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大人になってからこそ、習い事を始めてみよう

先日、体験授業ではあるものの、木彫り教室に参加した。
技術面以外にも多くのことを得たので、この場を借りてまとめていきたい。


そもそも何故木彫りを学びに行ったのか?

理由は単純で、講師に会いたかったからだ。
講師の方は『キボリノコンノ』さん。

https://kibori-no-konno.jimdofree.com/


元々公務員として働いていた中でのコロナ禍をきっかけに、自宅で何かできないか?と考え、食べ物を木で再現し始めたのが始まりだそう。
作品をたまたまSNSで拝見し、今年の1月千葉で行われた展覧会に足を運び、本格的にキボリノコンノさんの虜になっていた。


「本当に木で作ったの!?」という驚きと感動はもちろんのこと、小難しそうなメッセージ性がなく(それはそれで失礼か😂)純粋に”好き”や”興味”を解釈し、アウトプットしていく姿勢が素敵だと思った。
木彫りを始めてから3年で展覧会を開いて多くの人を魅了してしまうカリスマ性の一方で、題材は全て庶民的なギャップに改めて心を打たれたのであった。


展覧会を終えて最初に思ったことは「これからの作品が楽しみ」ということと「どこかのタイミングでお会いできたらいいな」の2つ。
展覧会の帰り道、SNSをのぞいていたら・・・なんと!体験会のお知らせの告知がされていた!しかも場所が東京・池袋と、決して遠くない距離!
即申し込みをし、約20年ぶり(笑)に彫刻刀を買い、楽しみにしていたのだった。


会場は習字やパソコンなど時間や曜日や時間によっていろいろな講座が開講されている池袋コミュニティカレッジというところだった。
初めて足を運ぶ学校のよう。受付を済ませるのに一苦労😂

案内された場所に入室したらすでに15人くらいの生徒が談笑をしていたり、自分の作業を黙々と始めていた。
年齢・性別は本当にバラバラ。ここまで老若男女の光景は『正解のないクイズ』リアルイベント以来。


体験授業生徒が多いのかと思ったら、参加者の4分の1程度な上、体験授業生徒だけで固まる席順ではなかったので完全に萎縮してしまった。



あ、最初に言い忘れてしまったが、このnoteに書くことは自分1人もしくは友人と・・・みたいなパターンが多いけど、今回は母と参戦。
母との関係が悪いわけではないけど、母と2人でどこかに行くことはまずしない。母との会話はドラマや最近見たテレビ番組の感想言い合いくらいしかない(笑)最近は会うたびにSnowManがいかに良いかという話しかしてないような・・・・
私から誘われた時に母は「休職を打ち明けられた時よりも、悪い予感がした」そうだった😂
このnoteを添削される機会があったら、丸々不要箇所として消されそうな脱線をしてしまった。



まあそんな感じで(?)雰囲気に飲み込まれていたら、同じテーブルにいた母と同じくらいの年代に見える方が徐に鳩サブレを取り出した。
「授業前に鳩サブレ食べるの?!?!」となかなか出会わないタイプの面白い方かと思ったら、母が「これ、作ったんですか?!」と会話を繰り広げていた。
どうやらその方は木彫りに出会って6ヶ月目で鳩サブレを作ったそうだ・・・すごい・・・。


そんな会話をしていたら、近くでニコニコ聞いていた小柄な男性がいた。
「なんだこの人は・・」と正直一瞬思ってしまった。数秒後に今回の目的である『キボリノコンノ』さんだということに気づいた。
とんでもなく穏やか・・・そしてコミュニケーションの取り方が上手すぎる。
ただでさえ雰囲気に圧倒され、突然すごいクオリティの作品を見せられ、緊張がピークに達していた中に颯爽と(?)現れて、余計にパニックになってもおかしくない場面だった。
身につけていたものに着目して会話を広げてくださり、そこから今回体験授業に参加した理由を聞かれたりした。会話が終わる頃にはずいぶんリラックスできていた。魔法使いか・・???😂


そして、始業のベルが鳴り、出席確認がされた。フルネームで名前を呼ばれたのはいつぶりだっただろうか。またここで学校を思い出した。
で、早速授業・・・ということではなく、テーブルごとの自己紹介を5分くらいして雰囲気がまたさらに温かくなったような気がする。たまたま性別も年齢も家の場所もバラバラ(鳩サブレの方と母は同年代に見えたが、全然違く、いかに見た目で年齢を判断してはいけないかを痛感)で、共通項は”木彫りに興味がある人間”しかなかった。


すでに授業を受けたことのある方は自分で課題を持ってきて、早速作業に入っていた。授業前と同じく、黙々と作業を始める人もいれば、制作途中の悩み相談をして「こうしたら良いんじゃないか?」みたいな会話が飛び出していた。

我々体験授業生徒は課題が決められていた。お題は『海苔巻き煎餅』。
亀田製菓から販売されている『海苔ピーパック』の中から自分の中で気になった海苔巻き煎餅を見つけて、1つの小さい円柱型の木から制作を始めることに。
前述の繰り返しになるが、私は彫刻刀を触るのは20年ぶり。またさらに緊張していたらとても丁寧に彫刻刀の種類と使い方を先生がレクチャーしてくださった。学校みたいな説明はこれにて終了。
ずっとおっしゃっていたのは「ものづくりは観察が命」「まずは失敗を恐れずにやってみる」ということ。
先生自身は技術を一切学ばず、とにかく繰り返しやってみて自分にしっくりくるスタイルを見つけたそうだ。
でもただがむしゃらにやるのではなく、気になったものの細部を観察し、気持ちを目の前の木に託すつもりでやっていると後でお話ししてくださった。

『海苔ピーパック』なんて、たまに食べたくなって食べるけど、きちんと形や色を見たことがなかった。丸でも四角でもないし、海苔の巻かれ方も結構個体差がある・・・!
私の選んだ個体は、特に先端がとても形容し難い形であるのが印象的だったため、まずは先端を似せることに意識していたと思う。・・・思うというのは、特にあまり考えていなかったからだ。

随時先生が体験授業生徒・既存生徒に関わらず、声をかけて回ってくれたのが心強かった。
「こうしたいけど、この彫刻刀でこう入れても変化が生まれないので、どうすれば道が開けるか悩んでいる」と大人になってから・・いや、人生で1番といっても良いくらい具体的な質問と相談の仕方をしたかも😂


途中私は
「誰よりもすごくよく観察をして、下書きを丁寧にしながら悩んでいる様子がよくわかる。でも思いっきりやってみても良いんじゃないかな?」
と言われた。
出会って1時間もしない人に、今の私の生き方そのものについてアドバイスをされたのかと錯覚を起こした。
皆下書きよりも先に体が動く(彫る)方に集中していたそうだ。私は20分以上観察と下書きをしていたみたい😂
隣にいた母は「思い切りがいいですね・・・!下書きして形を明確にしたらもっと良くなるかも!」と言われていた。母の子か?私は😂

その言葉を機に私は彫ることに全力投球した。
約20年前に彫刻刀を持った時は図工の授業は本当に苦手で、同じ題材をみているはずなのに全く別の謎の物体を作り上げ、見た人全員を絶句させた後に苦しまぎれなフォロー(例:一生懸命さは伝わる)をされることが多かった。とにかく作ることが嫌いだった。

「私は具体的にものを作らなくてもいい大人になるために勉強を頑張ろう」というよくわからない理念を持っていた。何かものを作っている友人の作品の感想を言う、本の帯コメント的な立ち位置を目指すようになっていたと思う。

でもいつしか「誰かに褒められたいとかではなく、シンプルに自分でものを作りたい」と思うようになっていた。パンをつくったり、架空のサイトをつくったり、こうやってnoteを書いたり。
「作ってみたいな」と思ってから、計画を立てて実行し、ときにはうまくいかずイライラして投げ出しながらもなんか出来上がったものを見ると、ハッキリ言ってイマイチな出来であってもなんか満足している自分がいたりするんだよなあ。


なんの話だっけ、そうだ、木彫りの話。
彫るフェーズがすごく楽しかった。ここまで純粋に「楽しい」と思ったのはいつぶりだろうか。楽しすぎて予定よりも大幅に彫ってしまった。なんなら観察したときに「ここは強調しよう」と決めていた部分も消えた(苦笑)
けれど、悲壮感はなかった。

隣の母は初心者とは思えないクオリティだったらしく、いろんな人が見に来て褒められたそうだ。私はその物音が一切耳に入らないくらい集中していた😂

で、ある程度満足のいく形になったら、色塗りへ。
これは想像の5000倍私には難しく感じた。行動する前に考えすぎてしまう私にはアクリル絵の具を扱うのが絶望的に向いていないのだろう。すぐ乾いてしまっていた(笑)
ただ、色を調合していく過程は面白かった。「この色を足せばもっと良くなるかも」と思って入れたら大きくかけ離れたり、「まあダメ元で・・・」と思って合わせたら求めていた色合いが出せた時は嬉しかった。
お手本で先生が調合している様子を見れたのだが、魔法かと思った。あっという間に出したい色を作り上げていて感動する暇もなかった😂

パレット上で理想の色を作っても木に塗ると「うーん・・・」となってしまって、頭を抱えていたら乾かしたり、全く関係のない色要素を入れることで知らぬ間に個人的には良い感じになっていた。
そして、授業は一旦お開きになり、30分くらい残って完成させることができた。
観察30分、彫るの1時間35分、塗り30分くらいかかったのだろう。
その渾身の一作をご覧あれ・・・!

上が本物、下が私作

ひどいでしょう!私もびっくり!明らかに彫りすぎだし、ザラザラ感が皆無😂
体験授業生徒だけの作品をみても、明らかに私が悪い方向で浮いている・・・!!!!
母は娘の(悪い意味で)奇跡的な出来をなんとフォローしようか悩んだのだろう、「欠けた海苔巻き煎餅」と表現していた。
すると先生が、「実際に割ったわけでもないのに断面が表現できている。お手本通りに作ろうとせず、オリジナリティ抜群。想像力の賜物!」と大袈裟な言葉をかけてくれた。

周りの方も「短時間でよくここまで彫ったね」みたいな方向にシフトしていた。
なんて温かい・・・そしてその温かさが申し訳なく、なんとも苦しかった(笑)


不思議な気持ちのまま体験授業は終了。
次受講するときは”既存生徒”枠になるそうだ。3回縛りなので値段もそんなにしないし、続けてみたいかな・・・と思ったけど、残念ながら私は週に2回休みは確実にあるけど、毎月同じ曜日で休んでいない。
先生の授業は毎月第2日曜日固定だった。今回たまたま休みだったから行っただけで毎月同じ時間を空けられる約束が難しいと思い、今のところは継続を諦めている。




たった3時間半の体験授業だけど、学んだことは多かった。

・まずは見る!見なきゃ何も始まらない!
ものづくり以外にも言えることだなと思う。どんなに優れて技術を持っていても相手や目的を知らずして何もできない!(笑)
仕事でも見栄えや体裁を木にするのではなく、状況ならびに求められていることをじっくり見ること時から始めていかなければいけないと感じた。


・ある程度考えたら、とにかく行動!失敗しても行動でリカバリーする!
ずっと言っている気がするけど、個人としてはとても大きな課題(苦笑)
何度やっても、それしかないのか?と疑いたくなるくらいMBTI診断INTJを体現している私。考えるのが好きで苦手ではないんだと思う。ゆえに行動に移すのが遅い。
計画を練ったらまずは行動しよう?本当に。
考えるのは行動しながらでもできるはず。


・出来云々に関わらず、何かをインプットすること以上にアウトプットは楽しい!続けていきたい!

とにかく思ったのはこれ。最近インプットしてばかりでアウトプットをあまりできていなかったというのもあると思われる。
せっかく得た知識や体験はなんらかの形で出力しよう。
同じように海苔巻き煎餅をリベンジしてもいいし、全然違うものを作ってもいいし、作らずともこうやってnoteに書いたりリアルな会話でしてみたいと強く思った。見せる/見せない、クオリティ関係なく、続けてみることでまた違った人生を歩めるかもしれない。

2,000字くらいでサクッと書こうと思ったら、あっという間に5,000文字・・・
それくらい時間の長さに関わらず、気付きを言語化できる良い経験ができたなと今になって噛み締めている。

体験から2週間経過しているけど、私は逆に彫る基礎を身につけてから何かを作りたいと思うようになり、ひたすら彫刻刀の使い方を見て学んでいる段階。
目標は棺桶に入れても恥ずかしくないものを作ること。葬式が実施されるかはさておき・・・( ̄∀ ̄)




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