2年前に読んだときと印象がまったく違う。『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島 庸平)【読書メモ】_07
先日、佐渡島庸平さんと竹村俊介さんのイベントに参加。終了時のじゃんけん大会で、刷りたてほやほや・発売前の佐渡島さん新刊『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜』 (NewsPicks Book)が何名かの手に渡っていた。
1回目のじゃんけんに勝ち、どきどきしながらも2回戦で敗北。残念ながら新刊をゲットすることはできなかったけれども、久しぶりに佐渡島さんの脳みそに触れたくなって、2015年12月に発売された『ぼくらの仮説が世界をつくる』(著:佐渡島 庸平、編集:竹村俊介/ダイヤモンド社)を再読しました。
なんというか、いま、まさに日々、私がもやもやしてもがいていることの数々が、片っぱしからキレイに言語化されていくような気持ちよさ……。
読みながら、「あ、あれってこういうこと?」とか、アイデアがどんどん湧いてきて、読んではメモ、読んではメモ。読了するまでにめっさ時間がかかりました。速読するのがもったいない。
発売直後に、間違いなく一度、読了しているはずなのに、「私、この本、本当に読んだのかな?」と思うレベルで、佐渡島さんの考えが理解できていなかった。
当時、「本づくり=ビジネス書づくり」のヒントを探して読んでいたため、「小説やマンガのほうの本づくりは、そういう世界なのか。へー」みたいな感じで、自分ごととしてまったく捉えられておらず。どんだけ視野、狭くなっていたんだろう。読み直して、本当によかった。
インタビューに行ったときのエピソード(p.198)
「当たり前すぎて、話すに値しないと思っていることってありますか?」
「つまんなくてもいいので、ふだん生徒に伝えていることってありますか?」
と聞くと、おもしろい話がどんどん出てくる。
こういう質問、どんな取材でもめちゃくちゃ大事なことだし……! 本書の「作家」を「著者」とか「ライター」に言い換えても、書いてあることのほとんどが成り立つじゃないか、と2年越しにようやく気づくことができました。
本書の仮説とは、平たく言えば「インターネットの世界でファンのコミュニティを作り、もっと作家と読者の距離を近づければ、作家はもっと潤い、創作意欲も失わずに済むのではないか」というもの。いまなら、完全に同意しかないのに、「対・作家なら、そうかもしれないけれど、読者が置き去りにされている感じがする」とか、完全に的外れなメモが残っている……。
コンテンツビジネスの最先端について語っている本が、今読んでもまったく古くなっていないことに、「佐渡島さんの先見性、すごい」と思うと同時に、「それから、ほとんど変わってない出版業界大丈夫なのかな」とも不安になる。
私が出版業界を目指した2013年に聞いた全国の書店数は、15000店舗。この本(2015年)では、14000店舗。先日(2018年)聞いたときは12000店舗。正確な数字はともかく、右肩下がりにぐいぐい減り続けているのは間違いないわけで。どこまで減れば、出版業界は本気で危機感を覚えて、変わろうとするんだろう。
などと考えながら、『ティール組織』読みだしたら、1ページ目に
目の前の現実と戦っても何も変えることはできない。何かを変えたければ、今あるモデルが時代遅れになるような新しいモデルを作るべきだ。
——リチャード・バックミンスター・フラー
って出てきて、ごめんなさい、がんばります、と思った。そして、あれ? と思って、再度『ぼくらの仮説が世界をつくる』をめくったら、
現代は、まさに新しいルールが作られているときです。どのようなルールが社会をよくするのか、本気で考えなければいけません。ぼくらの世代には「ルールを作る楽しみ」があるのと同時に「ルールを作る責任」があるのです。(p.183)
やっぱりすいません、がんばります、と思った(佐渡島さん、同い年)。
なんだかんだ、やっぱり本が好き。
とりあえず、ゴールデンウィーク。読みたい本も読み直したい本もいっぱいあるけれど、夜は『宇宙兄弟』ゆっくり読み直そうっと。新刊も早く届けー。
※
・「最強のシロウト」であり続ける(慢心することなく、適切な不安と向上心を持って、地道に努力し続けられる人)
・二重目標立てる
・好き嫌いをとことん考える
・宇宙人視点で考える
・嫌な仕事は先に片付け、わくわくする楽しくなる仕事だけを残す
・キラーフレーズ「僕は楽しめなかったけれど、描いていて、どこがいちばんわくわくしたのですか?」(これ、「この原稿いまいち」と思ったときに、全・編集者さんに言ってもらいたいフレーズ!)
・人生を変えるには習慣を変えるしかない
・観察力を鍛えろ
・短編小説を5回くらい読み込んで再現する
・一人の熱狂は世界を変える
・作家が自分にあった編集者を探す時代が来る
せっかくだから、ついでに言いたい。
「NewsPicks」は、ニュースピックスじゃなくて、ニューズピックスなんやでー。
いただいたサポートは、新刊の書籍購入費や「仕事ではないけれど取材したい記事づくり」の費用にあてさせてもらっています。文章でお金をいただく重み、しみじみ感じています。