一般周遊券と周遊きっぷ
その昔、国鉄・JRには周遊券・周遊きっぷという企画乗車券がありました。
全国各地の観光地エリアの鉄道や路線バス、遊覧船などを有効期間内で自由に乗り降りできるしくみをもとにして、そのエリアへの往復を国鉄・JRで利用することができるというものでした。
周遊券にはエリア内で特急列車にも乗ることができるワイド周遊券、エリアを狭くしてある代わりに手頃な運賃で利用できるミニ周遊券、経路が限定されているものの現地の景勝地を効率的に楽しめるルート周遊券がありましたが、往路と復路、それから観光地を自由に組み合わせることができるものとして普通周遊券(一般周遊券・グリーン周遊券)というものもありました。
一般周遊券は旅行会社での発券に限られていただけでなく、発券に日数がかかるという制約がありましたが、抜群に高い自由度と、何と言っても「1か月間」という充分すぎる有効期間が魅力的な企画乗車券でした。
写真のものは宮城県の松島を1つ目の経由地として、2つ目の経由地である広島県の宮島に向かうための乗車券としたものでした。
当時の普通運賃が14,110+170=14,280円だったところ、学割適用の3割引で9,990円となるため、特急料金や急行料金が割引にならないというハンデもなんのそのという設定でした。
これらの周遊券の類いが一本化されたものがのちの「周遊きっぷ」で、周遊エリア単独のゾーン券に往路・復路の乗車券を組み合わせて発売されるというものでした。このきっぷができた頃にはJR駅でも航空券が買えるようになっており、旅行会社に行かなくてもみどりの窓口で周遊きっぷを買えるようになりました。
ゾーン券のほとんどの有効期間は5日間となり、ワイド周遊券で行けたところは現地での滞在期間が概ね短くなるというところや、往路や復路で急行列車であれば追加料金が不要だった特典がなくなる(というか長距離急行列車が大幅に減少していた)ところもあって、使い勝手は何とも言い難いところがありましたが、往路や復路の経路に工夫を凝らすことでゾーン券エリア以外の地域も楽しめるようにすることができるところが、旅行通にとって腕の見せ所でもありました。この面については普通周遊券の長所が残っていたところとも言えるかと思います。
実際に表題の写真としてupした周遊きっぷの場合、往路の乗車券は10日間有効、ゾーン券は5日間有効、復路の乗車券は15日間有効のものとなりました。使用開始日を各乗車券の有効期間内に入れることと、その乗車券の使用開始日に合わせて発券前に決めるというルールのため、この組み合わせの場合は20日間までしか期間を延ばせませんでしたが、有効期間をフル活用すれば往路+ゾーン+復路で10+5+15ー2=28日間(“-2“は期間重複分)利用できるようにすることも可能でした。
現在は過去帳に入ってしまった企画乗車券ですが、発券する側の対応は大変だとわかっていながらも、復活してほしいきっぷのひとつとして、話題に取り上げてみました。
それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。