聖杯/カップの6
聖杯/カップの6
大まかな意味(正位置の解釈)
絵の主題が成人から急に集落の中の子供に切り替わります。やや「聖杯/カップの5」の城にも似ていますが、橋を渡った先の光景なのでしょうか?それとも、「聖杯/カップの5」の人物が失意の中で見た昔の光景なのでしょうか?どちらかは分かりかねますが、この環境は堅牢な壁を持つ城塞都市のように見えます。遠くに見える棒か槍を持った衛兵が、警備の任にも当たっているために子供たちも比較的豊かな状況下で日々の生活を楽しめるのでしょう。庇護されている人物や子供、あるいは庇護されていた時代への郷愁、守られている場所との関連が深いカードです。
絵の主題である子供たちと聖杯について詳しく見てみましょう。聖杯の中からは百合の花でしょうか。白い花が見事に咲き誇っており、純粋な気持ちや汚れのない心を示しているようです。青いチュニックの男の子が赤いヴェールの女の子に聖杯を差し出しています。2人の間柄は友達同士でしょうか?兄妹でしょうか?いずれにせよ、聖杯を差し出す男の子の顔は穏やかで、女の子も笑顔で迎えています。「聖杯/カップの2」のままごとでもしているのでしょうか?まるで二人は心を差し出しあう約束を交わし合っているかのようです。その約束が将来に向かって果たされるかは分からないですし、この2人はその仕草の意味すら、「聖杯/カップの2」の2人のようには、よく分かっていないかもしれません。この無邪気さと無知がカードの主題であるために、このカードの主役は子供2人なのです。ですが、彼らが今している交流はとても微笑ましいもので、当人同士も大人になっても懐かしく思い出す子供時代の思い出となっていくでしょう。過去にあった美しい関係や、少年少女時代にしかありえないようなプラトニックで純粋な交流などを示すカードです。利害や情熱の調整、知性の振るい方についてはまだ考慮されていないものの、それらを考慮の外に置いているだけに純粋なやりとりができていると言えるでしょう。癒しに満ちた関係です。
★大まかな意味:懐かしい交流、過去への郷愁、幼なじみや過去に関わりが深かった人物との交流が復活すること、純粋な気持ちで相手と交流すること(現実的な厳しさについては考慮されていないケースが多いです。)
★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」と同じだが、特にその交流の小綺麗な感じが強調される。
日常における物事との関連:過去の友人や知人が人生に再来すること、児童に関する事業や計画、福祉事業や施設など
逆位置
逆位置になると、果たしてこの環境の守りは本当に盤石なものでしょうか。絵に描かれている百合はまだ咲いているでしょうか。正位置ではよく手入れされていたものが、今は野放図に生え散らかすだけのものになってはいないでしょうか。そもそもこの集落には今人がいるでしょうか?平和だった日々が既に過去のものになっていること、やはり人は一度何かを知ると知る前の状態には決して戻れないこと、人生の流れの無常さと不可逆性を強く物語るカードになります。大人の図体で実の伴わない約束をしても軽蔑されるだけです。あるいは、花を差し出したかった人物は今や捻くれてしまって、かつての過去の美しい姿を留めていないかもしれません。反対に、守られている環境にまだいると甘んじてしまって、大人として成長するべき点が成長していないのかもしれません。衛兵の立場にあるべき人が子供のようにままごとに興じていたら都市の守りは崩れ去り、侵略を容易に許し、この見事な建物も瓦礫の山へと変わりかねません。純粋さは思い込みや浅慮に姿を変え、尊敬されるべき純粋さ、希少な精神的な交流は退廃に変わり果ててしまったのかもしれません。かつての楽園はもうここに存在しないと見て間違いないでしょう。成長するべき時です。温かい環境が生温い環境となり、時折一抹の冷たさが心を貫くようになったのであれば、この場所は後にしましょう。ここはもう、あなたがいるべき場所ではないのです。
★大まかな意味:懐かしい交流から脱皮しつつある自分、このままいたらお互いのためにならない関係、懐かしさが幼稚さなどの悪い方向に働く状態、稚拙さが勝っている状態
★人間関係/恋愛上の意味:昔は良かったが今は何かが決定的に腐ってしまっている関係、純粋な気持ちで接しているつもりが幼稚になってしまっていて空回りしている状態、自分の振る舞いの未熟さを自覚しないまま無邪気に迷惑をかける人物など
日常における物事との関連:本人たちに悪意は全くないがやり方が古くなりきっているために非効率が出ている組織、側から見ればサムイことになっている集団、成長性がないためにおそらく別れるべき人物同士の関係など
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