見出し画像

「超・天才」か「底辺で生き抜く覚悟を持つ人」以外、チームで生きるすべを身に着けたほうが人生楽そう『Team Geak』【読書メモ】_12

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』(著:Brian W. Fitzpatrick、 Ben Collins-Sussman、翻訳:角 征典/オライリージャパン)読了。

本書がアメリカで発売されたのが2012年(日本語版発売は2013年7月)。ちょうどGoogleで「社員の生産性を高める方法」を摸索するプロジェクト・アリストテレスがスタートした年です。

その後4年の月日をかけ、その唯一の方法として導き出された「心理的安全性」は、おそらく人事界隈で知らない人はいないぐらい認知度の高いキーワードにりました。

しかしながら、おそらく発売当時の2012年は、現在よりもっとシビアに「とにかく結果出せ」の世界だったのだろうな、というヒリヒリ感が特に本書の後半から伺えます(その後、実態はどうなんだろう)。

世界トップクラスの天才的頭脳集団のGoogle。てっきり個人プレーが際立つ世界かと思いきや、結果を出すGoogleのギーク(エンジニア)たちが大事にしている「チーム作り」なのだと。チームや文化の重要性がものすごく強調されています。

シチュエーションに応じた細かいノウハウもたくさん網羅されていますが、もっとも基礎となる軸として強調しているのが「謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)」の3本柱。

それぞれの頭文字をとってHRT。「ハート」と読ませるところがまた心憎い。

謙虚(Humility)
世界の中心は君ではない。君は全知全能ではないし、絶対に正しいわけでもない。常に自分を改善していこう。

尊敬(Respect)
一緒に働く人のことを心から思いやろう。相手を1人の人間として扱い、その能力や功績を高く評価しよう。

 信頼(Trust)
自分以外の人は有能であり、正しいことをすると信じよう。そうすれば仕事を任せることができる。

あらゆる人間関係の衝突は、謙虚・尊敬・信頼の欠如によるもの。お互いにHRTさえ持って接していれば、たいがいのことはうまくいく、と。

本書を読みはじめた第一印象はタイトルの通りなのですが、読み進めるうちにこんな言葉を発見。

「彼は天才と狂気は紙一重の言葉通りの人材だった。問題は天才がコモディティ化していることだ。今となっては奇妙なふるまいは受け入れられない」――Greg Hudson

はっきりと、チームで働けないエンジニアは天才でも受け入れならない、と。なので、本記事のタイトル、正しくは、

Googleで働くエンジニアよりも自分は優秀だと自信がある人、もしくは、底辺で生きる覚悟を持った人以外は、「チーム」で仕事をするすべを身に着けたほうがよっぽどラクに人生を生きれそう、です。

コミュ力や、チーム内でどうふるまえばいいかなんて、本書をはじめ本屋に行けばいくらでも勉強できる。そこまで勉強しなくても、とりあえずHRTさえ意識しておけば最低限はクリア。

人生、ときとしてほんのちょっとの知識の有無で生きやすさがだいぶ変わりそう。そんなことをゆるゆる考えさせられる本でした。エンジニア以外の人にもおすすめの1冊!





いただいたサポートは、新刊の書籍購入費や「仕事ではないけれど取材したい記事づくり」の費用にあてさせてもらっています。文章でお金をいただく重み、しみじみ感じています。