なんで共感できなかったのか『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島 庸平)【読書メモ】_07-2
休日なので、もうちょっとだけ。
『ぼくらの仮説が世界をつくる』(著:佐渡島 庸平、編集:竹村俊介/ダイヤモンド社)になぜ、共感できなかったのか。
「仮説」の前提となっている
昨今の出版不況は、作品の質が落ちているせいではなく、本について語る場、語る習慣がなくなってきているのが原因なのではないか。
に、まったく共感ができなかったからです。なぜなら、小説やマンガは大好きだけれども、別に作品自体について、誰かと語り合いたいと思ったことがほとんどなかったから。
私にとっての物語の世界は、日常からトリップして、「ここではないどこか」を楽しむための時間。ビジネス書なら、少しでも何か役立つノウハウを身につけたい。同じ本を読んだ人に出会うと嬉しいけれど、作品について語り合いたい欲は限りなく薄いのです。
「本について語る場が世の中に必要なのはわかるし、ビジネスとして成り立つのも分かるけれど、私は別に必要としないなぁ」と、自分を“読者ターゲット外”なんだな、と距離感を持って読んでしまったのかもしれません。
ところが。
昨夜、日本酒大好きで食系・酒系マンガ好き、ついでに銭湯好きまで気が合う、大好きな友人夫妻と飲んだくれていたとき。
「やっぱり『もやしもん』読んでいる人間としては、純米吟醸信仰みたいなの恥ずかしいじゃん?」とか
「もう完全に『酒の細道』の世界だね」とか
「『山と食欲と私』読んでたら、すごい山で料理したくなるじゃん」
とか、「作品の世界観を共通言語として話ができる楽しさ」をめちゃくちゃ実感したのです。ああ、佐渡島さんの仮説って、これか!? とようやく少しだけ腑に落ちたという。
※
改めて「コミュニティ」軸で考えてみると。
3年前に上阪徹さんのブックライター塾に通いましたが、ある意味、あの塾も「上阪徹コミュニティ」でもあるよなぁ、と思うのです。あれだけ本の作り方の裏側を聞いてしまうと、上阪さんの本、やっぱり買いたくなってしまうもの。
ビジネス書の世界でコミュニティと言えば、間違いなく「箕輪編集室」だろうけれども、やっぱりあそこに所属している人も、箕輪さんが作る本は絶対買いたくなるだろうし。「あの」箕輪さんが作った本なら読んでみようかな、と手に取る人もきっとたくさんいると思う。
編集者やブックライターが「黒子」でいることのほうが、リスクが高い世の中になってくるのかなぁ。
つまり、何が言いたいのかというと、とにかく早く新刊『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜』 (NewsPicks Book)が読みたいのです。
お目汚し、失礼いたしました。