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聖杯/カップのクイーン

聖杯/カップのクイーン

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大まかな意味(正位置の解釈)

  豪奢な聖杯を見つめる女王の姿がそこにはあります。この聖杯は誰かからの贈り物なのでしょう。12星座のようなモチーフが彫られ、天使が取手にあしらわれ、複雑な要素が左右対称にちりばめられたこの杯はよほどセンスと経験のある職人でなければ作れない高価なものだと推察できます。誰かの強い想いがなければ、そしてそうさせるほどの強い魅力がなければ、この女王はこれほどのものを手にすることはないはずです。柔和で共感力が高く、芸術的なセンスも良い。人の心に入り込むことも自分の心を穏やかに鎮めることも自在に行える「聖杯/カップのクイーン」は、全クイーンの中でも最も分かりやすく魅力的で、心に残る人物や美しさを示していることが多いでしょう。特に、どこか寂しそうな眼差しがこの「クイーン」の艶っぽさを増幅していると言えます。「クイーン」の玉座に扱われている二枚貝はぴったりと合わさるような和合と感情的な相性の良さの象徴で、半人半魚になっている小さな子供はギリシャ神話におけるアフロディーテとその息子エロスが魚に変身した逸話のエロスの方――恋をする力、誰か/何かを求め、理想化し、溶け合うような感覚に秀でた状態――を強く連想させます。手を伸ばしたくなるようなたおやかで優しそうな「クイーン」の蕩ける微笑みがまざまざと瞼の裏に浮かび上がるようです。
 ★大まかな意味:非常に柔和な魅力に溢れている人物、共感力や理解力が高い状態、思わず接近したくなるような魅力がある人や組織、但し仕事の速度は速くない、仕事の分野が芸術活動や美に関することではない限り進みは遅いケースが多い
 ★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」とほぼ同義だが、特に相手に対して優しく注意深い気持ちになっていることが多い。相手に合わせてあげたい、相手の要望を叶えてあげたい、という優しくしんみりとした心境を示すことが多い。寂しさや慈しみを暗示することも。
 日常における物事との関連:自分よりも目上の立場の柔和な人物、感情を扱うことに長けた物静かな人物、非常に美しい印象を受ける物品や芸術作品、高名な俳優や芸術家、作家など

逆位置

  逆位置になると、どうも「聖杯/カップのクイーン」の魅力が裏目に出ています。この「聖杯/カップのクイーン」は不本意なほど相手に合わせてしまって自我を喪失しているか、そうでなければ幸せは誰かが運んでくれるものだと勘違いして、自分の中の満たされない思いばかりを育ててしまう人物なのかもしれません。本章で繰り返し述べている通り、「聖杯/カップ」のスートの幸せの成立は、他の全てのスートの要素が揃っている状況に依存しています。それだけに、非常に他力本願になりやすく、甘えや依存心と縁深い属性とも言えます。誰かに合わせすぎる状態も、誰かが幸せを運んでくれると勘違いする状態も、自分の身を自分で守る覚悟のなさから発生しています。“可愛らしさ”や“魅力”は自分も他人も滅ぼす悲劇的欠陥に姿を変えることもあります。これを原則に無自覚でいると、制御が効かずにほとばしる感情の波で周囲の人間を呑み、溺れさせ、滅ぼしかねない危険性があります。手を触れたくなるような「クイーン」であるだけに、そのような危うさをも備えた「クイーン」であると言えるでしょう。
 大まかな意味:柔和そうに見えて利己的な人物、悲しみや憂鬱の底に沈んでいて気力が出ない状態、相手に合わせすぎて自我の感覚を失っている主体性のない状態
 人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」とほぼ同じ。相手と関わりたい欲求はあるものの、それを面には出せず、やや重苦しい印象になってしまう状態も暗示する。人間関係の相手方と本心で関わりたいかどうか「聖杯/カップのクイーン」逆位置を得ている人物も分からなくなってしまっている場合がある(大概は離れたい心理が大きく悩んでいる)。占い師としては質問者とよく相談したり、カードをもう一枚引いて状況を詳しく知る必要がある。
 日常における物事との関連:精神的な病状が重くなかなか回復しがたい人物、共依存的な関係に陥ってしまっている人物、被害者的な立場に自分のことを置きがちな人物、支援が十分に行き届いていない介護施設など

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