッツ粉を18カ月間与え続けた実験を行った結果、ピーナッツに対する耐性が上がった、つまりアレルギー反応が抑えられたということです。Lactobacillus rhamnosusは乳酸菌で普通に私たちの腸内に生息している菌で乳糖を分解します。
double blind placebo contorolled randmizedというプラセボ効果と比較して、実験として信頼度の高い研究方法を使っています。
治療を受けた子供たちはピーナッツに対するsIgEが下がり、sIgG4値が上がったそうです。IgEはヒスタミンを分泌させ激しいアレルギー反応を起こすことがあります。IgGは長期的な免疫力になっています。
治療を受けた子供たちは治療後4年間生活の質に改善が見られたという報告もあります。
ただし、研究者をサポートする中に、このプロバイオティクスの提供者であるネッスルが入っているので100パー信じるかどうかは別としてアレルギー治療としては希望が見られると思いました。また62人という数はかなり少ないということも考慮に入れる必要があるでしょう。
ただし、この治療を自己流でやるのは、激しいアレルギー反応を持つ方にはお勧めできません。実験中は、親御さんは常にエピペン(アナフィラキシーが起きた時の応急処置の道具)をもって見守っていたそうですので、四六時中見ていることができないと難しいとは思います。ただやはり明らかに腸内環境を変えていくこと、そしてアレルゲンを完全除去するより、少しずつ耐性をつけることが大切なのだと思います。
また、この実験でも完全除去の期間を2回設けていますので、症状がひどい時は完全に除去、体力が高まり炎症が少なくなってきたところでならすという方法をとっています。
長い道のりにはなるのですが、腸内環境は住環境ともかかわるし、たまたま長くさらされた周囲の環境も関わります。すべてが遺伝と言うわけではなく、妊娠中食事も影響は人によって違います、お母さまが罪悪感を持つ必要はありません。少しずつ、少しずつ、腸内環境を変えていきましょう、そして腸内環境は心理的なもの(ストレス)と直結していることも忘れずに。
Hsiao, K. C., Ponsonby, A. L., Axelrad, C., Pitkin, S., Tang, M. L., Burks, W., ... & Su, E. L. (2017). Long-term clinical and immunological effects of probiotic and peanut oral immunotherapy after treatment cessation: 4-year follow-up of a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. The Lancet Child & Adolescent Health, 1(2), 97-105.
Tang, M. L., Ponsonby, A. L., Orsini, F., Tey, D., Robinson, M., Su, E. L., ... & Donath, S. (2015). Administration of a probiotic with peanut oral immunotherapy: a randomized trial. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 135(3), 737-744.
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「生命の力」ナチュロパスの記録
ナチュロパシー(自然療法)で学ぶハーブやサプリメントについての記事です。
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