10万の兵を率いるには...

台風が近づいてくると、瀬戸内は南西からの乾いた風が吹く。四国の山を越えて、ごうごうと風がやってくる。それはここ数年の秋がやってくる予兆になっていて、台風への不安と涼しさの期待が同時に訪れるのである。

台風が去ると、田んぼは黄金色に染まって、山は真っ赤になり、空は高くなって、ようやく一息つけるのである。

先日、総理大臣が辞任するというニュースが流れて、あぁそうか、と思ったのである。私は今年の秋か冬には辞任するだろうと思っていたので、早さに驚いた。政治的に混沌した時代が訪れる事が何よりも怖い。

人間には器という物があって、それに入らないものは溢れていく。色んな形や大きさがある。人によっては大きく何でも入るが、すべての人にはそうではない。小さくて自分で生きるので精一杯の人も世の中にはたくさんいらっしゃるのである。

人を率いるというのは、自分の事だけでなくて、周りのあらゆる人に気を回してやっていかねばならぬ。故に大きな器が必要なのである。

ウンバボ族の人数は一説によれば200万の軍勢と言われるから、族長は当然それを率いる器を持つのである。ウンバボの将軍もそれに見合う器を持たねばならない。

昨秋、演習の為にはっちーびーが6万の軍勢を率いて釧路から札幌に進軍した。北海道はもう寒い。寒いので行軍には気を配らねばならぬ。

ところが彼は、事もあろうに川を渡るための橋の材料を持たなかったのである。そのため兵士も馬車もみな川に浸かって泳いだのである。

その先の森で木を切って野営しようとした。それは良いのである。兵士たちは着物を脱いで火に当てて乾かし、暖を取ることができた。

悲劇は翌朝におきた。兵士が飯を炊こうと馬車を見に行くと、米がみな凍っていたのである。当然である。水に浸かって固まってしまったのだ。

はっちーびーは「うわー」と怒鳴り声を上げて輸送隊の失態を責めた。しかし渡河の橋を用意すべきであった。

結局部隊は札幌に辿り着く事なく撤退した。

数日後、はっちーびーは茨城の宮殿に呼び出された。
参謀のみょんにーまん氏は言った。
「冬の渡河には気を配らねばならぬ。何故兵糧が水に浸かることが分からぬのか。解せぬ解せぬ。」

はっちーびーは黙っている。
みょん氏は静かに手を続けた。
「10万の兵を率いるには、兵卒のことは勿論、物資の輸送や道中の行軍計画、あらゆる面で配慮が必要なのである。何か勘違いしているようだが、兵士を走らせるだけが将軍の役目ではないのである。兵士の命を預かるという責任ある立場であるのだから、安易な心で将軍を務めるのは大罪なのだ。」

次にみょん氏は族長に向かって言った。
「どうか厳罰を」

族長は「You Noob.pls back
Tier1 」
と言った。
みょん氏ははっちーびーに「新兵に格下げとする。」

将たる者の器とは命を守る責任である。飯をまともに食わせないような者は将軍にはなれない。厳しいが、これが現実なのである。

インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。