「私、明日から・・・」筆者が対応した難しいクレーマーで過去3例もあったこと。
これは思い込みでも偏見でもなければ一時の感情によって文字化しているものでもなく、
過去の現場経験に基づいたリサーチ結果であるということを最初に申し上げておいた上で、本題に入らせていただきます。
具体的な要求が分からないクレームはツライ
悪口、罵倒、自分の価値観にそぐわないという自分勝手な愚痴など、明らかに真っ当ではないクレームを浴びることはよくありました。
「この部分が破れた、ほつれた」といった部分的な苦情であれば交換の対応で再度様子を見てもらい、「この部分が補強されていないので使いにくい」といった全体に影響する苦情であれば、今後の商品開発につなげる意見として、担当部署に伝える、という一応の流れが見えてきますが、
商品のデザインも仕様もちゃんと確認した上で、なおかつ実物を見て買えない不便さをあらかじめご了承くださいというネット注文の注意記載も読んだ上で買っておきながら、
「私が考える理想には遠く及ばない」「○○製の素材なんて使ってるからダメなのよ」など、結局何をしてほしいのか、という点がまるで分からないことを言われてしまう場合も少なくありませんでした。
終わりが見えないから業務に影響してツライ
具体的な要求がないということは、こちらからすぐ返せる言葉がない。
この展開になると、相手が言いたいことを言い切るまで黙って聞くしかないというなかなかツライ状況となってしまいます。
それどころか、「ちゃんと聞いてんの?」とか「何か思うことあったら言い返しなさいよ」とか、果てには「私ひとりで、ずっとしゃべってるばっかりじゃない!」と自分で自分にキレてしまう人までいるものですから、こうなるともう手が付けられません。トイレにも行けず、お昼休憩がどんどん遠くなってしまいます。。。。。
あえて言うなら「自分で会社作るとか、個人で商品作ってその不満を埋める」しかないわけですが、メーカーの窓口でそれを言える度胸なり、会社にそれを許してくれる器があればということになってしまいます。
仮に自社の顧客になる見込みは100%ないという確信があれば、ただ電話で長時間自分の愚痴を言っているだけというのは、他のお客様への対応機会を奪っていることになるので、思い切ってその旨、言ってもいいと私は思いますが。
これを言われた瞬間「まさか」と気持ちがズシッと重くなる
以下、ものすごくデリケートな事由となり得る故に、その理由は分かりませんし、こちらから探ることもできませんので、くわしい記述まではできません。よって私の主観的な推測で書いていきます。
理不尽なことをあれこれ言われながらも、結論として電話主のクレーマーは弊社に何をしてほしいのか、少しずつ探りながら話を聞いていくわけですが、
基本として、電話を掛けてくる人というのはどんな連絡も対応もアナログがいい、またはアナログでしか受け取れないという人の場合がほとんどなので、これをメールなどに置き換えるということができない難が生じます。少しまではガラケーしか持っていない、パソコンが使えない(なぜネット注文できたのかは謎ですが)など、手間が掛かる方法でしか打開できない状況が生まれてしまうのです。
それでもなんとか、交換しますとか新しい商品を送りますとか、何らかの落とし所を見つけて話を締めようとするわけですが、
ウソ偽りない事実として、難しいクレーマーの中には、そこで終わらせてくれないこともあります。
かつて私が関わった中で3例あったのが、以下の言葉。
「こちらから商品をお送りします」
「送るの、ちょっと待ってくれる?」
その理由が、
「私、明日から入院するの」
!!!
退院したらまた電話する。その時に返品と交換のやり取りをしたいから、商品だけ取り置いてほしい、という言い分。
……まぁ、いつ電話する、いつクレームを入れるというのは自由ですけれど、そんな世話しない状況の中でわざわざややこしいことをしなくても、と、正直ウンザリしたものです。
それも、経緯はそれぞれあれど、なぜ入院する前日にクレームを入れてくる人が過去に3人もいたのか。
私にとってはそれが不思議でならなかったのです。
ちなみにその3例中、退院後にまた電話が掛かってきてやり取りが続いたのは1人だけでしたが、
これもまた事実の話として、なぜかその方、入院前のギスギスした口調はどこへやらの、実に穏やかな話しぶりでありました。これもいろんなことを勘繰りたくなるくらい、また不思議。