コーチングを学ぶ読書メモ
(2020/07/04更新)
この記事は、次のように感じている人向けに書かれています。
「コーチングって言葉をよく聞くようになったけど一体なんだろう?」
「コーチングを覚えると、部下のメンタリングが楽になるらしいけど本当かな?」
読書する前のイメージ
・コーチングは、相手の考えを引き出して行動へつなげること
・「人に伝えるためにしゃべることで思考が整理され、自己解決する」ラバーダッキングと似たようなもの
・コーチングは、ルールに従った機械的な応答を返すだけでもある程度目標が達成できる(セラピストのように振る舞えるELIZAのように)
読書したあとのイメージ
・コーチングは、相手の考えを引き出して行動へつなげること
・コーチングは知識を与えたり問題を発見したりすることが主目的ではない
・コーチングは、コーチーの目的・目標を現実に実行可能なものにおとしこみ、目的を達成する
・コーチングは一度ではなく、何度も行う
・機械的な応答では、目的達成は叶わない
読んだ本
メモ
コーチの投げかける質問にクライアントの視点が変わり、物事がはっきりし、発想が膨らみ、そして行動を起こす意欲が湧いてくる。そのようなプロセスを作り出すことがコーチに求められる支援のあり方と言えるでしょう。
📝コーチングは教わらない。問題を見つけない。問い、解決に導く。
コーチングは「知識と行動の間に横たわる溝」に橋をかける試みと言えるでしょう
📝コーチングは行動を促し、目標達成に導く。coacheeに知識を与えることが主目的ではない。
📝コーチングが有効に働く例として、知識が増えスキルも上がり意欲が弱まっている人が挙げられていた。
「あなたの話を聞いていて、あなたは◯◯◯という期待や目的をもっているように感じる。そこを目指してみるのはどうか」と提案することも役立つでしょう。
📝コーチングは、目標がない場合に有効に働かない。やりたいことがないならコーチングは向かない。対話を通じてcoacheeが持っている目的を推測・提案することで意義のある時間になる。
📝簡単にまとめると、コーチングを通じてcoacheeの目的は整理され、coarchee自身が目標を設置する。coacherは定期的に話をしてモニタリングする。
📝コーチングはセットアップ、実践、振り返りという3つのフェーズに分かれている。上述したものが、コーチングにおけるセットアップ。
📝モニタリングするときの観点が三つある。
クライアントの状態を把握するためコーチは3つの視点をもっています。それは、
・ポゼッション、身につけるもの
・ビヘイビア、行動
・プレゼンス、考え方、信念
という視点です。これを「PBPの視点」と呼びます。
📝ポゼッション、ビヘイビア、プレゼンスの三つ。
ポゼッションの視点からコーチのする質問として、以下のようなものがあります。
・理想の状態に近づくために自分に必要なものは何ですか?
・目標達成のためにはどんな分野の情報が必要ですか?
・自分がいまもっている知識やスキルで使えそうなものは何ですか?
📝ポゼッションは、スキルや技術、知識の視点。目的と目標を達成するために何が必要かcoacheeに気づいてもらう。いわば、努力の方向のキャリブレーション。
コーチはクライアントがどんな行動をするか、どれくらい行動しているかなどのBehaviorに注目しコーチングを進め目標達成を支援します。たとえば、コーチのする質問として以下のようなものがあります。
・やろうと思っていて実行できないことは何ですか?
・目標を達成するために今日からできることは何ですか?
・次回のセッションまでにどんなことをやりますか?
📝ビヘイビアは、行動の視点。知識と行動のギャップをcoacheeに把握してもらう。目標達成に必要な取り組みの確認と同意。
Presenceについてコーチのする質問としては以下のようなものがあります。
・あなたが大事にしている価値観は何ですか?
・環境の変化に合わせて、自分が変化すべきことは何でしょうか?
・その目標を達成することは、あなたにとってどんな意味がありますか?
📝プレゼンスは、目標達成を邪魔する意識に気づかせること。「人の時間を無駄にしてはいけない」というプレゼンスのもとに「人に聞かずに一人でやる」という行動をしていたりする。目標達成はときにはマインドセットを変えないといけないことを表している。
📝コーチャーはコーチーの話がどのPBPの視点に当てはまるのか、コーチーの語り口が本当に正しいのか、ほかの視点だとどうか考える。
PBPの3つの視点はそれぞれが独立して整理できるかというとそうではありません。
📝PBPは独立していない。お互いに関連している。
Possesionの視点では、コーチは「クライアントが目的達成のために備えるべきもの」について扱います。たとえば、本人のモデルとなる人の行動から必要なスキルを明確にしたり、コーチから必要なスキルを提案することもあります。
📝コーチングは、Tell(教える)するものではないと序文で書いていたが、Possesionの視点では、割とTellしたほうが円滑に目標に近づきそうだ。言い換えれば、コーチングは、コーチャーとコーチーの専門が一致したときに最大の効果を生みそうだ。ただし、答えを与えてはいけない。あくまで気づくことが大事。
コーチとの対話の中で、Cさんは「部下の状態を、より効率的に把握する方法」が必要なのではないかと考えました。そこでコーチが「Cさんがこれまでに出会ってきた上司やほかの管理職がしていることには、どのようなことがあるのか?」と聞くと、(中略)
📝過去の経験を聞くことは1つのテクニック。コーチャーの中に答えがあっても、自身の経験から思い出した方が納得しやすいだろう。
スキルや知識といったPossesionが揃えば、目標は達成することができるでしょうか。やり方はわかっている、しかし、忙しいから、具体的にどうしたらいいかまではわからないから、という理由で行動を起こせないことがあります。
📝情報を集めすぎる人は行動を起こしづらくなるという通説はよく聞いている。実際、僕もそう。実現するための情報に落とし込めていないと、よく陥る。
行動が起きるまでには4つの壁を乗り越える必要があります。
①目標を立てた時点での決断の度合い(コミットメント)が低いため行動が起こらない
②やる気はあるものの、何をしたらいいのかわからない
③知識・スキルをどう使ったらいいのか、具体的にわからない
④変化を起こせない
📝どれも納得できるし、よく見かける。本では、これらすべてを乗り越えなければならないと主張している。次に一つ一つ詳細を引用する。
①いつまでたっても、「忙しいからできなかった。明日からやります」というような場合です。
これは目標の設定方法に問題があります。目標が明確でない、もしくは実施していない現状に危機感を覚えていないために行動の必要性を感じていないのです。もしかしたら、「本当はやらなくてもいい」と感じており、建て前で決めた目標かもしれません。つまり、実行しなくても危機は訪れず、他を優先させて、決めたことは実行しないほうがメリットが高いと考えているプレゼンスがあるのです。
📝これは僕もよくある。目標が意味をなさないため、目標の更新とプレゼンスの更新が必要そうだ。
②Possesionそのものが不足しています。知識としてのPossesionが不足しているため、どうしたらいいかわからない状態です。この場合、前述したPossesionの視点でコーチングをすることで前進を促します。
📝知識やスキルを与えたり、コーチー自身の経験から思い起こさせればよい。
③Possesionがあるのにその適用方法がわからないという状態です。研修を受けたけれども現場ではなかなか使えないというのは、まさにこの状態です。
📝本の中に解決策が書いていない。カンファレンスや勉強会に参加して良い情報を得たときによく起こる。これはたぶんPresenceの視点。
④記述なし。
📝「変化を起せない」だけでは読み取れないので、詳細を書いて欲しかった。
📝①から④を一言でまとめると
①コミットメントが低い
②Possesionが不足している
③Possesionが適用できない
④変化を起こせない
コーチはクライアントに質問することで、いつ、何に、どうやって使うかまで会話の中で明確にし、イメージをもってもらいます。スキルを使う対象やタイミングが明確になることで、行動が起こる可能性が高まります。はじめはうまくスキルを使えないかもしれませんが、行動をしたあとのセッションで、うまくいったのか、どうだったのかを振り返り、自分の現状に適用した行動へさらにブラッシュアップしていきます。
📝イメージが不明瞭だと行動に移せない。イメージを鮮明にもってもらえるように、具体化する話をする(=Possesionを現状に適用すること)。
コーチングをしていると、「せっかくもっている知識・スキルを目標達成に使っていない」というケースにも遭遇します。
たとえば、「早く仕事を終わらせたい」という目標があり、どうしたらいいと考えるクライアントがいるとします。その方に「仕事を早く終わらせるにはどんな方法はあるか?」と質問すれば、毎朝予定を立てる、チェックリストをつくる等、いろいろなアイデアが出てきます。これは知識があるのに行動につながっていなかったということです。コーチはこういったクライアント本人のもっているPossesionを引き出し、現状に適用させて行動を促進させます。
📝答えは本人の中にあることがある。本人の中の優先度の問題かもしれない。
次に4つめの壁である「変化を起こせない」ということについて考えてみましょう。t,
人は新しい行動をはじめること、そのものに抵抗を覚えます。これは「現状バイアス」として学術的にも知られています。バイアスとは人間の思考に無意識に影響を及ぼす偏見や先入観のことです。
(中略)
「現状維持のバイアスを乗り越え
「新しい行動」という変化をクライアントが起こせるように支援するために、コーチングではクライアントに行動を「宣言」してもらうことがあります。
📝宣言することのメリット
①他人との約束をすることで、約束守ろうとする気持ちが働く。守れば承認を得られる。期限があることで行動する
②行動が具体化する。宣言してもらうときに、詳細な行動計画を立てるため
③コーチがクライアントのコミットメントを知る。行動を宣言しているときの声の大きさ、自信がありそうかなさそうか。コミットメントが低いと感じたら、それについて話す。
行動して振り返る
📝コーチングは、クライアントが行動して終わりでない。起こした行動を振り返る。クライアントが成長を実感できる。
コーチングでは、「行動を起こすコーチングセッション」とその間の実践期間、そして、「行動の振り返りセッション」という繰り返しにより目標達成に近づいていきます。
📖Presenceとは
Presenceとは価値観、考え方、ものの捉え方といったものです。
たとえば、「仕事は成果で評価するべき」と考える人もいれば、「成果だけでなくプロセスも評価するべきだ」と考える人もいるでしょう。
📝この文章のあとに、もつべきPresenceと現状の間にギャップのあるAさんが取り上げられていた。
管理職になったAさんは、元営業職。「プレーヤーとして自分の成績を上げることからチーム全体の成績を上げる役割に変わったことを意識していくことが大事だ」と語る。しばらくして「なかなかメンバーが成果を上げない」と言う。現状を聞くと、部下についていき一人で商談をまとめ「まだまだ俺がいないとダメだな」と発言しているようだ。プレイヤー時代に作られた「営業たるもの自分の成績を上げることがよいことである」Presenceが残っている。
コーチはAさんのPresenceの印象をフィードバックし、いま選択すべきPresenceがどのようなものかを問いかけます。
📝口頭でしゃべっていても、Presenceが変わらないと誤った行動を引き起こすことが、この例から学べる。そして、Presenceは頭でわかっていたとしても、口でしゃべった程度では変わらないことがわかる。
Presenceは、その人がこれまでの人生で得た成功体験によってつくられています。
(中略)
環境の変化に対応せずに、同じPresenceをもち続けていると、いつの間にかそのPresenceが現状とマッチせず、成長の妨げになってしまうことがあるのです。現在のパフォーマンスを最大化するためには、現在必要とされるPresenceを選択することが重要なのです。
📝Presenceはこうあるべきという信念のみたいだ。そして一人が複数持って状況により適切なものを選択するらしい。
なかなか自分のPresenceを自覚することは難しいものです。なぜなら、本人にとってそれは当然の前提となっているからです。
(中略)
コーチはクライアントのPresenceに関して、日頃から質問やフィードバックをして自己認識を促します。
(中略)
クライアントがPresenceを考えるきっかけとなる質問としてこんなものがあります。
・価値観や座右の銘は何でしょうか?
・その価値を大事にしている理由は何でしょうか?
・いつからその価値を大事にしているのでしょうか?
・その考え方が大事だと身につけたときと比べて、いま違うことは何でしょうか?
・その価値が仕事で現れているのはどんなときでしょうか
コーチングの3原則は、コーチが常に意識している「クライアントとの関わり方」における、双方向、継続性、個別対応というマインドです。
📝双方向性は対応の立場で話すこと。言いたいことを一方的に喋ることでない。ましてややると決めたことをやらなかったことを糾弾することでもない。
📝クライアントの自走状態を作ることがコーチの役割。目の前のことに忙殺されている人に自分自身と直面し、考えるための対話をする。
コーチは、クライアントに様々な視点で話をしてもらいます。
中略
無意識にあるものを言語化させて、行動に結びつくような気づきを得るには、クライアントにたくさん話してもらう必要があります。
📝話すと気づきを得ることができる。それを引き起こす。
対話の質を高めるための有効な手段として、重要な技術が「質問」です。
中略
対話の量を増やすためには、コーチとクライアントの間の信頼関係が重要です。
📝質問と信頼関係がポイント
コーチングは目標に向けて行われるものですから、変化が起こらないようなクライアントには、コーチから行動することを求めたり、目標に対する現在地点に直面させたり、緊張を与えたりする場面もあります。
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