聖杯/カップの2
聖杯/カップの2
大まかな意味(正位置の解釈)
家が建つような平和な丘陵地帯を背景に、2人の人物が黄金の杯を交わし合っています。杯からは知恵を示すカドゥケウスの杖(ヘルメスの杖)らしきものが描かれており、翼ある赤い獅子が口を開けてこの2人を祝福しているようです。カドゥケウスの杖は商業や交渉を司るギリシャ神話のヘルメス神と縁が深く、有翼の獅子は聖マルコか、あるいは獅子座の守護星と関連が深いアポロン神(厳密には光明神であり、太陽神ではないのですが)との縁を連想させます。元々カドゥケウスの杖はアポロン神からヘルメス神に友好の印として与えられたと言われており、「聖杯/カップの2」に描かれたこの2人の人物の関係がお互いを補いあい、また助け合う理想的なものであるべき、あるいはそうなっていくべき願いを背負っているようです。大アルカナの「6、恋人」とも構図がよく似ており、また絵の2人の内左側が恐らく女性、右側が男性と思われるため、特に恋愛とも縁が深いカードです。一方、アポロトンとヘルメスの神話の要素が示す通り強い友情関係や双方が活発なコミュニケーションをも示唆しやすいカードです。
「6、恋人」のカードとは異なり、この2人は衣服を着ています。左側の女性は冷静を示す水色と爽やかな知性や勝利を示す月桂冠を纏っています。彼女は右側の、恋愛感情を示す赤い薔薇の冠を戴き情熱を示す炎のような服を着て、利得を示す金色のズボンとブーツを履いた男性からの求愛に応じているようです。まるで「剣/ソード」と「聖杯/カップ」の力を強く受けた女性と、「棒/ワンド」と「金貨/ペンタクル」の属性が強い男性の和合だと解釈できるので、性質が異なる者同士の結びつきを示唆している絵図に見えます。裸の男女のみを描いていた「6、恋人」よりも結合の度合いが浅いと言えます。背景の空が冷静な雰囲気を醸す水色であるところも、この解釈に味方していそうです。(詳しくは「大アルカナ編」「6、恋人」参照。)
★大まかな意味:ぴったり気が合う者同士のコミュニケーション、双方向のコミュニケーションが感性と知性と情熱の全ての面において調和している状態、お互いの欲求や知性と人格のバランスが合っている者同士の和合
★人間関係/恋愛上の意味:非常に気が合う友人関係や人間関係、心が通い合っている関係、相手と心を通わせて安らげるような状態、誰かが入り込む余地がないほど調和していて熱量のある関係
日常における物事との関連:理想的な2人、非常に気の合うバディ、誰とでもコミュニケーションを取るのがうまい人物、人の懐に入ることに長けている人物
逆位置
神にも祝福されていそうな和合が冷えていきそうです。聖杯から水はこぼれ、またこの2人は背き合うのかもしれません。左側の女性を求めていた右側の男性は拒まれてしまうのでしょうか。それとも彼女にはもっと良い相手がいたのでしょうか。遠くの家にいるのは、どちらかが本当に想う人物なのでしょうか。逆位置になると、邪魔者の存在や報われない片思い、一方通行のコミュニケーションや感情表現などを示すカードになります。人間関係と縁が深いカードですが、これを得た場合、何らかの形で感情が冷えてきていると見るべきでしょう。お互いに目と目で見つめ合える関係ではないのかもしれません。
★大まかな意味:崩れる和合や背き合う関係、第三者の邪魔や妨害の存在が大きすぎる関係、どうしても反りが合わない状態やそもそも会話が成立しづらい相性の悪い組み合わせ、転じて片思いや気持ちが受け入れてもらえないような状況、拒否される感情
★人間関係/恋愛上の意味:片思い、気持ちが伝わらない、自分しか相手を好きではない悲しさ、相手が誰か他の人物を見つめている、冷たく接される悲しみ、(恋愛のケースにおいては)相手が他の誰かに心を奪われていて関係が冷えてきていると感じている、(露骨なケースだと)裏切りや浮気
日常における物事との関連:冷戦状態の喧嘩やかつてある程度は暖かかったのに今は冷えている関係、“こんなはずじゃなかったのに”と思っている人物が多い組織、もうすぐ別れそうな人同士の関係など
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