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楽しみ方の分からない現代アートを楽しめた日 森美術館STARS展

現代アートを前に「わからない」と絶望したことはありませんか。
何を隠そう、わたしもその一人です。

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意味深に置かれた金属…
壁に無造作にかけられた、ボロボロの布…
オブジェなのかなんなのか、用途不明のアクリルの物体…


現代アートにも色々な種類がありますが、特に「謎モノ系」がわたしにはハードルが高かった!
(「謎モノ系」は今わたしが作った言葉で、アート用語ではない。笑)

美術館でそれらを前に、「わたしには分からない世界だ」と疎外感を感じてしまうことも一度や二度ではなかった…。


分かりたいんだけど、もはや分かるための方法すら分からない。
いや分かるなんて傲慢かな?!
分からなくてもいい、せめて楽しみたいな~!
いやでもそれすらもハードル高いな!

そう悶々とし続けていました。


ところが先日ついに
「あれっ、謎モノ系…楽しいかも?!」
と思える体験をしたのです。

わたしに楽しめる日なんてくるのだろうか…と思っていたのに!


その舞台は、六本木・森美術館で開催中のSTARS展でした。

STRAS展は、世界から高い評価を受けている6人の日本のアーティストを紹介する展覧会です。

6人が6人とも一流すぎて。
1人でも大きな企画が組めそうなのに。
美味しいところをつまみ食いさせてもらってるような、贅沢展覧会でした。


展覧会の入口を抜けると、村上隆ワールドが広がっていました。
めちゃめちゃワクワク!
興奮したまま、次の部屋に足を踏み入れました。

突然スンッ…とした空気。
村上隆ワールドの毒々しいまでのポップさとは打って変わり、静粛な空気に包まれました。

そこは李禹煥(リ・ウファン)さんの作品の部屋でした。

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ジャリっと音がする足元。
李禹煥ルームだけ、床が砂利仕様になっていました。
見た目も、歩き心地も、足音も、ここで一変しました。

「床を変えちゃうっていう発想ある?!
 李禹煥って人は相当なこだわりの持ち主だわ!」
と、砂利床に驚く私の目に飛び込んできたのは、こんな作品でした。


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「あっ、謎モノ系だな」と思いました。

岩をそのままガラスに落とした、以上、の作品。
岩の表面や色が乾燥しきった木の実にも似ていて、「本当に重いのかなぁ」と転がしてみたくなります。


そして、これ。
岩・金属の棒・謎の絵…

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でも今日はなんだろう。
スーッと入ってきたんです。
そして、脳が静かに作品を受け止めてシーンとしたあと、刺激を受けてうずき出すような感覚がしたんです!

今までのわたしだったら「分からん」で終わってたであろう作品を、時間をかけて、周りをぐるぐる歩きながら見つめました。


美術検定のための勉強で、李禹煥さんが「もの派」という日本の戦後美術の大きな流れのリーダー的存在だということは、知識としてはしっていました。

しかしテキストに載っているもの派の作品を写真で見ても、「謎モノ系だ…分かんないなぁ」と、ピンとくるものがなかった。


だけどSTARS展では、
「岩と金属の棒が、アクセントになっていて、私の視線がジグザグに導かれて気持ちいいな~」
「どれくらい意図して、どれくらい意図しないで、作品を配置しているのかな」
「右の岩がまるで人気者みたい。スポットライト浴びてるかのように、結局最後にそこ見ちゃうな」
「この方角から見ると、金属の棒がしなっているのが分かる。そういう細かいことに気づくだけでもアッてなるな」
などなど、作品を目にして感じたことが文になって、頭にぶわーっと浮かび続けていたんです。

純粋に、わたし今楽しんでるな~!!って感じることができました。


「もの派」に関するわずかながらも事前知識があったことと、
李禹煥さん選ばれし6人の日本代表の1人だからじっくり見なきゃという意識も、鑑賞を後押ししてくれたと思います。

振り返ると、こんなに「謎モノ系」を楽しめた一番の要因は、やっぱり森美術館の展示にあったんじゃないかと思ってます。

他の美術館だったら、ここまで楽しめたかなぁ。
床、砂利にしてくれたかなぁ。笑


絵画作品は壁にかかっていますけど、モノ系の作品は床や台座に置かれます。
置くということは、空間にアクセントをつけるということ。
美術の展示法「インスタレーション」を、わたしはざっくりこう理解しています。

そのインスタレーションが、森美術館はとにかくうまいんだな!!!と実感させられたのでした。

アーティストの想いや作品の特性に合わせて、美術館の一部屋をオーダーメイドしてあげるパワーが抜群なんです。

この空間が作品を特別に魅力的に見せるし、鑑賞者もこの場所でしか味わえないものを求めて美術館に足を運びたくなります。

アカデミックでありエンターテイメントでもある、その匙加減が絶妙でした。

作品もだけど、それが置いてある空間自体をも楽しむことができるんだよ!という視点は、今後の美術館めぐりでも生かしていこう。


「謎モノ系」を楽しめたり、展示の奥深さに気が付いたりと、自分としてはかなりの収穫があったSTARS展でした。

1月3日までやっていますので、ぜひこの空間を感じてみてください!


余談ですが、撮影OKの森美術館のインスタの投稿を見ていると、李禹煥ルームでの写真が多い!
やっぱりそれだけこの空間、魅力的だったんだな~って改めて思いました。


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