【ネタばれなし】絵巻『鳥獣人物戯曲』の絵本化「かえるのごほうび」 ~大人が読むに相応しい絵本です。ややブラックな~

おはようございます!tamamioです(^^)
皆さんは「時を超えて思いをとばす」とき、未来と過去、のどちら派ですか?(そもそも、そんなことしませんか?)

私は「未来!」と言いたいところですが、今のところ圧倒的に「過去」が多いです。「未来!」って言える人、いいですよね。なんか、理系っぽくて!

私は『キングダム』を読んでは「こんな、地球に人間が『ちょこっと』住まわせてもらってる世界って、どんな感じなんだろう」とか、「人間って『しゃべる動物』くらいのポジションだったのかな?」とか思ったりします。

『火の鳥・黎明編』では、「全体を俯瞰でとらえることができなかった時代、突然やってきた異民族に村ごと焼き払われるなんて、理不尽!でもそれが普通だったのかも」と思ったりします。

昔は「命の価値」が圧倒的に低いですよね。「人権」なんて概念ができたのは、20世紀も中ごろになってから。まだ100年も経っていないのですよね。それまでの数千年は「弱肉強食の世界」。おお、こわ。

さて、本題です。
皆さんは『鳥獣人物戯曲』、通称『鳥獣戯画』をご存知ですか?
学生だったころ、歴史でちょこっと勉強されたと思います。
この『鳥獣人物戯曲』が絵本になっています!

https://books.rakuten.co.jp/rb/16623241/
(↑リンク、貼れてますか?皆さんみたいに表示されない~!)

『かえるのごほうび』というお話です。
もともとこの本は、福音館書店の月刊「こどものとも」で発行された本でした。初版は、なんと1967年!約50年前の本なのです!

内容は・・・。なかなかシュールで、一読した息子は釈然としない様子。
うーん、この救いのなさ。この「どうしようもない感覚」は、子どものものではないですね。ブラックユーモア的な。

「さらっと読めて面白かった」という、そういう本ではないです。
「もやもやするけど、なんか引き付けられる」「読後、じっと眺めてしまう」、いわゆる「大人の絵本」なのだと思います。
(それが50年前は子ども向けに出版されていたのですね~。しみじみ)

もちろん、それは『鳥獣人物戯曲』のもつ力も大きいと思います。
1000年もの時を超えて残ってきた「本物」の力。
線の一本一本にも、何か意図がありあそうな気がしてならない。
じっと見て、ひきつけられてしまいました。

そして「もしかして、平安末期は、動物たちはこうしてお話をしていたのかな?」とも思ってしまいました。作者と言われる鳥羽僧正には、悟りを開いた僧侶特有の不思議な能力で、動物たちの交流が見えた???

一応、旦那さんに確認してしまいました。
「これ、平安末期に動物が仲良しだったって言うことじゃないよね。鳥羽僧正が庭のカエルとかウサギとか見てて、『こうかな、ああかな』って空想して描いたんだよね」と。

一瞬「日本人のアニミズムが・・・」とか思ってしまいましたが、そんな大仰なことではなく、想像力をもつ人間なら誰でも、どの国の人でも考えることですよね。『ピーターラビット』然り、『ドリトル先生』然り。

ただ、そのスタンスがクールと言うか、人間と動物を切り離して考えているというか。鳥羽僧正も、その描いたウサギやらカエルやらを、捕まえて食べてたのかもしれません。(僧侶は肉は食べない?食べたんじゃないかな)

ここまで書いて、もし『かえるのごほうび』の登場人物が人間だったら!と思いました。それこそ、こんな話は出版できないでしょう。
カエル、サルが人間だったら・・・。
それこそ「ブラック」!こわっ!でも、ありがち~!

もしかして、作者・木島始氏は、人間界の不条理を『鳥獣人物戯曲』の動物たちを通して子ども達に伝えたかったのかも!
いやいや、そこまでは・・・。

と、結局『かえるのごほうび』の沼にはまり続けるのでした。
まさに「大人の絵本」!
スカッとしないですが、このモヤモヤ感、グレー(ブラック?)な感じ。
おすすめします!
大人が読むにも、お部屋のインテリアにも相応しい(なんといっても『鳥獣人物戯曲』ですから!)『かえるのごほうび』、良かったら、ぜひ!

もう一度、リンクも載せちゃう~(^^)

https://books.rakuten.co.jp/rb/16623241/




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