聖杯/カップのエース
聖杯/カップのエース
大まかな意味(正位置の解釈)
情熱と責任の話を扱った「棒/ワンド」、実利と名誉の概念について語った「金貨/ペンタクル」、知性の性質や思い込みの恐ろしさを説いた物々しい「剣/ソード」の物語を経て、人間が人間たる所以、情熱にも実利にも知性にも左右される“感情と心、精神”の領域を司る「聖杯/カップ」の物語が幕を開けます。唯一遠景に高い山や障害となるような物々しい物体のないこの「聖杯/カップのエース」は、人の心が本来豊かな感情に満ち溢れ、美しいものを愛し、誰かとその感動を分かち合う平和な状態を理想とすることを端的に示したカードです。蓮の花は澄み切った水からは生まれません。汚いものを含む栄養豊富な土がなければ花を咲かせることはできません。一方で、蓮の花があるからこそ水は浄化されていくのです。これは、人間の心が綺麗なもののみで成立している訳ではない原理を示しているかのようです。それでもなお、聖杯から溢れ出る水は清らかそのものに見えます。過去を示す左側を向いた手は、この聖杯を誰かに差し出そうとしているのでしょうか。誰かとの人間関係を育むなら、または人ではない概念に心を捧げ陶酔のひと時を過ごすのであれば、できるだけ清い心情でいたい、という人間の心の美しい部分を切り取ったカードであるように思えます。平和の象徴である白い鳩と、安定した状態を望む白い円と十字架が、これを補強しているようです。この金色の聖杯がもたらす恵みは、きっと美しいものと人の心を繋ぐでしょう。
★大まかな意味:“何か”や“誰か”に対する愛の始まり、何かに強く心惹かれている状態、(双方向性は確保されていないが)確実に強い愛着やそれに類する感情が溢れる状況、芸術作品などを鑑賞して感情がほとばしるや物品に一目惚れするような状況も示唆しうる
★人間関係/恋愛上の意味:愛や友情の始まり、多くは互いに対する理解と陶酔が絡むような密度の高い感情を示唆する、溢れ出る感情を相手に受け取って欲しいような心境(必ずしも恋愛感情とは限らない)
日常における物事との関連:感動できるものとの出会い、心を打たれるような芸術作品や人との出会い、芸術鑑賞や舞台/演劇鑑賞などをする一日、美しいものに触れる日やそれらを提供する企業
逆位置
聖杯は逆さになり、その中身は空になってしまいます。平穏な水面はひっくり返り、底に沈んでいた肥沃な土――言い換えれば、底に沈んでいた汚いものが表に出てきます。「聖杯/カップのエース」の逆位置は、誰かや何かを繋ぐための清らかな力が一時的に枯れてしまうことを示します。平和を示す鳩はどこかへ飛び去り、美しく湖を飾ってた赤い蓮の花は浮上してくる気配もありません。感情や愛情、情熱や精神的な美しさが褪せて汚れてきていることを暗示します。
★大まかな意味:感情の枯渇、惹かれてた心が色褪せてしまうこと、退屈や無関心が忍び寄ること、愛着を感じていた状況にもう何も感じられないこと
★人間関係/恋愛上の意味:何らかの理由で「大まかな意味」と同じような状況が発生していると見て間違いない
日常における物事との関連:転職を考えるような状態、今までの状況を離れようかという思考が頭をかすめる状況、何をしても心が躍らない状態、退屈しきっている組織や集団
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