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「登録支援機関」の現実とこれから

コロナ禍の夜明けとなるであろう2023年は、特定技能人材流入のヤマ場となることが予想される。受入れ企業はその準備に余念がないことだろう。制度を支えるキープレイヤーのひとつに、登録支援機関がある。
受入れ企業からの委託を受け、特定技能人材が、在留中に安定的・円滑な活動を行うことができるように職業上、日常生活上の支援を行う機関である。しかしこの機関が十分機能していない現状があるようだ。

株式会社アイエフピー 林佑介さん


先日、愛知県豊橋市の株式会社アイエフピー 取締役の林佑介さん(写真)に話を聞く機会があった。
同社は外国人材専門の人材紹介会社であり、特定技能の登録支援機関としても精力的に事業展開をしている。

林さんは、これまでカンボジア送出機関の立ち上げや監理団体における監査・指導業務など、国内外で人材ビジネス経験があり、技能実習や特定技能制度の実務について豊富な知見を持っている。

外国人材を供給する側と受け入れる側の両方の立場を理解している数少ない人物である。

林さんは「すでに登録支援機関の淘汰がはじまっている」という。

2019年4月にスタートした特定技能制度の需要を見越して、登録支援機関の開設ラッシュが相次ぎ、その数は現在7639件(2022年11月)にも上る。

直近の特定技能人材を10万人と仮定すると、単純計算で一社あたり13人程度の支援に留まることになり、事業として体をなしている状況とはいえない。

林さんは、支援機関として登録されている事業者のうち、登録のみで事業活動を行っていない名ばかりの事業者が二割程度はあり、残りの稼働している支援機関の大半も採算が取れていないのではないかとみている。

その背景には、収益性と業務負荷の不均衡が横たわっているという。

支援対象となる特定技能人材1名につき受入れ企業から支払われる月額費用は、2万円から3万円程度と、期待を大きく裏切る相場で動いており、さらに価格競争によるダンピングが続く傾向だ。

その反面、支援機関の義務は、生活オリエンテーション、公的手続きの同行、日本語学習の機会提供、相談・苦情への対応等と多岐に渡り、人的工数が多い。

時には風邪をひいた就業者の通院同行など緊急性を求められることもある。交通費や通信費等の必要経費なども加味すると、必ずしも収益性の高いビジネスではないということだ。

一方、外国人材にとって支援機関は日本での生活のよりどころであり、仕事の成果にも関わってくる。

目先の案件欲しさに価格競争に走るのではなく、受入れ企業や外国人就業者へのサービス品質向上や、DX視点による業務効率化を図ることで差別化を図ることの重要性を林さんは唱える。

企業と外国人材をつなぐ機関の進化は、制度そのものの価値向上となるに違いない。
(※このコラムは、ビル新聞2022年11月28日号掲載「登録支援機関の現実とこれから」Vol.44を加筆転載したものです。)

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