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SPG-1919-UB たかしの実家

アイテム番号:SPG-1919-UB  

オブジェクトクラス:Euclid

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特別収容プロトコル:SPG-1919-UBの周辺半径500mにバリケードを設置し、半径1000m以内は、現地民に偽装した財団職員により規制されます。SPG-1919-UB-1と思われる人型実体を発見した場合、尋問の後に処分してください。バリケードの範囲内は、日本の風習や日常に合わせて、偽装した財団職員を定住させてください。SPG-1919-UBには常に電力・ガス・水道を供給し、インターネット回線についてはFPSゲームでPingが100msを下回らない程度を維持できる回線を供給します。配信については現在中止させる方法が分かっていないため、症状が出た時点で視聴者を処分してください。

現在、SPG-1919-UBに対する潜入作戦の是非の議論が進行中です。

説明:SPG-1919-UBは、ゲーム配信をしている「TAKASHl1919_」あるいは「族長たかし」と呼ばれる人物(以下SPG-1919-UB-A)の住宅です。彼は不定期でFPSやTPSの配信をインターネット上で行い、毎回数十名程度の視聴者を集めます。彼の配信するゲームは常に変化しますが、FPSやTPSをプレイする点では一貫しています。

彼の配信する番組を視聴すると一定確率で「もっとこの人の配信を見たい」「エネルギッシュで楽しい」「エキサイティングだ」などという感想を抱きます。

この精神症状を発症した人物(以下SPG-1919-UB-n)は、SPG-1919-Aの配信を「もっと見たい」という強迫観念を持ちます。そして視聴を繰り返すうちに、「俺はウンバボ族だ」「叫びながら戦車に乗るのは楽しいことだ」「みょんだぜは謝罪すべきだ」「はっちーびーはあと5万年新兵だ」など、意味不明な言動を繰り返すようになります。

最終的にSPG-1919-UB-nは、特定のリズムで叫び声を上げながら、ジャンプする走り回るなどの動作を繰り返す・槍や斧といった原始的な武器で武装しようとする・自走砲を破壊しようとする衝動に駆られるなどの状態まで進行し、周囲の静止を振り切って失踪します。

それから数週間後、失踪したSPG-1919-UB-nと遺伝子的に同じ人物が、SPG-1919-UBの周辺で目撃されるようになります。これらの人物は、全てSPG-1919-UBの内部から出現するように見えます。

ここまでの症状に至ったSPG-1919-UB-nは現在15名ほどしか確認できていませんが、SPG-1919-UBの構造上、あり得ない人数が出入りしていることから、SPG-1919-UB内部に空間異常が発生している事が考えられます。

以下はSPG-1919-UB内部に出入りしていたうちの1人、SPG-1919-UB-7に対するインタビューの記録です。

音声ログ

インタビュアー:こんにちは!
SPG-1919-UB-7:うぼぼぼうおっうおっ
インタビュアー:あなたの名前を教えていただけませんか?
SPG-1919-UB-7:TMMSです。
インタビュアー:あの家に住んでいる方ですか?
SPG-1919-UB-7:ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ
インタビュアー:あのすみません、聞き取れませんでしたか?
SPG-1919-UB-7:うおうおうおおおおおおおおおおお!
インタビュアー:あの、あの
SPG-1919-UB-7:おおっおおおおっ!
インタビュアー:どうやら意思疎通は難しいようです。インタビューを終了します。

追記:彼の配信する画面には時として「たかしの顔」とされるモンゴロイド系で長身黒髪の人型実体が映る事がありますが、この実体に当てはまる戸籍を持つ人物は存在しません。


インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。