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憧れの涸沢カールへ なんとか行けた! 

2023年秋の山登り🍁は、上高地から涸沢へ行こう、と去年唐松岳へ一緒に登った友人と決めていた。憧れの涸沢カール。涸沢へは上高地から徒歩で6時間ほど。でもこの6時間がかなりきつそうなので、途中の山小屋で一泊してから涸沢を目指す初心者むけのプランを立てた。日程は10月12日出発。横尾山荘に泊まり、そこから朝出発して涸沢へ向かい、涸沢ヒュッテに泊まる。下山は一気に上高地まで。二泊三日の行程。同行者は山友のAさん。


準備をする

まずは山小屋の予約をとる。宿泊予定日の一ヶ月前から電話予約のみの受付。この電話がなかなか繋がらない。家電とスマホの二機を使いながらリダイヤルをしっぱなし。かける方も大変だけど、山小屋の受ける側も相当大変なことと思う。ありがとうございます。

なんとか横尾山荘と涸沢ヒュッテ2つの山小屋の予約をゲット。電車とバスの予約はAさんがサクッとネットで取ってくれた。ありがたい。

体のメンテナンス

今年の夏は暑すぎて山登りはお休みしていた。夕方の散歩さえ日中の暑さが残っているような気がしてサボりがちだった。でも涸沢まで歩くとなると体を山登りできるようにしていかなければならない。

ところが、慣らしのつもりで行ったハイキングの下りで膝が痛みだしてしまったのだ。その後、自己流のメンテをしていても一向に足の調子は改善せず(足のダルさと右膝の違和感)はりときゅうや整形外科の理学療法とできる限りの治療を試みた。各々先生は、そこまで悪い状態でもないし「行けるんじゃないかな」とは言って下さった。

心配と不安で山行計画変更

そんな中、十月連休中の天候不順で山での遭難者が多く出たニュースを見聞きした心配症の私は、涸沢まで行くのはやめた方がいいのではないか、思い始めた。

足が動かなくなって行動不能になってしまったら、、、とか、滑落して谷へ落ちてしまったら、など悪い妄想が雲のようにモクモクと湧き上がって心配性の虫が大騒ぎし出した。

そんなに心配なら行かなければいいのに、と夫に言われる始末。でもせっかくだから上高地は絶対に行きたいし、できることなら涸沢まで行きたい。でも山で何かあったら、、、。

揺れ動く気持ちの折衷案は、上高地からアップダウンの少ない場所までの横尾山荘泊、周辺散策にし、涸沢までは行かずに上高地寄りの徳澤園に宿泊するゆるゆるコースにしようと計画変更をした。

友人は涸沢ヒュッテ泊、私は徳澤園泊と二日目の宿泊地は別々にし、最終日に上高地で合流することに。友人は、大丈夫なんじゃないかなとは思うけど、体の調子は本人しか分からないので、私の意思を尊重してくれた。

いざ上高地へ出発!

私たちの山行日2023年10月12日から10月14日までの上高地・涸沢の天気予報は申し分なく、実際現地に入ってからも晴天そのものだった。

上高地から横尾に向かう梓川沿の道中 青い空と白い雲 かっこいい山並み
紅葉が綺麗 

一日目、上高地から横尾山荘まで3時間半かけて歩くと思いの外足の調子が良く、これなら明日もかなり行けそうな感触。

歩くことで血行が良くなったのか、足のだるさは感じない。膝も大丈夫。横尾山荘はお風呂があり、とても清潔で快適な山小屋。お風呂で石鹸は使えず、ドライヤーもないので髪も濡らさない。でも湯船にはジェット水流があり、ゆっくりお湯に浸かり体の疲れをとることができた。

色々な準備はしてある。明日、戻ってこられる余力を残して行けるところまで行ってみよう、と思いながら眠りについた。

横尾山荘
山奥なのにお風呂があるのは本当にありがたい

二日目の朝

横尾山荘より穂高のかっこいい朝焼け
モルゲンロートが見られた

二日目の朝は宿前でモルゲンロート(朝焼け)が見られ、お天気の良さそうな一日の始まり。体調も良く足取りも軽く山荘を7時15分ころに出発。

スタートから景色の良さに気を取られ、あっという間に急登の手前、本谷橋まで到着。8時30分。本当はここまでにしておこうと思っていた場所だ。

途中の屏風岩の景色に圧倒される
紅葉も素晴らしい
本谷橋まで来られた
この先から急な坂道が続く登山道
進むかどうか決断のとき

しかしあまりにも天気が良く、紅葉も素晴らしく、アドレナリンが出てきて、整形外科の先生の「行けそうな感じだけどなぁ」の言葉と、どうしてものときは痛み止めを一回1錠から2錠まで増やしてもいい、と言われていたのが思い出され「よし、行ってみる」と涸沢を目指す決心をした。下調べしておいた岩ゴロの急坂の感じも今の調子なら登って下れそうだ。同行の友人も背中を押してくれた。

涸沢まで行って降りてくる算段

ただ宿泊地を涸沢ヒュッテから徳澤園に私だけ変更していたので、徳沢に16時まで帰らなければならない。12時には涸沢を出発したほうがいい。そんな時間計算を考えつつ、景色も楽しむ。涸沢までの道のりはまさに錦秋。

この谷の美しさといったら!
中央の白い箇所にある岩の上にも紅葉した植物が
まるで花台のようだった

美しい紅葉の絨毯に穂高のかっこいい山の姿が映えている。絶景に感動しながら本谷橋から歩き続けること2時間強。10時50分には涸沢ヒュッテ到着!そこを抜けると、、、涸沢カールが目に飛び込んできた!

錦秋
素晴らしい
黒い岩肌もかっこいい
涸沢ヒュッテに到着
この石段を上り右に曲がると、、、
ついにここまで来られた
紅葉は終わりかけていてもこの美しさ!
この景色が見られて幸せ!

ついに涸沢へ到着!

「ああ、ここに来たかったんだよな。なんていいお天気になんて素晴らしい景色!幸せだ〜!」
今年は夏の暑さで紅葉が遅れた上に1週間前に降った雪でもう紅葉は終わったと言われていたが、私にとっては最高に美しい紅葉だ。来られなかったかもしれない場所へ今、自分の足で登って素晴らしい景色を自分の目で目にすることができた喜び。

支えてくれた整形外科の先生の言葉やリバビリの施術、送り出してくれた家族、一緒に行ってくれた友人、そのほかにも色々な人たちの支えがあってここまで来ることができた。ありがとう。また一つ行きたい場所へ行けた。感謝。

涸沢ヒュッテ名物のおでんと美しい景色を1時間あまり堪能し、後ろ髪引かれながらも涸沢を12時に出発し下山を始める。右膝にはサポーターを着けた。

出汁の染みた大根やたまご
美味しかったなぁ
1週間前には雪が降って三段紅葉(雪の白・紅葉の赤・木々の緑)
が見られたそう。この日の涸沢も私にとっては最高の景色!


あーなんて綺麗なんでしょう!
振り返りながらの下山
12時40分くらいなのにもう夕方感が
秋の山の午後は日が暮れるのも早い

徳澤園へ

下山時の怪我や事故が多いので慎重に歩き、何とか横尾まで降りてきたのが14時20分ころ。そこからさらに1時間平坦な道を徳沢園まで歩かなくてはならず、ここが一番長くしんどく感じた。 

その日の宿泊地徳沢園にようやく15時30分前には着くことができた!心配していた足も膝も多少の痛みはある程度で済んだ。

この日の宿、徳澤園に到着

徳沢園は井上靖著『氷壁』に出てくる山小屋のモデルとなっており、直筆の原稿なども飾られている。

この小説の時代背景は昭和30年頃
今とはギャップのある社会描写が多いが
自然の美しさ、厳しさ、怖さは今もその当時も変わらない

私も単行本を持ち込んでラウンジで読んでみる、を実行した。信濃白炭が入った気持ちの良いお風呂もあり(ここは置いてあるシャンプーやボディソープのみ使用可能、ドライヤーもあり)食事も地元の物を使った料理でとても美味しく、相部屋でも個室のようで山小屋というよりは山の上のプチホテルのようだった。お風呂に読書、美味しい食事、出会った人たちとのちょっとした会話、至福です。

暖炉のあるラウンジ
素敵です
相部屋だけど、個室感はあり快適
カーテンの色や壁の装飾が可愛い
夜はキャンプ場のテントの明かりが綺麗

最終日

翌日も天気が良く、徳沢園から明神岳や穂高の山々のモルゲンロートを見ることができた。上高地へ戻りがてらに明神池の穂高神社奥宮で無事涸沢へ行けたお礼参りもしてきた。河童橋への道すがら、これぞ上高地、の美しい景色も見られ、無事、友人とも落ち合え、帰宅の途についた。

宿の前の広場から見られた穂高連峰のモルゲンロート
赤く染まる山を見られて感動
明神池
穂高神社奥宮でお礼参りをした
ありがとうございました
天気も最高
これぞ上高地ブルー

終わりに

結果、私の足のダルさは歩いた方が治り、膝の痛みはそこまで痛まず、適量の痛み止めで抑えられた。帰宅後は痛み止めも服用しなくても大丈夫。今後はストレッチ、リハビリ、冷やさないようにはりときゅうを上手く使いながら状態を良くしていきたい。

今年は山での遭難者が多いと聞く。計画と準備は念入りに。無理は禁物。安全第一で。小説「氷壁」を読んだ後はなおさら山へ行く人たちが安全に帰って来られるように祈ってしまう。

無事に念願の涸沢の紅葉を見られ、本当に嬉しくて嬉しくて、感激した。本当に良かった。行きたい場所へ行けたことに感謝しつつこの文を締めくくりたい。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

#紅葉前線レポート

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