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旅先見聞録(政経目線編)

北の大地の入場券86駅全部行ってみたシリーズ。
15本目のトピックは現地で見聞した話題について、
公民・政治経済の視点からまとめてみました。

北海道はご存じの通り、約8万平方kmを占める大きな「都道府県」の1つ。
行政区分としては道→市町村という区切りで説明できてしまいますが、
実際のところはどのような感じなのでしょう?

そこでよく出てくるのが「総合振興局」とか「支庁」とかいう言葉。
これが北海道を“ある程度”、地域で分ける区分となっています。
ちなみに「支庁」という区分は平成半ばまでのもので、現在(2020年現在)は「総合振興局」と「振興局」合わせて14区域に分かれています。

北海道庁のwebページで出てくる区分地図を表紙としてupしましたが、
この区分は概ね山地で区切られていることがわかります。

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北部を天塩山地と北見山地、南部を日高山脈と石狩山地が菱形を形成するようにそびえ立っており、その内側中央部にあるのが上川盆地。
そしてこの菱形のエリアがほぼそのまま上川総合振興局のエリアになっているという、例えばこのような感じ。
なので、1つあたりの振興局の守備範囲はエリアによって大きく差があり、オホーツク総合振興局は流氷が多く押し寄せる沿岸のほぼ全域をカバー、
その沿岸距離は約300kmにのぼります。

日常生活において、これらの振興局との接点はそう大きくはないようですが、気象情報や自然災害に関する情報、気候の変わり目などで
これらのエリア区分がより明確になるという特性があります。

あとは本州や四国・九州と違うなあ、という話題として裁判所に触れてみたいと思います。
全国各地にある裁判所。最高裁判所は東京に1ヶ所、高等裁判所は全国に8か所あって、北海道には札幌に1か所あります。
地方裁判所と家庭裁判所は全国に50か所あると中学公民で学習しますが、基本的に「各都道府県の庁所在地にある」と習うかと思います。
ただ、それだと47ヶ所となるため「あと3か所は?」となりますが、この3か所はすべて北海道内に所在しています。函館、旭川、釧路の3か所で、それぞれ道南、道北、道東の中心都市といえる場所にあります。

では札幌を含めた4ヶ所の裁判所はどのあたりを担当しているのか、まとめてみました。

札幌地方裁判所の地域には、札幌を含めて簡易裁判所が11か所あり、北は滝川、南は浦河、西は伊達・岩内あたりまでが範囲となります。
地域振興局の範囲で見ると空知・石狩・日高・胆振・後志の5地域にまたがります。

函館地方裁判所の地域には、函館を含めて簡易裁判所が5か所あり、江差・松前・八雲・寿都の4町に所在します。
地域振興局の範囲で見ると渡島・檜山の全エリアと後志にまたがります。

旭川地方裁判所の地域には、旭川を含めて簡易裁判所が9か所あり、富良野市以北の道北・道央が範囲となります。
地域振興局の範囲で見ると上川・空知・留萌・宗谷・オホーツクの5地域にまたがります。空知総合振興局に属しているのが深川市、オホーツク総合振興局に属しているのは紋別のみで、残りの上川・留萌・宗谷は全エリアが該当します。

釧路地方裁判所の地域には、釧路を含めて簡易裁判所が8か所あり、西端は帯広と遠軽となります。
地域振興局の範囲で見ると十勝・釧路・根室・オホーツクの4地域にまたがり、いわゆる道東のほぼ全範囲を担当しているといえます。唯一エリアから外れる紋別は釧路からだと240kmほど離れていますが、旭川だと140kmほどしか離れていません。ただし、紋別のエリアから実際に移動すると、旭川へはどのルートを選んでも峠越えがあるのに対して、釧路へはあまり高低差がないルートを選択することもできます(かなりの遠回りにはなりますが)。

こうやって並べてみると、行政や司法によって担当区分が違うというだけでなく、その地域のつながりも少し浮き上がってくるのが興味深いところです。

最後に1つ。これは本州などでも同じなのですが、簡易裁判所がそれだけ単独で所在しているところは案外珍しく、ほとんどの場所で家庭裁判所の支部や出張所が併設されています。地方裁判所の支部は各エリアの数カ所に留まるのに対して、家庭裁判所のそれはほぼ全域に網羅されている。
もちろん、家庭裁判所の役割を考えれば必然ともいえますが、学校ではあまり習わない話題ともいえそうですね。

それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。

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