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聖杯/カップの8

聖杯/カップの8

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大まかな意味(正位置の解釈)

  「聖杯/カップの7」の様々な聖杯から種々の贈り物や呪いが差し出されていた状況からは一転、この絵の人物は夜半、誰にも見つからないように杖を携えて8つ全ての聖杯を放棄して高い山をも越えていく覚悟のようです。唯一旅人を見守るお月様も、“それでいいの?”と言いたげですし、同時に“仕方ないよね”とも言いたそうです。苦い許しに満ちた表情を旅人に向けていることでしょう。目を閉じていそうなことから、月すらもこの旅人を見逃して、他の人物の追跡の目が向かないように取り計らってくれているのかもしれません。それだけ、今までに得たものを全て捨てて何処か別の場所に行くということは精神的に負担が大きいことであり、また誰にも邪魔されるべきではない尊い旅路なのでしょう。そもそも、何かを捨てるということは、何かを得るための余地を広げるということです。この人物の衣が赤く、行動に必要な杖が用意されていることから、自分に不要なものと必要なものが分かった上での逃避行なのでしょう。出家のようなニュアンスも強そうです。岩場や山を越える覚悟もできているのでしょうから、きっと後戻りはしないと考えられます。人から見たら恵まれているような羨ましいものでも、自分には不要になることがあります。そのため、誰からも理解されなくても、自分にとっての幸福を掴むにはまず全てを捨て去る必要もあるという人生の原理を示しているカードでしょう。
 ★大まかな意味:執着心を捨てて状況や関係から離れること、見切りをつけること、見限るような心情、悲しみはあるもののもう戻らないという覚悟が固まっている状態、プロジェクトの放棄など
 ★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」とほぼ同じですが、離別を考えている可能性が強く示唆されるカードです。心情的に“やっていけない”と悟り、区切りをつけようとしている状態である場合が多いです。何かの関係を終わらせた後の人にも出やすいカードです。本人の心境は物悲しいものの静謐な状態である場合が多い。
 日常における物事との関連:出家、家出、夜逃げ、断捨離、何かを捨てること、離職、転職

逆位置

  逆位置になると、もしかするとこの旅人は捨て置くはずの聖杯に未練でもあるのかもしれません。振り返って聖杯を回収に行くのでしょうか。それとも夜が明けるまでじっと聖杯を見つめてしまうのでしょうか。そんなことでは誰かに見つかって引き戻されてしまうかもしれません。一度捨てたものを愛おしむことは、特に狂気をも司る月が出ている夜のうちにやるのはやめておいた方が良いです。一度捨てようと思ったのであれば、その理由についてちゃんと考えましょう。覚悟を持って全て放棄しようとしたのです。その状況には拒否したくなるような嫌さや相応の苦い理由があったはずです。
  しかし、そのような状況からもう一度仕切り直してみようと思った場合、新しく何かが芽吹くことはありそうです。ただし、その場合前に捨てたものをそのまま引き継いでやり直すことは考えない方が良いです。抜本的な解決を促されています――全く新しいものを作る、前あった状況よりも遥かに良くすることを考えるべきです。そうでないと、同じ過ちや悩みに嵌まり込むことになり、夜半に一人で出掛けた意味がなくなってしまいます。決意や覚悟、苦い経験を無駄にしないでください。「13、死神」の逆位置とよく似ていますが、やり直しへの意思(未練)が示唆される点が大きく異なります。(詳しくは「大アルカナ編」「13、死神」参照。)
 ★大まかな意味:捨てようとしたものへの執着が蘇っている状態、未練を断ち切れない様、建て直しには根本的な変化が必要だが「また同じものを!あの頃をもう一度!」と望む心境
 ★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」と同じ。
 日常における物事との関連:出戻り、失敗する確率の方が高い復縁、再び成功させるには根本的な改革が必要なプロジェクト、休止と再開を繰り返す事業など、負債になっているものを切れていない事業者、コンコルド効果

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