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聖杯/カップのキング

聖杯/カップのキング

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大まかな意味(正位置の解釈)

  最も戦闘的でない「キング」がこの「聖杯/カップのキング」です。彼の衣服はリラックスしていて、海の中にポツンとある玉座に座って平然としています。並みの精神力で成し遂げられることではありません。文字通り、この「聖杯/カップのキング」は自分や周りの心を把握し操る名手です。
  ですが、果たしてこの玉座周辺の景色の状態は正常と言えるでしょうか。よく見ると荒れる波の間に緑色の土地が見えます。左側に小さく見える魚のような生き物は、遠近感からすると遠景におり、近づいたらクジラほどの大きさはあるでしょう。赤い帆船は過去の方角に向かっていて、この「聖杯/カップのキング」の玉座がある陸地はこの王が立つスペースぐらいしかありません。何もかもが現実離れしている状況です――それなのに、何故この「聖杯/カップのキング」は平然としていられるのでしょうか?並外れた精神力や共感力、理解力もありそうですが、そもそもどのような状況下でも人の心は荒ぶるものであるということを知っているからこそ、荒れる波濤の中にいても余裕を保てるのかもしれません。
 この荒れた海は「聖杯/カップのキング」の心でもあり、「聖杯/カップのキング」の周囲の人物の心模様でもあります。自分や周囲が歩んでいる人生が楽しいことばかりに満ちたものではなく、苦難や波乱が当然に存在することに対する想像力がたくましいこの王は、全「キング」の中で最も優しい王と言えそうです。
 ★大まかな意味:理解力や共感力が強く他の人を癒すことに長けている人物、特に勇気づけたり本来の自分の目的に気づかせることに長けた人、カウンセラーやコーチ、優れた指導者や先生
 ★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」と共通しますが、特に自分の心も相手の心もよく考慮した上で決断する理性が働いている状態を示すことが多いです。「剣/ソードのキング」とは異なり冷徹な知性のみに偏ることなく、温かさや本人の甘えの出し方も巧みであるといえます。恋愛の場合、ロマンチックすぎる空気よりは家族的な、長期的に頼りになるパートナーのような側面が強調される関係や状態を示します。
 日常における物事との関連:カウンセラー、人の精神を扱う企業、産業医や保健師、精神科医、コーチングサービス、牧師や宗教的なリーダー

逆位置

  逆位置になるとこの「キング」も大概暴君か暗君の様相を呈してきます。「聖杯/カップのキング」を得ている以上は、優しさや心の柔らかさはあると判断できます。それが悪い方向に働いているだけで、恐らく悪気はないでしょう。
  荒れる波濤が支配的となり、いかな「聖杯/カップのキング」でも乗りこなせないかもしれません。海原に投げ出されたら、人間は他の人の到来を待つか、お金を使って救助を呼ぶか、風や潮の目が変わるのを待つしかありません。つまり、運命については完全に他人に頼りきりの状態になります。無論、運良く全てを自分で解決できる人もいるでしょうが、多くの場合は誰かの助力が必要になります。
  この「聖杯/カップのキング」は、その助けを呼ぶのが下手かもしれません。他人も自分も苦難があり楽もあることを知り、そのために周囲を慮れていたのが、自分の感情に呑まれて適切な判断ができなくなるかもしれません。あるいは、周囲の人物に対する当たりが強くなったり、反対に迷惑をかけることを嫌って潔く溺れることを選ぶ可能性があります。側から見たらひどい自己陶酔に陥っていたり悲劇の主人公を演じていたりするように見える恐れすらありますが、本人にその自覚はないのでしょう。自覚する余裕すらないとも考えられます。彼は今まさに自分よりも大きな海原に呑まれ、クジラに消化され、難破した船からは見捨てられようとしているのですから。自分の心だけでも平常に戻せたら多少は足掻けるでしょうに、それすらできずにいるであろうことが示唆されます。危険なのは、このキングが不思議と魅力的であること。このカードを得た相手に対する精神的な影響力が強いことです。彼の甘言に乗せられないようにしてください。多くは真実のように聞こえる虚言に過ぎません。まさに「聖杯/カップ」の性質の悪いところが出切っている状態と解釈できます。
 ★大まかな意味:自分の心が荒れ狂いすぎて他者を省みる余裕がない人物や状態、自分の欲求を口に出せていない状況、稀なケースでは何かへの依存状態に陥っているために周囲に迷惑をかけている状態
 ★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」と同じ。かつては優しかったり、言動の端々に暖かさが見え隠れするだけに傷付けられる時とそうでない時の差が激しく、どちらが本性なのか見分けることが難しい場合が多い。また、一見頼りになるようで性根が甘えているために全く頼れない見掛け倒しの人物なども示すことがある。関係が遠い場合、相手を利用するだけ利用して、甘い顔をしつつ捨てるつもりの人物なども暗示し得る。
 日常における物事との関連:甘えた心根の権力者、下心のある指導者、トップが主に人間関係にだらしないために苦労している組織、芸術家肌ながらも他人に対して排斥的な人物など

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